都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「堂島リバービエンナーレ2015」 堂島リバーフォーラム
堂島リバーフォーラム
「堂島リバービエンナーレ2015」
7/25~8/30

堂島リバーフォーラムで行われている堂島リバービエンナーレを見てきました。
大阪は中之島、堂島川北のリバーフォーラムを舞台に開催されてきた堂島リバービエンナーレ。今年で4回目だそうです。
ディレクターはイギリス人のトム・トレバー。テーマは「Take Me To The Riverー同時代性の潮流」です。国内外の計15組のアーティストが作品を展示しています。
会場内、撮影が出来ました。
さて展示、テーマからしても、ともかく水、あるいは川を連想させるインスタレーションが目立ちます。

島袋道浩「浮くもの/沈むもの」 2010年
目の前の堂島川を借景にしているのが島袋道浩です。「浮くもの/沈むもの」と題された2点の作品、盥です。50センチ以上ある盥に水が張られ、そのにはレモンでしょうか。またトマトがそれぞれ2つずつ入れられています。
浮くもの、沈むもの。確かに各々1つだけは浮き、またもう1つは沈んでいることが見て取れます。

島袋道浩「浮くもの/沈むもの」 2010年
さらに不思議なのは浮く野菜が沈む野菜の周りをぐるぐると回っていることです。盥の中には水流の発生装置が付けられていましたが、どのように調整すればかくも器用に野菜が浮き、また回るのでしょうか。見当もつきません。

スーパーフレックス「水没したマクドナルド」 2008年
ショッキングです。溢れんばかりの水が店舗を飲み込みます。デンマークのスーパーフレックスが手がけたのは「水没するマクドナルド」。映像です。まさに読んで字のごとくとはこのことでしょう。本物の店舗なのでしょうか。世界共通、どこへ行っても変わらないマクドナルドの店舗へなだれ込むのは大量の水。かなりの勢いがあります。次第に水位はあがり、レジカウンターの高さまで迫りました。いとも簡単にドナルドが水に飲み込まれます。何時しかポテトや包装紙やらも巻き込み濁流と化していました。
制作は2008年。しかしながらどうしてもあの惨たらしい津波の様子を思い出してなりませんでした。

笹本晃「トーキング・イン・サークルズ・トーキング」 2015年
笹本晃は氷を取り込みました。暗がりで宙づりになるたくさんの氷の円い板。一つ一つが紐で縛られていますが、中に何かが入っていました。たとえば眼鏡です。水と一緒に凍らされたのでしょう。レンズは完全に氷の中にあります。フレームの一部のみがはみ出していました。

笹本晃「トーキング・イン・サークルズ・トーキング」 2015年
そして聞こえるのはポタポタと滴る水の音です。下にはステンレス製のボールでしょうか。それが置かれ、水が跳ねています。この暑い時期、クーラーがあれども氷はすぐに溶けてしまうはず。最後は無くなって眼鏡も落下するのでしょうか。

プレイ「IE:PLAY HAVE A HOUSE」 2015年
実際の川に沿ったプロジェクトを行ったグループがいます。プレイです。1967年に関西を拠点に結成されたアーティスト集団。舞台は淀川です。1970年代初頭に作られた「IE」なる家を再現。当時、この家を川に浮かべては6日間過ごしたそうですが、今年になって再びIEを川に下ろしては過ごしました。

プレイ「IE:PLAY HAVE A HOUSE」 2015年
管理は行政にあるとはいえ、本来は何者のものでもない川に家を半ば建てては暮らすという試み。プレイは「理由がなく」、「ただ開放されたら永遠の時間と空間のみ」(解説シートより)を求めるという表現を行っているそうです。

下道基行「漂泊之碑」 2014-2015年
下道基行も海や川をテーマにした作品を展示しています。波打ち際を映したカウンター、並ぶのはガラスのボトル。高さも大きさもまちまちです。中にはかなり汚れているものもあります。
結論からすればこれは沖縄の海岸で拾ったもの。ただし下道はそれだけに留まらず、このガラスを溶かしては新たなる容器を作るという取り組みも行っています。言われてみればボトルの前はいくつか小さなコップがありました。海を漂流したゴミに再び息吹を与えているということなのかもしれません。

池田亮司「data.tecture [3SXGA+ version]」 2015年
最大のスペースを用いているのが池田亮司です。長さ20メートルはあるでしょうか。巨大なフロアの床にて展開されるのは得意の映像プロジェクション。データの断片なのか、ノイズも交じる軽快なサウンドの元、次から次へとイメージがスピーディーに変容していきます。

池田亮司「data.tecture [3SXGA+ version]」 2015年
川の流れを模しているのかもしれません。横に繋がり、次第に縦へ、そして奥から手前へと網の目のように広がるデータ。スピード感があります。上にあがれました。さも波に揺れるかのようにデータに乗っては、流れに身を任せることも出来ます。
東京都現代美術館での個展を思い出しました。確かに大変なスケール感です。ビエンナーレのハイライトと言えるかもしれません。

照屋勇賢「告知ー森」 2005年
他にはショッピングバックの切り抜きで知られる照屋勇賢のほか、ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館の代表作家であるヒト・スタヤルなどのインスタレーションも目を引きました。

メラニー・ジャクソン「不快な人々」 2007年
リバーフォーラム内、地下1階から4階までの大小様々なスペースで繰り広げられている展示です。実は今年初めての観覧でしたが、思っていたより分量がありました。また映像が多めです。ある程度時間に余裕をもって出かけられることをおすすめします。
4階の展示のみ他の会場と入口が異なりました。受付で案内がありますが、お見逃しなきようご注意下さい。

堂島リバーフォーラム
リバーフォーラムと川を挟んだ南側、国立国際美術館のティルマンス展の半券を提示すると観覧料が200円引になりました。あわせて見るのも楽しいのではないでしょうか。
8月30日まで開催されています。
「堂島リバービエンナーレ2015」(@BIENNALE2015) 堂島リバーフォーラム
会期:7月25日(土)~8月30日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、高校・大学生700円、小学・中学生500円。
住所:大阪市福島区福島1-1-17
交通:JR東西線新福島駅、阪神本線阪神福島駅、京阪中之島線中之島駅から徒歩約5分。
「堂島リバービエンナーレ2015」
7/25~8/30

堂島リバーフォーラムで行われている堂島リバービエンナーレを見てきました。
大阪は中之島、堂島川北のリバーフォーラムを舞台に開催されてきた堂島リバービエンナーレ。今年で4回目だそうです。
ディレクターはイギリス人のトム・トレバー。テーマは「Take Me To The Riverー同時代性の潮流」です。国内外の計15組のアーティストが作品を展示しています。
会場内、撮影が出来ました。
さて展示、テーマからしても、ともかく水、あるいは川を連想させるインスタレーションが目立ちます。

島袋道浩「浮くもの/沈むもの」 2010年
目の前の堂島川を借景にしているのが島袋道浩です。「浮くもの/沈むもの」と題された2点の作品、盥です。50センチ以上ある盥に水が張られ、そのにはレモンでしょうか。またトマトがそれぞれ2つずつ入れられています。
浮くもの、沈むもの。確かに各々1つだけは浮き、またもう1つは沈んでいることが見て取れます。

島袋道浩「浮くもの/沈むもの」 2010年
さらに不思議なのは浮く野菜が沈む野菜の周りをぐるぐると回っていることです。盥の中には水流の発生装置が付けられていましたが、どのように調整すればかくも器用に野菜が浮き、また回るのでしょうか。見当もつきません。

スーパーフレックス「水没したマクドナルド」 2008年
ショッキングです。溢れんばかりの水が店舗を飲み込みます。デンマークのスーパーフレックスが手がけたのは「水没するマクドナルド」。映像です。まさに読んで字のごとくとはこのことでしょう。本物の店舗なのでしょうか。世界共通、どこへ行っても変わらないマクドナルドの店舗へなだれ込むのは大量の水。かなりの勢いがあります。次第に水位はあがり、レジカウンターの高さまで迫りました。いとも簡単にドナルドが水に飲み込まれます。何時しかポテトや包装紙やらも巻き込み濁流と化していました。
制作は2008年。しかしながらどうしてもあの惨たらしい津波の様子を思い出してなりませんでした。

