8月9日、横浜スタジアムに横浜vs阪神17回戦の観戦に行ってきました。
前回の観戦は6月24日でした。この時点で横浜は借金7、その後今シーズン苦手としている広島に連敗し、借金は最大の9まで膨らんだ時期でした。ところが、その後チームは徐々に勝てるようになり、この日の試合の3試合前の中日戦でついに借金を完済。その後1勝1敗で、恐らく首位独走のヤクルトを除いた団子状態の5球団の中では投打の戦力が最も整っていると思われる阪神戦を迎えました。
横浜としては今シーズン掲げている「横浜反撃」のためにチームは波に乗れるか否かを占う重要な一戦。しかも、この日の阪神先発は地元神奈川県出身、ここまで何と12勝1敗というほぼ無敵のエース青柳投手。さらに横浜は特にこの青柳投手を苦手としており、昨年から何と0勝8敗という成績です。チームとしても対阪神戦はここ数年ほどではないにせよ、ここまで8勝8敗。チーム浮上の条件としては非常に高い壁と言えました。
対する横浜の先発は今永投手。ここまで5勝3敗ですが、何しろ立ち上がりが不安定なのと、丁寧な投球にこだわり過ぎているのか、非常に球数を要する結果、6回位までしか持たない(結果として、中継ぎ投手に負担がかかる)投球が続いています。個人的な話ですが、僕が観戦する時今永投手が登板することは結構多く、今永投手が入団した2016年以降観戦した横浜戦26試合(他球団同士の試合2試合を除く)のうち、6試合が今永投手の先発でした。そしてその成績は2勝4敗、イメージ通りあまり相性が良くありません。
しかし、この日の立ち上がりは、先頭打者の近本選手を初球で片づけると、つづく島田選手には8球粘られはしたもののショートゴロ。3番ロドリゲス選手もショートライナーと、三者凡退。課題の立ち上がりでしたが、14球で上々の滑り出しを見せます。
因みに、ショートはこの試合1番でスタメン出場の森敬斗選手。躍動感があり、守備機会のたびに観客の注目を集める華のある選手です。
さて、一方横浜の初回。一死から二番桑原選手が4球続けての四球で出塁します。ところがその桑原選手、青柳選手の投球間隔が空いた隙を突いて盗塁を試みますが失敗。牽制(というより一塁への送球)が苦手とされている青柳投手を揺さぶる上で、アイデアとして悪くなかったと思いますが、結果的に余裕のアウトでした。ただ、この日宮崎選手を外してまで左打者をずらりと並べてきたように、やられっ放しの青柳投手を何とか攻略しようという意欲は伝わってきました。
そしてありがちなことですが、走者がいなくなった直後に佐野選手がセンター前にきれいに弾き返し、出塁。さらに牧選手も5球で四球を選び、二死二塁・一塁のチャンスを作ります。しかし、続く楠本選手がファーストライナーに倒れ、無得点。
2回表。序盤不振に苦しんだとはいえ、このところ徐々に調子を取り戻しつつある強打者佐藤選手をまず三球で討ち取り、一死。ところが、続く糸原選手の何でもないレフトフライを宮本選手が目測を誤り落球。記録上はヒットでしたが、背走とはいえ決して取れない打球ではなかったので事実上のエラーですね。これで二死走者なしとなるところが、一死二塁のピンチに。
惜しむらくは、続く陽川選手をカウント1-2と追い込みながら、外角ど真ん中に甘く入ってしまったこと。これがセンター前に落ち、1vs0。
(カメラの電池が切れてしまい、以降スマホ撮影のため写真が小さくなります。申し訳ありません)さらに、二死二塁から木浪選手にカウント2-2から真ん中低めに落ちるボールを見事にすくわれ、これもセンター前に。これは打った木浪選手を褒めるしかありません。2vs0。また序盤大量失点のパターンかと思いましたが、2点で食い止めたこと(それでも相手が青柳投手では限界の失点ですが)、今永投手のテンポが3回以降非常に良くなってきたことが救いでした。しかし、強力な上位打線をしっかり抑え、下位打線に向かってからの失点だったのがもったいない。
4回裏。横浜は一死から牧選手がセンター前に弾き返し出塁。
楠本選手もレフトへ運んで続きます。これで一死二塁・一塁。続く戸柱選手はキャッチャーフライで二死二塁・一塁。
ここで宮本選手はボテボテのセカンドゴロ。ところがこれを糸原選手が一塁に悪送球。思わぬ敵失で1点を返します。2vs1。
地味な貢献としては、柴田選手。結果としてサードゴロに倒れたものの、ファウルで粘って青柳投手に8球投げさせました。青柳投手は4回終了時点で77球。このように、淡白なイメージのある横浜打線ですが、この日は何とか青柳投手に球数を投げさせようという意欲が見られました。結果的に、青柳投手は6回までで116球を要することになったのです。因みに、柴田選手は4回表にも三塁手として非常に好プレーがありました。
5回表。阪神は木浪選手が一死から再びヒットで出塁します。続く青柳投手はバントの構えから2球目でヒッティングに切り替え。これがセカンドゴロとなり、まず二塁手牧選手が遊撃手森選手に送球し、一塁走者の木浪選手がアウト。しかし、青柳投手がバントの構えを見せていたため一塁手の佐野選手と今永投手が前に突っ込んでおり、一塁が誰もいません。すると、二塁手の牧選手が自ら一塁に入り、森選手からの送球を受け、併殺プレーが完成。4-6-4という珍しいプレーでした。牧選手が一塁に入るまで待っての森選手の強肩ぶりも素晴らしいものでした。
今永投手は尻上がりに調子を上げ、6回終了時点で77球。結果的には9回を投げ切り、113球、被安打4、奪三振5、無四球、失点2という素晴らしい内容でした。試合前の「(後ろの投手を休ませるため)長いイニングを投げる」という宣言通りでした。
6回裏、ついに青柳投手攻略の時が。すでに100球に達した青柳投手に対し、先頭の牧選手がレフトへの二塁打で出塁します。続く楠本選手が送って一死三塁。
外野フライでもという局面で、とっておきの代打オースティン選手が登場します。そのオースティン選手、期待された外野への大飛球ではなくセカンドゴロでしたが、打球が青柳投手のグラブをはじいた結果、打球方向が変わり二塁手糸原選手がバランスを崩したため、打球処理がワンテンポ遅れました。その結果、本塁送球ができず、牧選手が生還。ついに同点に追いつきます。
そして9回裏。阪神は7回浜地投手、8回湯浅投手とつなぎ、9回は加治屋投手が登板。こうしてみると阪神は本当に中継ぎ陣が充実していると思います。
しかし、横浜は先頭の楠本選手が9球粘って四球で出塁。代走で蛯名選手が一塁に立ちます。ところが、続く嶺井選手がバント失敗。幸い併殺崩れで嶺井選手は何とか生き残ります。このプレーは阪神矢野監督からのリクエストによりリプレイ検証となりますが、肉眼で見ても二塁はアウトでしたし、一塁はセーフでした。これで一死一塁。さらに、宮本選手が送って二死二塁とします。
ここで横浜は柴田選手に代えて宮崎選手を送りますが、当然申告敬遠となります。
さらに三浦監督は今永投手の代打に地元東海大相模出身、大田選手を指名。沸き立つ観衆。その大田選手に投じた初球が暴投となり、走者がそれぞれ進塁。二死三塁・一塁となります。1点目の時もそうでしたが、この試合、小さなミスが結果的に命取りとなりました。恐らく二塁・一塁のままであれば、嶺井選手は生還できなかったかもしれません。
そして二球目。暴投の影響もあったのか、カットボールが真ん中やや外寄りに甘く入りました。これを大田選手が逃さずレフト前へ。サヨナラ打となり、横浜はついに天敵青柳投手登板の試合をモノにしました。今永投手の投球、柴田選手、牧選手、森選手等の好守備、そして青柳投手攻略のためあの手この手で仕掛けた打線。今後上位を狙う上で最も難敵となるだろう阪神相手に三連戦の頭を取ることができました。
横浜は47勝46敗で二位阪神に0.5ゲーム差と肉薄。今後の結果次第では、この試合は大きなターニングポイントだったと言える試合になるかもしれません。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした