10月9日、NATULUCK関内セルテ 801にて、第169回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。今回の講師は、株式会社BePlus 代表取締役の小澤幸治様。「ダイエットの敵」とされがちな炭水化物である「おにぎり」をしっかり食べて、手軽に簡単に行える「おにぎりダイエット」についてお話しいただきました。
おにぎりダイエットは、何と女性なら1日に6個、男性なら7個のおにぎりを食べながら、無理なく健康的に痩せていこうというものです。「こんなに食べても大丈夫なのか?」というのがまず驚きでした。
ポイントは、摂取カロリー<消費カロリーの原則です。この関係が成り立っていれば、食べても自然に痩せていくのです。では、どの位のカロリーなら摂取しても良いのか?簡単な目安として、次の計算式で把握します。
①BMI(ボディマス指数)を求める
BMI = 体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
BMIが18.5未満が低体重、18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満とされます。男性なら22、女性なら21が標準です。現在23.8の僕は、BMI22にするには62.83㎏(標準体重)にしなければならず、5㎏ほど体重を落とさなければならないということになります。
②適性エネルギー量の計算
適正エネルギー = 標準体重 × 係数(25~30)
僕の場合、車通勤+デスクワークのため、運動強度はかなり低いと考えられるので、係数25として、適性エネルギー量は1570.75kcalということになります。2021年(当時47歳)に体重を68.8㎏から半年で60.1㎏に落とした時、1日の摂取カロリーは平均1,055kcalに抑えていました。それを考えると、1,570.75kcalも摂取して良いのか、というのは意外でした。おにぎり1個のカロリーを200kcalとすると、確かに7個食べても1,400kcalなので摂取カロリー<消費カロリーの関係が成り立つわけです。
1.糖質制限ダイエットの落とし穴
さて、ダイエットは長期戦であり、体重は一進一退を繰り返しながら落ちていくものなので、少しでも上手くいかないとやり方に疑問を感じ、集中できなくなってしまいます。したがって、「痩せる理論(しくみ)」について理解しておくことは、ダイエットを継続させる上で重要です。ダイエットは、①カロリー制限ダイエットと②糖質制限ダイエットに大別され、おにぎりダイエットは前者です。一方、巷で人気なのは後者の方ですが、これには大きな落とし穴があります。
まず、糖質制限をする理由として、糖質(ここではお米)を摂取するとなぜ太るのかについてのメカニズムについて考えてみます。①糖質(炭水化物)を食べる→②グルコースとなり血糖値が上がる→③インスリンが分泌される→④グルコースを脂肪細胞に引き込む→⑤太るという仕組みです。さらに、人は食事をすると代謝量が増加します。これを食事誘発性熱産生(DIT)といい、蛋白質は摂取エネルギーの約30%、糖質は約6%、脂質は約4%を消費すると言われています。糖質制限ダイエットは糖質を制限し、蛋白質中心の食事となるため、この高い食事誘発性熱産生も利用できるという理屈です。
しかし、糖質制限ダイエットにはデメリットもあります。一つ目は、強い空腹感。血糖値を上昇させない ため、何を食べても空腹な状態が続くことになります。満腹中枢を刺激するには、胃を拡張させる、よく噛む、血糖値を上昇させることが必要です。二つ目は、強い疲労感。糖質(炭水化物)は三大栄養素のうち最も効率の良いエネルギー源です。糖質を制限すると、脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足し、代替エネルギー源としてケトン体を生成するまでの間、エネルギー不足のために疲れやすくなる傾向があります。三つめは、維持が難しいということです。糖質制限ダイエットは、短期間で劇的に痩せますが、リバウンドするのです。エネルギー不足により、脂肪細胞ばかりか、筋肉細胞までも分解してしまい、太りやすくなるのです。
2.カロリー制限ダイエットについて
では、炭水化物を食べて痩せる、カロリー制限ダイエットについて。日本糖尿病学会は、減量や生活習慣病の食事療法として糖質制限食は、現時点ではエビデンスが不足しているとの見解を示しており、引き続きカロリー制限食を支持しています。おにぎりダイエットは、この日本糖尿病学会の糖尿病治療食事療法の考え方をベースにしています。
糖尿病食には3つのルールがあります。①摂取カロリーの制限を守る、②栄養バランスを整える、③1日3食規則正しくです。①については既に述べました。② PFCバランス(蛋白質、脂質、炭水化物の比率)のことですが、炭水化物40%~60%、タンパク質20%、脂質20%~30%に抑え、食物繊維の多い食材を摂ることを心がけます。要するに、炭水化物を摂る一方、脂質を抑えるということです。前述の2021年のダイエットの際、PFCバランス(蛋白質、脂質、炭水化物の比率)はカロリー比で、平均38.4:11.6:50.0であり、悪くはなかったと思うのですが、摂取カロリーが少なすぎたようです。確かに痩せはしましたが、筋肉量も落ちてしまうのが悩みでした。日本糖尿病学会が推奨する具体的なメニューを見てみると、ご飯に焼き魚、納豆、鶏の胸肉、皿だ、キムチ、キノコ、海藻類、野菜たっぷりの具沢山味噌汁など。要するに、普通の量の和食メニューと考えて差し支えないでしょう。③については、少量を頻度よく食べるのが良く、可能なら4食や5食に分けてもいいそうです。
3.カロリー制限ダイエットの具体的な方法
さて、僕のように好き放題飲み食いしている人がいきなりカロリー制限ダイエットに取り組むのはストレスになり、持続しない恐れがあります。今回のお話のポイントを一言で表すとすれば、「ストレスなく、難しく考えない」です。そこで、以下の①から④へと段階的に進めていきます。
①量で調整。ご飯よりむしろおかずを減らす
②お菓子・ジュースを控える
③調理方法を選択する。なるべく油を使わないもの
④おすすめの食材を取り入れる。少しずつ栄養バランスを調整する。
現在は、写真を撮るだけで自動的にカロリーやPFCバランスを出してくれるアプリも沢山あるそうです(例えば、カロミル)。大事なのは完璧を目指そうとせず、細かいことより空腹感を起こさせないことです。したがって、もし夜お腹が空いて寝られないというのであれば、おにぎりを1個食べても良いのです。たかが200kcal程度です。
それから、どうしても飲み会があったりということがあります。そんな日は、前後含む3日(最大4日)で摂取カロリーを調整します。ただし、夜飲むからと昼食を抜くというのはダメで、むしろ飲み会行く前に先におにぎりを1個、2個食べる方が良いそうです。また、アルコールを飲むのは構いませんが、飲み過ぎると筋肉を分解してしまいます。度数の高い酒を飲んで、早めに酔っぱらってしまうのが良いでしょう。
ダイエットは長期戦です。脂肪だけで体重を落とすには、月2㎏程度が限界ですので、月1㎏~1.5㎏減を目安とします。個人的に課題だと思ったのは、よく噛むこと(本当に噛まない)と適度な運動です。
4.ダイエットを継続するためのマインドセット
ダイエットを継続するために、まず以下の5つを頭に入れておくことが大事です。
①痩せても周りに気づかれない…少しずつの変化なので、それは当然だと思うことです。
②停滞期は必ず来る…停滞期は身体の防衛本能の一つです。停滞するのは当たり前と心得、ストレス緩和のため、時にはチートデイを作るのも方法です。
④不健康に痩せなさい…ダイエットを始めるとぼーっとしたり、力が入らなかったりすることがあります。これは満腹中枢が正常稼働していないためです。だからといって、栄養失調や身体に害が及ぶことはあり得ません。
⑤やる気は続かない…ダイエットは長期戦なので、やる気を低下させる時が来ます。
したがって、持続させるためには、①たとえ0.1㎏の変化でも褒めることです。喜びは習慣化につながります。次に、体重は一進一退で減っていくものなので、②1週間単位で一番体重の低いところで体重を比較します。短期の増減で一喜一憂しないことです。そして、③ストレス食いを防止するため、食事以外のストレス発散方法を事前に見つけておくことです。④運動をする場合、退屈な運動は続かないので、例えばボクササイズのような、ある程度複雑性を持ったものが良いでしょう。
実は、50歳を過ぎてから覿面に痩せなくなり、今年8月半ばに人生最大の体重を記録してしまいました。そこから一時風邪をこじらせたことも手伝い、現在4㎏ほど減っているのですが、標準体重には程遠いです。月1㎏を目安とするなら、来年3月頃には標準体重を達成したいですね。そのために、今までできていたこと、できていなかったことが今回のお話でハッキリしました。コロナ禍でやめてしまったボクシングフィットネスもいずれ再開したいと思います。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
過去のセミナーレポートはこちら。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます