「鉄道遺構・再発見」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「鉄道遺構・再発見」 
8/27-11/1



リクシルギャラリーで開催中の「鉄道遺構・再発見」を見てきました。

主に明治から昭和初期に敷設され、地域の輸送を担いながらも、様々な環境の変化などにより、使われなくなってしまった鉄道路線。いわゆる廃線です。その跡に焦点を当てた展示です。全国に点在する14箇所の鉄道遺構を紹介しています。


士幌線「第四音更川橋梁」

ダイナミックなまでのコンクリート製のアーチが連なっています。北海道は十勝平野の士幌線です。昭和14年までに帯広~十勝三股間が開通。当時、道内で最も標高の高かった同駅へ至るルートには大小60ものアーチ橋が作られたそうですが、昭和62年に廃線。撤去、解体が予定されたものの、地域の保存運動などにより、一部が今に残ることとなりました。

うち幾つかは国の有形文化財にも指定されています。キャプションに「古代遺跡」と記されていましたが、確かにそうした趣きも漂わせているのではないでしょうか。自然の中で風化しながらも毅然と立つアーチ橋。きっと走る汽車も映えたに違いありません。


碓氷線「第三橋梁(めがね橋)」

通称、めがね橋と呼ばれるのは碓氷峠のアーチ橋です。全長90メートルで高さは30メートル。煉瓦造りとしては日本で最大規模のアーチ橋として知られています。

碓氷峠に鉄道が開通したのは明治26年。ともかく急峻な山岳地帯、旧国鉄一の急勾配でもあります。どのような方法で山を越えるかについて度々調査が行われたそうですが、結果的に技術者のローマン・アプトが考案したレールが採用されました。

そのアプトを顕彰してのことでしょうか。平成13年には横川からここ第三橋梁までが「アプトの道」として整備されました。そしてアーチ橋自体が重要文化財でもあります。


足尾線「第一松木川橋梁」・「田元橋」

足尾線の鉄道遺構もまとめて紹介されています。炭鉱で栄えた同地域、明治時代から鉄道が敷かれ、多くの人や物が運ばれました。水力発電も利用した足尾、何でも日本で一番最初に開通した電気鉄道は足尾銅山の坑内にあったそうです。


足尾線・鉄道遺構

数多くの橋にトンネル。一部は今もわたらせ渓谷鉄道がそのまま利用しています。言わば現役の鉄道遺構でもあるわけです。


中央本線「大日影トンネル」

鉄道施設とは別に活用している遺構がありました。中央本線の旧大日影トンネルと深沢トンネルです。場所は山梨県。明治36年に開通しましたが、昭和43年の複線化工事のため、新トンネルが開削。さらに後の線路改良工事により、旧トンネルは全面的に閉鎖されました。


中央本線「深沢トンネルワインカーブ」

それを平成17年に遊歩道として整備。また周囲はワインの産地でもあります。同じく使われなくなった向かいの深沢トンネルはワインの貯蔵庫として活用されました。

トンネル内の温度や湿度はワインを熟成させるために適した環境なのだそうです。言わば鉄道が産んだ天然のワイン貯蔵庫。今では個人のためのスペースが特に人気を集めています。オーナーになるには7年ほど待たなくてはなりません。

比較的、身近な場所にも鉄道遺構がありました。横浜のみなとみらいです。大正時代、当時は東洋一とも呼ばれた横浜新港への輸送路として横浜臨港線が開業しました。


山下臨港線プロムナード

一方で戦後に開通したのが山下臨港線。このうちの一部が現在の山下臨港線プロムナードとして整備されています。周囲は横浜中心部屈指の観光地。ちょうど新港地区から山下公園へのルートでもあることから、一度は通ったことのある方も多いのではないでしょうか。


魚梁瀬森林鉄道「4.5tディーゼル機関車L-69号」 1/17模型

遺構を捉えた写真はいずれも土木写真家の西山芳一氏によるもの。迫力があります。またほぼ写真パネルで構成された展示ですが、ほかにもレールや鉄道模型などもありました。鉄道好きにも嬉しい内容だと言えそうです。


「鉄道遺構・再発見」会場風景 *手前:国内で使われている12種類のレール

11月21日まで開催されています。

「鉄道遺構・再発見」 LIXILギャラリー
会期:8月27日(木)~11月21日(土)
休廊:水曜日。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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