「収蔵品展026 わが山河/(F1 疾走するデザイン)」 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー新宿区西新宿3-20-2
「収蔵品展026 わが山河/(F1 疾走するデザイン)」
4/12-6/29



しばらく前のことになりますが、コンポージアムの際に少し立ち寄りました。アートギャラリーで開催中の表題の二つの展覧会です。

メインはもちろんF1展ですが、車に疎い私の関心はどうしても所蔵絵画展に向いてしまいます。今回の収蔵品展は大作も目立つ、いわゆる純然たる日本画の展覧会です。冒頭に登場する稗田一穂の「春満つ谿」は、縦170センチ、横360センチの大画面に、山深き里の桜が描かれた美しい日本画でした。またタイトルの『山河』に因み、文字通り山や河の光景を描いたものも多く出品しています。一例は中路融人の「伊吹山」でしょう。ちょうど東京から新幹線に乗ってこの山を右手に見ると関西に来たという気がするシンボリックな場所(霊峰としても名高い山です。)ですが、あの特徴的なお椀型をした伊吹山の景色が荒涼たる雪化粧をまとって雄大に表されています。前景の杉林と広がる田畑、そして後景の山との対比も見事でした。



巴水が4点出ていたのも思わぬ収穫です。田子の橋上からぽっと空に突き出した富士を見る「田子之浦橋」、雪に覆われた山深き吉田の富士を描く「吉田乃雪晴」、または山中湖畔より寂し気な富士を眺めた「山中湖」、さらにはこれまた新幹線の車窓でもお馴染みの富士川越しの富士全景の示された「富士川」など、どれもが富士をモチーフにした詩心豊かな作品でした。ちなみにそのいずれもが渡辺版です。特に「富士川」での巴水ブルーは目に染み入ります。

最後に待ち構えていたのは、廃墟画でお馴染みの元田久治でした。銀座、雷門、新宿・歌舞伎町の光景がいつものように廃墟化して描かれていますが、とりわけ無惨にもビルの崩れた歌舞伎町の景色が今の状況あまり変わらないように見えるのが不思議でなりません。猥雑な都会の風景は、廃墟のような負のイメージとも常に重なり合っているのでしょうか。



一応、メインにも触れておこうと思います。F1展は私のような初心者にも開かれた親しみの易い展示です。(ただしその分、詳しい方にとっては物足りない部分が多いと思われます。)歴代の名車の並ぶ中で私が一番の惹かれたのは、銀色に光るエンジンの排気口が剥き出しになった、1966年の「Brabham BT20」(イギリス)でした。カラーリングの深い緑がとても艶やかです。また最後の映像コーナーでの「F1の50年」も理解を助けてくれました。

JDN /JDNリポート /F1 疾走するデザイン(「Brabham BT20」の他、展示の様子が写真で掲載されています。)

収蔵品展、F1展とも6月29日までの開催です。
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