「漫画『もしも東京』展」 東京都現代美術館

東京都現代美術館
「漫画『もしも東京』展」
2021/8/4〜9/5



日本を代表する20名の漫画家が「東京」をテーマに作品を描いた展覧会が、東京都現代美術館にて開かれています。

それが「漫画『もしも東京』展」で、同館内の講堂、水と石のプロムナード、さらには中庭にてインスタレーションを含む多様な作品を展示していました。


黒田硫黄「天狗跳梁聖橋下」

まずはじめの地下2階講堂では、浅野いにおや出水ぽすか、それに松本大洋ら18名の漫画家が新作を公開していて、中には黒田硫黄の屏風仕立ての「天狗跳梁聖橋下」や松井優征の天井付近にまで達する「都庁ロボ」といったコマから飛び出したような大きなスケールの作品もありました。


「漫画『もしも東京』展」講堂展示風景

またいずれもコマへと入り込む小部屋にて作品を展示していて、それこそ街の路地を彷徨うようにして鑑賞できるように作られていました。


松本大洋「東京の青猫」

松本大洋は、詩人、荻原朔太郎が「青猫」にて詠った東京に着想を得た「東京の青猫」を展示していて、ビルの立ち並ぶ道路や海から都内を一望した景色などを繊細なタッチで描いていました。いわば「青猫」とのコラボレーションと呼べるのかもしれません。


太田垣康男「the next day」

太田垣康男の「the next day」は、漫画家としてデビューするために上京した後の経験を描いていて、東京の街や様々な人との出会いなどのストーリーを辿ることができました。なお本作はかつて上京前夜までを描いた1989年のデビュー作、「My revolution」の続編に当たるそうです。


浅野いにお「TP」

このほか、近未来の東京を舞台に恋愛物語を展開した浅野いにおの「TP」も面白いのではないでしょうか。また単に東京をテーマにした作品と言っても、過去の思い出や好きな場所を素材にしていたり、さらには全くのパラレルワールドを設定するなど多様であるのも楽しく感じられました。


大童澄瞳「East East」

講堂に続くのが屋外の「水と石のプロムナード」で、大童澄瞳が6つの透明なアクリル板による「East East」を展示していました。そこには東京の環境や状態をカブや温室、また神秘的な人の姿に置き換えて描いていて、まるで複数の漫画のコマが立体的に展開したインスタレーションのようでした。

ラストの中庭では石塚真一が、サックスを演奏する人物を表した「Tokyo Sound」を公開していました。


石塚真一「Tokyo Sound」

これはジャズを主題とした「BLUE GIANT」の主人公をモデルとしていて、サックスの部分に東京スカイツリーや新国立競技場などの東京の名所がコラージュするように描いていました。


石塚真一「Tokyo Sound」(サックス部分)

写真や遠目からでは分からないかもしれませんが、道路や電車、また都内の建物、さらには寿司やダルマといった日本のモチーフも細かに散りばめられていました。知っている場所を探してみるのも楽しいかもしれません。


小畑友紀「願い」

オンラインでの事前予約システムが導入されました。屋外の展示は自由に観覧可能でしたが、講堂については予約がないと入場できません。


松井優征「都庁ロボ」

観覧は無料、撮影もできました。


夏の1ヶ月間限定の展覧会です。9月5日まで開催されています。*一番上の作品は萩尾望都「江戸〜東京 300年マーチ」

「漫画『もしも東京』展」@moshimo_tokyo) 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2021年8月4日(水)〜9月5日(日)
休館:8月16日・23日
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:無料。*講堂のみ事前予約制
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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