「琳派・若冲と雅の世界」 そごう美術館

そごう美術館
「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」
5/26~7/16



そごう美術館で開催中の「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」へ行って来ました。

本展に先立つPart1では「京」をテーマに、細見美術館の様々な日本美術品を紹介した同展覧会ですが、後半のPart2では、主に同館で最も定評のある琳派、そして人気の若冲を一同に出品しています。

構成は以下の通りでした。

1.祈りの美
2.王朝の雅と源氏絵
3.華麗なる琳派
4.若冲の魅惑



「六観音像のうち『如意輪観音』」 鎌倉後期

冒頭は仏画です。中でも状態良好、美しい色を残す鎌倉後期の「六観音像」に惹かれた方も多いのではないでしょうか。

また続く物語文学に主題をとる「王朝の雅」では、いわゆる源氏絵の「白描源氏物語絵巻断簡」の繊細極まりない線描が見どころです。

それにここではなんと虫たちの婚礼の姿をコミカルに描いたという住吉如慶の「きりぎりす絵巻」が忘れられません。

玉虫姫と蝉の婚礼を擬人化した作品ですが、一見優美な大和絵の中に、袴を羽織りながらも大きな羽を従えた蝉たちが何匹ならぬ、何人も登場しています。

この想像力豊かな絵巻こそ、前半のハイライトに相応しい作品でした。

さて後半は琳派、そして若冲です。墨の濃淡のみで巧みに犬を描く宗達の「双犬図」にはじまり、簾越しに広がる秋の景色を叙情的に示した渡辺始興の「簾に秋月図」などと続きます。


酒井抱一「槙に秋草図屏風」 江戸後期

抱一は2点です。菊や女郎花などが槇の下に群れる「槇に秋草図屏風」、そして扇面という曲線の空間を構図にも活かした「扇面貼交屏風」という、ともに洒脱な画風をとる作品が展示されていました。


鈴木其一「水辺家鴨図屏風」(部分) 江戸後期

琳派で主役を張るのは其一かもしれません。こちらは弟子の守一とあわせて5~6点ほど出ています。

また作者不詳ながらも江戸琳派のテイストを残す「四季草花草虫図屏風」にも要注目です。

右隻に金、左隻に銀地を配し、右から春夏秋冬、季節の草花や虫などを描いた屏風絵ですが、時に流麗な草花などはそれこそ抱一などの画風を伝えるものの、一番左の雪に覆われた木の表現には異様なまでの迫力があります。

今回のイチオシとしても良いかもしれません。

若冲は得意の鶏ワールドです。墨画がメインですが、「鶏図押絵貼屏風」しかり、右を向いても左を向いてもアクロバットな動きを見せる鶏たちしか目に入りません。

また生没年不詳、一時は若冲の子とも伝えられたという若演なる人物の「遊鶏図押絵貼屏風」も楽しさ満点です。

こちらの鶏はさらに強烈、蔓にのってぶらぶら揺れる鶏など、殆どあり得ない様態が描かれています。思わず笑ってしまいました。


土佐光吉「源氏物語図色紙『初音』」 江戸初期

全国津々浦々、ご出張も多い細見コレクションということで、既視感を覚えたことも事実ですが、Part1と合わせ、一定数楽しめたのは良い機会となりました。

なお余談ですが、そこう美術館のミュージアムショップがリニューアルしていました。

展覧会グッズだけでなく、インテリア関係など、デパートならではの楽しいショップになった気がします。

「すぐわかる琳派の美術/仲町啓子/東京美術」

6月に予定されている山下、仲町両先生の講演会は、既にソールドアウトだそうです。さすがの人気です。

「一夜漬け日本美術史/監修:山下裕二/美術出版社」

7月16日まで開催されています。

「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」 そごう美術館
会期:5月26日(土)~7月16日(月・祝)
休館:そごう横浜店の休日に準じる。
時間:10:00~20:00 *最終日は17時閉館。
住所:横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階
交通:JR線横浜駅東口よりポルタ地下街通路にて徒歩5分。
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