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なかなか行く機会のない京都に、今年は珍しく2度も訪れる機会がありました。10月24日、雨降る京都で6月の「押小路 悠貴」につづき、古い友人のお勧めで京料理がアラカルトで楽しめる「実伶(みれい)」に行ってきました。
不慣れな京都で困るのは、地元の方が地名を通りの名前で認識しているのに対し、僕のようなよそ者は調べた通りの住所しか分からないということです。今回もタクシーの運転手にお店の住所を言っても通じず、とりあえず丸太町の駅まで行ってもらい、そこからスマホがさす場所を頼りに歩くことにしました。しかしそのスマホも、お店のある一角をおおまかに指し示すばかり。当の場所に到着しても肝心のお店が見つかりません。さらには、これも京都らしいところで、周囲を見回してもお店らしいものが見当たらないのです。しかたなく、まるで巻狩のように、該当する番地を徐々に範囲を狭めながら虱潰しに店らしきところをあたるという手段に。雨降る日没の中、捜索すること20分。暖簾に小さな篆書(てんしょ)体のような文字で辛うじて「実伶」と読めるお店を発見しました。
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こちらのお店は、祇園の割烹などで14年修業を積まれた店主が3年前に始められたそうです。落ち着いた雰囲気の中、本格的な京料理がアラカルトで楽しめます。お通しの後は、雲子(くもこ)ポン酢から。京都では鱈の白子を「雲子」というのだそうです。新鮮な瑞々しさと張りのある白子は、嫌な生臭さがなくすっと食べられます。これは天ぷらにしたらきっと美味しいでしょう。
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前回の反省を踏まえ、お酒は控えめにと思っていたのですが、結局飲んでしまいました。
・れいせん特別純米(岐阜)
・道灌特別純米(岐阜)
・出雲富士純米吟醸(島根)
・風の森純米(奈良)
・澤屋まつもと純米(京都)
一つの銘柄を複数回呑んでいるので、結局は今回も相当量行ってしまったという訳です。ちょっと変わっていたのは奈良の「風の森」で、フルーティかつシュワシュワとした発泡感のあるお酒でした。
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お造り盛り合わせは、天然くえ、かつお、天然ぶり、つぶ貝、アオリイカの五種。とりわけかつおは皮がパリッと焼けていて実に美味しかったです。以前、「志満八」で書いたのと同じく、こちらも素材もさることながら、包丁を感じる美味しさでした。
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品書きでまず目にとまったのが、蛤天ぷら。大きな蛤をそのまま天ぷらに。噛むほどに旨味が楽しめる一品。
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唐すみ餅。焼餅の上にスライスした唐すみが載っているのかと思ったら、その通りでした。ただし、唐すみが分厚く切ってあり、餅だけでなく唐すみのもっちりとした食感が味わえます。餅は稗を混ぜているのではないかと思いますが、触感にアクセントと柔らかな香ばしさを添えています。海苔を巻けば、海薫る醤油なしの磯部餅。
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こちらも気になった生麩ブルーチーズ。モチモチの生麩にブルーチーズをのせ焼いたもの。こちらは期待通りの味と触感。
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このわた(海鼠腸)。文字通り、海鼠の内臓の塩辛で、ウニ、唐すみと並ぶ日本三大珍味の一つ。このようにお酒に合う料理が続いたことも、酒量に一役買ったに違いありません。言い訳ですが…。
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最後はくえあら旨煮。間もなく大相撲九州場所が始まりますが、くえを見ると九州場所の到来を感じます。
なお、お店の名前の「実伶」ですが、実は食べ物、伶には「音楽を奏でる人」という意味があるそうです。料理は食材が奏でるハーモニーということでしょうか。
実伶
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京都府京都市中京区 竹屋町通室町東入ル亀屋町143-2
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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