窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

初の大晦日格闘技観戦②-RIZIN26(さいたまスーパーアリーナ)

2021年01月11日 | スポーツ観戦記


 (前回のつづき)そういう意味では、MMAの経験が豊富なこちらの試合は、地味なのですが見応えがありました。第9試合、カイル・アグォン選手vsクレベル・コイケ選手。両者互角の展開でしたが、1R残り1分となったところで、コイケ選手の右フックがアグォン選手の左顎を捕らえ、ダウン。そこからフロントチョークでテクニカルサブミッション(1R4分22秒)。頭が巻き込まれていたので、危なかったですね。



 第10試合の元谷友貴選手vs井上直樹選手も緊張感があって良かったです。5分3RのRIZIN MMAルール(肘あり)。プロフィールでは元谷選手170㎝に対して、井上選手173㎝とのことでしたが、それより身長差があるように見えました。元谷選手が先に仕掛け、グラウンドに持ち込んだのですが、井上選手は寝技も巧みですね。リアネイキッドチョーク(裸絞め)は井上選手、得意なのでしょうか?それにしても、今大会15カードの内4カードが61kg級であることからも分かるように、この階級は層が厚いですね。

 ここで、地上波の放送時間との関係から1時間におよぶ長い休憩に入りました。



 第11試合、MMAで日本人初の世界王者となり、長くこの世界を牽引してきた浜崎朱加vs山本美憂のスーパーアトム級タイトルマッチ。5分3R、RIZIN女子MMAルール。僕が知っている山本選手は、1991年に彼女が最年少でアマチュアレスリングの世界選手権を制した頃の話です。それから30年近くになるというのに、まだ現役を続けている。それだけでも頭が下がります。結果は、1R 1分42秒、ネックシザースからのタップアウトで浜崎選手の勝利。



 第12試合、こちらも大ベテラン五味隆典選手vs新生の皇治選手。3分3R、RIZINスタンディングバウト特別ルール、つまりパンチのみ。両選手とも少し太っているように見えましたが、エキシビジョンということで。結果は判定で五味選手の勝利。



 第13試合、今大会最注目選手の一人。プロ総合格闘技戦績13勝2敗、わずか40日前に行われたRIZIN25のフェザー級王座決定戦で斎藤裕選手に判定で敗れた朝倉未来選手。ずっと総合格闘技を見ていなかった僕でも朝倉兄弟の名前は聞いたことがあります。対するは、プロ総合格闘技戦績11勝5敗、RIZIN初参戦の弥益ドミネーター聡志選手。余談ですが、弥益選手は海城高校出身なんですね。わが母校の攻玉社と海城は、海軍予備校をルーツとしており制服も似ているので、昔から何となく親しみがありました。大学の近くでもありましたし。

 5分3R、RIZIN MMAルール(肘あり)。1R、緊張感のある攻防が続いていたのですが、残り1分でアクシデントのバッティング。これが効いたようには見えませんでしたが、その後朝倉選手の左フックで一瞬怯んだところに左ハイキック。これが強烈でした。そこへすかさず右フックで弥益選手はダウン。1R4分20秒KO、一瞬の機を逃さない朝倉選手はさすがです。わずか40日で調整も大変だったと思うのですが。一方の弥益選手、これからも見たい選手です。



 第14試合、セミファイナルですから当然ですが、こちらも注目カード。那須川天心選手vsクマンドーイ・ペットジャルーンウィット選手。那須川選手は既にボクシングへの転向を表明しており、キックの試合を観られるのもあと僅かです。3分3R、RIZIN キックボクシング特別ルール。ペットジャルーンウィット選手は、ムエタイで60勝31敗、攻撃力に定評があり、2年前、那須川選手を破ったロッタン・ジットムアンノン選手に判定で勝っているのだそうです。今回の計量では56.50kgsでしたが、ムエタイではバンタム級(53kgs以下)なので、階級を上げてきているのかもしれません。

 試合が始まってみると、確かにペットジャルーンウィット選手のロー、ミドルの蹴りは凄まじく、ビシビシと音が伝わってきます。試合後、真っ赤に腫れた那須川選手の上腕が、その威力を物語っていました。一方の那須川選手も、ミドルキックをホールドしては、的確にパンチを返します。1R中盤は激しいミドルキックの応酬。途中、ペットジャルーンウィット選手が那須川選手を投げる場面があり、注意。那須川選手の距離感を掴む上手さ、パンチのコンビネーションはさすがです。2Rには那須川選手のショートフックでペットジャルーンウィット選手がふらつく場面も。結果は3R判定で那須川選手の勝利でしたが、両者の意地がぶつかり合う激しい試合でした。



 最後の第15試合は、RIZINバンタム級タイトルマッチ。2019年8月に初めてのKO負けを喫し、RIZINバンタム級のタイトルを失った堀口恭司選手。対するは、そのタイトルを奪った朝倉海選手。堀口選手の怪我により約1年半ぶりのタイトルを賭けた再戦です。5分3R、RIZIN MMAルール(肘あり)。

 堀口選手は伝統派空手である松涛館の出身だそうですが、その影響なのかこの間合い。他の試合の写真と見比べても、この間合いの広さはやりにくいでしょうね。そして堀口選手が序盤から繰り出したカーフキック。これも伝統派の組手で良く使われる足払いに非常に近いです。1発目はまさに相手を崩す蹴りだったのですが、2発目は1発目よりステップインしてからの蹴りで、少し効いたように見えました。3発目で朝倉選手は体勢を崩し、膝をつく。朝倉選手の出足を封じるには良い牽制です。4発目は完全に斜め上から前足の脛に入りました、ダメージを与える蹴りです。これで朝倉選手が怯んだように見えました。そこへ堀口選手が遠い距離から右ストレート(これも伝統派の上段逆突きに近い)で一気に間を詰めると、右ショートフックが朝倉選手の顎を捉えダウン。倒れた朝倉選手に堀口選手がパンチを浴びせかけ、レフェリーストップ。1R2分48秒TKO、このように試合は始終堀口選手のペースでした。やはり序盤からのカーフキックが身体的にも試合のリズム的にも有効だったかなという感じです。

 前述のように、この61㎏級は良い選手がひしめき合っているようですので、今後も注目していきたいと思います。15年ぶり、それも初の生での総合格闘技観戦でしたが、良い経験をさせていただきました。このような機会をいただいた方に感謝申し上げます。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
コメント
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