「北斎づくし」 東京ミッドタウン・ホール

東京ミッドタウン・ホール
「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』」
2021/7/22~9/17



東京ミッドタウン・ホールで開催中の「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』のプレス内覧会に参加してきました。

江戸時代後期に活躍した葛飾北斎は、20歳で浮世絵師としてデビューすると、90歳で没するまで活動し、生涯に渡って3万点もの膨大な作品を描きました。

その北斎の生誕260年を期して行われているのが「北斎づくし」で、代表作といえる「北斎漫画」、「冨嶽三十六景」、それに「富嶽百景」などの作品が一堂に公開されていました。



今回の北斎展の大きな特徴として挙げられるのが、「北斎漫画」、「冨嶽三十六景」、そして「富嶽百景」の全点、及び全図が公開されていることで、通常、見開きのみで展示される機会の多い「北斎漫画」についても883もの全てのページを鑑賞することができました。


「北斎漫画」第十一編

これは世界一の「北斎漫画」のコレクターとされる、浦上蒼穹堂の浦上満がコレクションを提供したことによって実現したもので、全15編、約500冊にも及ぶ「北斎漫画」が各巻毎にずらりと並んでいました。


「冨嶽三十六景」展示室

人気の「冨嶽三十六景」も全ての作品が揃っていて、有名な「神奈川沖浪裏」や「颱風快晴」なども一度に見ることができました。なお北斎が晩年に描いた「冨嶽三十六景」は、当初の36枚から10枚追加されたため、全部で46枚の作品が残されました。



こうした一連の全図公開と並んで展覧会の見どころといえるのが、作品を引き立てるような空間デザインとグラフィックでした。



まず空間デザインは建築家の田根剛が担っていて、「北斎漫画」の展示室では同作のモチーフを壁からバナー、床面、さらには展示台にプリントしていました。賑やかな縁日のような雰囲気が醸し出されていたかもしれません。


展覧会カタログ(特設ショップから)

また会場グラフィックを祖父江慎が手掛けていて、新聞サイズの超大判特製カタログのアートディレクションもつとめました。江戸時代の木版摺物に触発されたという546×406ミリものカタログは、もはや前例がないと言って良いほど個性的ではないでしょうか。


「読本」展示室

「新編水滸画伝」などの読本が並んだ展示室では、作品のモチーフが拡大されて壁や床にプリントされていて、あたかも絵の中に入り込んでいくような感覚を得ることができました。「北斎漫画」の白、「冨嶽三十六景」の赤、そして読本や「富嶽百景」の黒をそれぞれ基調とした展示室など、順を追って変化する空間構成も効果的だったかもしれません。


デジタル展示シアター

この他、北斎作品のアーカイブを用いたデジタル展示シアターでは、壁3面と和紙のスクリーンに「北斎漫画」や「冨嶽三十六景」のモチーフが映されていて、演出効果とともにライブ感をもって作品を楽しめました。



北斎のデザインを巧みに落とし込んだグッズが並ぶ特設ショップも魅惑的ではないでしょうか。グッズの制作秘話を極小の文字で書いた「グッズ小咄」も楽しく思えました。

混雑緩和のためオンラインでの日時予約制が導入されました。時間枠に余裕がある場合のみ、会場でも当日券を限定数販売しています。最新の販売情報については公式Twitterアカウント(@Hokusaidukushi)をご覧ください。


「北斎漫画」第八編

会場内のキャプションは限定的なため、作品への理解を深めるのに音声ガイドが有用かもしれません。作品解説に加え、浦上や田根などのインタビューも収録されていました。


一部展示を除いて撮影も可能です。(*本エントリの写真はプレス内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。)



会期は中盤から終盤へと差し掛かりました。9月17日まで開催されています。

「生誕260年記念企画 特別展『北斎づくし』」@Hokusaidukushi) 東京ミッドタウン・ホール
会期:2021年7月22日(木.祝)~9月17日(金)
休館:8月24日、9月7日。
時間:11:00~19:00
 *最終入場は18:30まで。
料金:一般1800円、大学・専門学生1200、高校生・小中学生900円。
場所:港区赤坂9-7-2 東京ミッドタウンB1
交通:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。
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