「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」 メゾンエルメス

メゾンエルメス
「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」
2021/8/13~11/30



メゾンエルメスで開催中の「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」を見てきました。

1928年にアルゼンチンで生まれ、フランスへ移住して活動するジュリオ・ル・パルクは、視覚的錯覚あるいは動力を用いたキネティック・アートの作品を手がけ、ゲームの要素を取り入れた観客参加型のインスタレーションなどを制作してきました。

そのル・パルクの色をテーマにした日本初個展が「ル・パルクの色 遊びと企て」で、同ギャラリーの2つのフロア、及びビルの壁面にあたるファサードに多様な作品を展示していました。



当初、モンドリアンやロシア構成主義に影響を受けたル・パルクは、幾何学的な抽象画を制作していて、1960年代に入るとキネティックアートやオプアートのアーティストらによる視覚芸術探究グループ(GRAV)の創立メンバーとして活動しました。



ル・パルクは1959年より黒と白を出発点に、自身が構想した14色を用いた作品を展開していて、色をさまざまな組み合わせながら、平面や立体に表現していました。



冒頭には1950年代から70年代のモノクロやカラーの小さな作品が展示されていて、ル・パルクの比較的初期の制作を知ることができました。厚紙にインクで描きこんだり、コラージュを施したするなどシンプルな味わいも魅力かもしれません。



とはいえ、やはり目立っていたのは、ガラスブロックに囲まれたエルメスのスペースを彩るように設置された、モビールなどの大型の作品でした。


「モビール」

そのうち今年の新作のモビールは、実に3300枚以上のステンレススチールから作り上げられていて、ガラス越しに差し込む外の光を受けてきらきらと瞬いていました。またスチールを1枚の葉に見立てれば、たくさんの葉を茂らせた大樹のようにも思えるかもしれません。


「モビール14色」

同じく新作の「モビール14色」は、かつてよりル・パルクが使い続けた14色のガラスを配した作品で、天井から床へと美しいグラデーションを描いていました。


「反射ブレード(刃板)」

鏡のように反射するブレードを用いた「反射ブレード(刃板)」も面白い作品ではないでしょうか。ちょうど人がブレードの後ろへ回ると、その姿が無数に分割するように映って見えました。


「ロング・ウォーク」展示風景

銀座エルメスのファサードを用いた「ロング・ウォーク」も数寄屋橋の景色を変えるような存在感があったかもしれません。まるでカラフルなリボンがビル全体を祝福するかのように彩っていました。

なおファサードについては、現在の「ロング・ウォーク」の展示が10月14日にて終了し、15日以降入れ替えが行われ、10月30日からは「シリーズ14-2 分割された円」が公開されます。そちらも追って見たいところです。



コンセプチュアルな思考に基づいた抽象度の高い作品ながら、遊び心のある仕掛けもあるのもル・パルクの魅力かもしれません。エルメスのホワイトキューブがカラフルな色で満ちていました。



11月30日まで開催されています。

「ル・パルクの色 遊びと企て ジュリオ・ル・パルク展」 メゾンエルメス
会期:2021年8月13日(金)~11月30日(火)
休廊:10月27日(水)、11月20日(土)。
時間:11:00~19:00 
 *当面の間、開館時間を短縮。10月28日のみ18時閉館。
 *最終入場は閉館の30分前まで。
料金:無料。
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
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