「柚木沙弥郎 絵本の仕事展」 市川市芳澤ガーデンギャラリー

市川市芳澤ガーデンギャラリー
「柚木沙弥郎 絵本の仕事展」
2020/6/23〜8/16



市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催中の「柚木沙弥郎 絵本の仕事展」を見てきました。

1922年に東京で生まれた柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)は、20代半ばから染色家として活動しながら、70歳を過ぎた頃から描画や版画、それに立体造形なども手掛け、絵本も数多く制作してきました。

その柚木沙弥郎の主に絵本に着目したのが「柚木沙弥郎 絵本の仕事展」で、絵本の原画を中心に、書籍の装丁、挿画などの作品が展示されていました。

さて会場内には絵本の原画が多数並んでいましたが、私が特に魅せられたのは「せんねんまんねん」と「雨ニモマケズ」でした。


「せんねんまんねん」はまどみちおの原作で、ヤシの実を起点に、あらゆるものがつながっては世界を巡り、時空を超えたいのちの旅の物語を、鮮やかな水彩にて表現していました。特に七色の帯を背景に水玉模様が浮遊する、「はるなつあきふゆ」の幻想的な情景が目に染みました。


一方で「雨ニモマケズ」は宮沢賢治のテキストを絵本に昇華した作品で、賢治の言葉と柚木の挿画が互いに響き合うように展開していました。

青いビー玉が転がる光景から始まる「そしたらそしたら」は、谷川俊太郎の原作に柚木がイラストをつけた絵本で、ハプニング的な出来事へ擬音が発せられる様子を生き生きと描いていました。先の読めない物語にシュールな面白さがあるとともに、黒い輪郭線を強調した可愛らしい動物の描写も魅力的と言えるかもしれません。

ともかく全ての原画の色彩が驚くほどに瑞々しく、また絵本を開いて読むのとは異なった味わいが感じられました。



この他では、アダンの葉や毛糸などで作った「キキ」や「グーグー」のオブジェや、板絵やガラス絵、それに柚木自らの蒐集品なども興味深く覚えました。カラフルな絵本の世界が万華鏡のように広がっているような印象も与えられるかもしれません。

柚木は97歳の今もなお新作を発表し、制作活動を続けています。「楽しくなくっちゃ、つまらない」と語り、常に「発見する意識」を持とうとする、ポジティブな生活や制作のスタンスにも感銘を受けるものがありました。



新型コロナウイルス感染症対策に関する情報です。入館は電話での事前予約制です。各開館日の10時、11時、12時、13時、14時、15時の6回の時間枠を予め指定する必要があります。各回は40分での完全入れ替え制です。(詳細は公式サイトへ)また当日でも空きがある場合は予約可能です。

マスクの着用のほか、検温、手指の消毒が行われ、ロッカーは使用できません。お出かけの際はご注意下さい。



会場より約5分ほどの場所にある「hana」@hanahomemade)は、柚木のお孫さんが経営されるホームメイドの洋菓子店で、絵本に登場する動物のクッキーなどを販売しています。クッキー以外ではチーズケーキやブラウニーもおすすめです。パッケージデザインも柚木が手掛けています。



通常、日曜と祝日は休業していますが、柚木展の開催期間中は16時半まで臨時営業しています。(火曜〜土曜は通常営業)絵本や葉書などの関連商品も販売中です。



私も展覧会を見た後はお店へ行き、クッキーやチーズケーキを買って帰りました。芳澤ガーデンギャラリー内にも「hana」への案内がありましたが、立ち寄られることをおすすめします。


間もなく会期末です。8月16日まで開催されています。

「柚木沙弥郎 絵本の仕事展」 市川市芳澤ガーデンギャラリー
会期:2020年6月23日(火)〜8月16日(日) *会期変更
休館:月曜日。但し8月10日(月・祝)は開館、8月11日(火)は休館。
時間:10:00~15:40 *事前予約制。
料金:一般600円、65歳以上500円、中学生以下無料。
住所:千葉県市川市真間5-1-18
交通:JR線市川駅より徒歩16分、京成線市川真間駅より徒歩12分。
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