笹本晃「トーキング・イン・サークルズ・トーキング」 2015年
笹本晃は氷を取り込みました。暗がりで宙づりになるたくさんの氷の円い板。一つ一つが紐で縛られていますが、中に何かが入っていました。たとえば眼鏡です。水と一緒に凍らされたのでしょう。レンズは完全に氷の中にあります。フレームの一部のみがはみ出していました。

笹本晃「トーキング・イン・サークルズ・トーキング」 2015年
そして聞こえるのはポタポタと滴る水の音です。下にはステンレス製のボールでしょうか。それが置かれ、水が跳ねています。この暑い時期、クーラーがあれども氷はすぐに溶けてしまうはず。最後は無くなって眼鏡も落下するのでしょうか。

プレイ「IE:PLAY HAVE A HOUSE」 2015年
実際の川に沿ったプロジェクトを行ったグループがいます。プレイです。1967年に関西を拠点に結成されたアーティスト集団。舞台は淀川です。1970年代初頭に作られた「IE」なる家を再現。当時、この家を川に浮かべては6日間過ごしたそうですが、今年になって再びIEを川に下ろしては過ごしました。

プレイ「IE:PLAY HAVE A HOUSE」 2015年
管理は行政にあるとはいえ、本来は何者のものでもない川に家を半ば建てては暮らすという試み。プレイは「理由がなく」、「ただ開放されたら永遠の時間と空間のみ」(解説シートより)を求めるという表現を行っているそうです。

下道基行「漂泊之碑」 2014-2015年
下道基行も海や川をテーマにした作品を展示しています。波打ち際を映したカウンター、並ぶのはガラスのボトル。高さも大きさもまちまちです。中にはかなり汚れているものもあります。
結論からすればこれは沖縄の海岸で拾ったもの。ただし下道はそれだけに留まらず、このガラスを溶かしては新たなる容器を作るという取り組みも行っています。言われてみればボトルの前はいくつか小さなコップがありました。海を漂流したゴミに再び息吹を与えているということなのかもしれません。

池田亮司「data.tecture [3SXGA+ version]」 2015年
最大のスペースを用いているのが池田亮司です。長さ20メートルはあるでしょうか。巨大なフロアの床にて展開されるのは得意の映像プロジェクション。データの断片なのか、ノイズも交じる軽快なサウンドの元、次から次へとイメージがスピーディーに変容していきます。

池田亮司「data.tecture [3SXGA+ version]」 2015年
川の流れを模しているのかもしれません。横に繋がり、次第に縦へ、そして奥から手前へと網の目のように広がるデータ。スピード感があります。上にあがれました。さも波に揺れるかのようにデータに乗っては、流れに身を任せることも出来ます。
東京都現代美術館での個展を思い出しました。確かに大変なスケール感です。ビエンナーレのハイライトと言えるかもしれません。

照屋勇賢「告知ー森」 2005年
他にはショッピングバックの切り抜きで知られる照屋勇賢のほか、ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館の代表作家であるヒト・スタヤルなどのインスタレーションも目を引きました。

メラニー・ジャクソン「不快な人々」 2007年
リバーフォーラム内、地下1階から4階までの大小様々なスペースで繰り広げられている展示です。実は今年初めての観覧でしたが、思っていたより分量がありました。また映像が多めです。ある程度時間に余裕をもって出かけられることをおすすめします。
4階の展示のみ他の会場と入口が異なりました。受付で案内がありますが、お見逃しなきようご注意下さい。

堂島リバーフォーラム
リバーフォーラムと川を挟んだ南側、国立国際美術館のティルマンス展の半券を提示すると観覧料が200円引になりました。あわせて見るのも楽しいのではないでしょうか。
8月30日まで開催されています。
「堂島リバービエンナーレ2015」(@BIENNALE2015) 堂島リバーフォーラム
会期:7月25日(土)~8月30日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000円、高校・大学生700円、小学・中学生500円。
住所:大阪市福島区福島1-1-17
交通:JR東西線新福島駅、阪神本線阪神福島駅、京阪中之島線中之島駅から徒歩約5分。
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