ご報告が大変遅くなりましたが、去る7月13日、全社員が一堂に会する恒例のイベント「キックオフミーティング」を開催しました。2010年に始まったこの企画、今年で通算10回目(2014年は創業80周年記念式典)になります。さらに今年は令和元年かつ、弊社にとっても創業85周年という節目の年となります。
【過去のキックオフミーティング】
2010年9月25日(社長交代に伴い初開催)
2011年9月17日(定例化)
2012年7月21日(開催を創業月に合わせる)
2013年7月20日
2014年7月21日(創業80周年記念式典)
2015年7月25日
2016年7月16日
2017年7月22日
2018年7月21日
さて、2019年の全社員研修は、社内でも再開催の要望の多かった、カードゲーム「ボーナンザ」を3年ぶりに開催しました。ボーナンザのルール等については、下記の開催履歴をご参照ください。
おかげさまで、この3年の内に弊社も社員数が増え、ボーナンザを追加発注したのですが、何とその過程でルールがマイナーチェンジしていることが分かりました。最も大きな違いは「第三の畑」が廃止されたことです(正確には、2名~3名のプレイは畑を3つまで、4名~5名のプレイは2つまで造ることができる)。そこで今回は新ルールを適用しての開催となりました。
【過去に参加または開催した「ボーナンザ」研修】
2014年12月3日
2016年7月17日
2017年6月17日
2019年2月7日
さて、3年前は個人利益の最大化を求めて競争的にプレイする1回戦と、チーム利益の最大化を求めて協調的にプレイする2回戦に分けて行いました。詳しくは当時のブログをご覧いただきたいのですが、その結果、11チーム中10チームにおいて協調的にプレイした方が総利益が増え、かつ各プレイヤーの格差も縮小しました。
しかし、このやり方では、2回戦目で利益が増えた要因が協調行動によるものなのか、それともゲームに対する習熟によるものなのか、ハッキリしません。そこで、今回は1回戦目を協調的に、2回戦目を競争的にと、前後を入れ替えてみました。
その結果、1回戦より2回戦の方が成績の良かったチームが5チーム、一方で習熟にもかかわらず成績が下がってしまったチームが7チームありました。上のグラフはその極端な例の2チームですが、左側のチームは1回戦目もコイン獲得数が断トツに多く、2回戦目はさらにそれを大きく上回る(トレーナーチームが意図的に強調して獲得したコイン数よりも多かったのです)成績を残しました。この要因について、後で質問してみると、実が2回戦目も指示に反して協調的にプレイしていたとのことでした。
一方、グラフ右側のチームは、こちらの指示通り「イヤな奴」に徹して2回戦目をプレイした結果です。1回戦目は左側のチームに次ぐ好成績を残していましたが、2回戦目は12チーム中、断トツの最下位となってしまいました。ゲームの習熟を差し引いても、利己的行動がチームの利益に与える悪影響を示した顕著な例でした。
個人的には、2回戦目に利己的行動に切り替わることで、チームの雰囲気やプレイヤーの心境にどのような変化が生じるのかに関心がありました。あくまでゲームですから、2回戦目の方が緊張感や駆け引きが生まれて楽しめるのかなと予想していたのですが、感想を読むと、大方の人はそれに反し協調的だった1回戦目の方が、コミュニケーションが多く生まれ楽しかったと回答しました。
さて、振り返りでは、協力行動が組織の成果に与える影響について事例も交えつつお話ししました。組織の成果を上げるエンジンとして自己利益を追求する欲求を利用したにもかかわらず、なぜ多くの場合で失敗するのか?そこにはどのような心理的バイアスが隠れているのか?
次に、協調行動や他者への貢献が個人の能力、自尊感情、幸福感にどのような影響を与えるのか、心理学や脳科学の研究から分かっていることについてお話しました。
最後に、協調行動によるより広範囲の価値創造について。ゲームと違い、現実は相手も協調してくれるとは限りません。また、協調して価値を創造した場合でも、そこには創造した価値をどう分配するかという創造と分配の緊張関係が必ず存在します。この緊張関係を「交渉者のディレンマ」と呼びますが、これについては下記に寄稿しておりますので、そちらをご覧ください。
交渉者のディレンマ(1)
交渉者のディレンマ(2)
交渉者のディレンマ (3)
第二部は、会場を移して懇親会が行われました。例年通り、昇進者への辞令交付、新入社員挨拶、そしてこの度は弊社の役員改選がありましたので、その発表も行われました。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした