都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」 世田谷美術館
世田谷美術館
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」
2021/9/4~11/7
世田谷美術館で開催中の「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」を見てきました。
1913年に現在の熊本県八代市に生まれた塔本シスコは、50歳を超えてから独学で油絵の制作をはじめ、身近な風景や親しい人々、それに子どもの頃の記憶などを生涯にわたって描き続けました。
その塔本シスコの画業を紹介するのが「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」で、会場には油彩画をはじめ、素描、また空箱やガラス瓶を用いたオブジェから、染織など約200点の作品が展示されていました。
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示風景
家事や子育て、それに食堂を開いた夫を支えながら、自宅で金魚などの小さな生き物を飼っていたシスコは、1959年に夫を突然の事故で亡くすと、自身も脳溢血で倒れ、リハビリの生活を送るようになりました。そして次第に体調を回復させたシスコは、画家を目指していた息子の賢一が家を出て働くと、残された作品から絵具を削ぎ落とし、自分の作品を描きはじめるようになりました。
「長尾の田植風景」 1971年
1970年の夏、健一と同居するために大阪の枚方へ引っ越したシスコは、庭に育てたひまわりと故郷の田植えの光景を重ねた「長尾の田植風景」を描くと、公募展に入賞するなどして評価を得ました。てその後もシスコはさまざまな公募展に作品を出品したり、地元のギャラリーで展覧会を行っては人気を集めました。
「ひまわりの中で インコ」 1987年
ともかくシスコの絵画は明るく極彩色ともいえる色調と、細部までモチーフで埋め尽くすような濃密な画面を特徴としていて、エネルギッシュなまでの熱気を帯びていました。
「五色山の想い出」 1988年
また単に見た風景をリアルに再現するというよりも、故郷を思い起こしたり、自身の子どもの頃と孫を重ねるといった、異なる時代を時に同時に描いているのも興味深いのではないでしょうか。イメージは空間や時間を超えて自由に広がっていました。
「自分で植わったカボチャ」 1998年
庭に育てた植物や飼っていたねこ、あるいは金魚を描いた作品などは生命感に満ちていて、シスコが生き物に対して愛情と慈しみをもって接していることが伝わるかのようでした。
「さようなら長野オリンピック」 1998年
タイトルに「絵日記」とあるように、人生の出来事だけでなく、世の中のニュースなども描き加えたりして、例えば「さようなら長野オリンピック」ではオリンピックの選手の様子を画中画のように描いていました。
「NHKがやって来た」 1995年
また「NHKがやって来た」は、近所の人々に囲まれながらテレビの取材を受ける様子を描いていて、よほど嬉しく楽しかったのか「シスコのおまつり」と裏書きするほどでした。なんとも言い難い多幸感や高揚感が感じられるのもシスコの絵画の魅力かもしれません。
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示風景
80歳を超えても創作意欲が衰えなかったシスコは、平面の世界を表現するにとどまらず、木箱や竹筒、それにお酒の空き瓶などにも絵を描き、色彩豊かでかつ多様なオブジェを生み出しました。
「シスコの月」 2004年
2004年、91歳にて亡くなる年に描かれた絶筆の「シスコの月」にも心惹かれるのではないでしょうか。シスコは初期から月、しかも満月を描き続けましたが、絶筆においてもなお月は輝きを失うことなく、黄色の光を放っていました。
「秋の庭」 1993年
オンラインでの日時指定制が導入されました。但しオンラインでのチケット購入が難しい場合、当日券の入場枠も用意されています。(予定数の販売が終了している場合もあり。)
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示室入口
【塔本シスコ展 シスコ・パラダイス】巡回スケジュール
熊本市現代美術館:2022年2月5日(土)〜4月10日(日)
岐阜県美術館:2022年4月23日(土)〜6月26日(日) *予定
滋賀県立美術館:2022年7月9日(土)〜9月4日(日) *予定
作品の撮影も可能でした。11月7日まで開催されています。*一番上の写真の作品は「絵を描く私」(1993年)
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」(@shisukotomoto) 世田谷美術館(@setabi_official)
会期:2021年9月4日(土)~11月7日(日)
休館:毎週月曜日
*9月20日(月・祝)は開館、翌9月21日(火)は休館。
時間:10:00~18:00
*最終入場は閉館の30分前まで
料金:一般1000円、大学・高校生、65歳以上800円、中学・小学生500円。
住所:世田谷区砧公園1-2
交通:東急田園都市線用賀駅より徒歩17分。美術館行バス「美術館」下車徒歩3分。
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」
2021/9/4~11/7
世田谷美術館で開催中の「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」を見てきました。
1913年に現在の熊本県八代市に生まれた塔本シスコは、50歳を超えてから独学で油絵の制作をはじめ、身近な風景や親しい人々、それに子どもの頃の記憶などを生涯にわたって描き続けました。
その塔本シスコの画業を紹介するのが「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」で、会場には油彩画をはじめ、素描、また空箱やガラス瓶を用いたオブジェから、染織など約200点の作品が展示されていました。
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示風景
家事や子育て、それに食堂を開いた夫を支えながら、自宅で金魚などの小さな生き物を飼っていたシスコは、1959年に夫を突然の事故で亡くすと、自身も脳溢血で倒れ、リハビリの生活を送るようになりました。そして次第に体調を回復させたシスコは、画家を目指していた息子の賢一が家を出て働くと、残された作品から絵具を削ぎ落とし、自分の作品を描きはじめるようになりました。
「長尾の田植風景」 1971年
1970年の夏、健一と同居するために大阪の枚方へ引っ越したシスコは、庭に育てたひまわりと故郷の田植えの光景を重ねた「長尾の田植風景」を描くと、公募展に入賞するなどして評価を得ました。てその後もシスコはさまざまな公募展に作品を出品したり、地元のギャラリーで展覧会を行っては人気を集めました。
「ひまわりの中で インコ」 1987年
ともかくシスコの絵画は明るく極彩色ともいえる色調と、細部までモチーフで埋め尽くすような濃密な画面を特徴としていて、エネルギッシュなまでの熱気を帯びていました。
「五色山の想い出」 1988年
また単に見た風景をリアルに再現するというよりも、故郷を思い起こしたり、自身の子どもの頃と孫を重ねるといった、異なる時代を時に同時に描いているのも興味深いのではないでしょうか。イメージは空間や時間を超えて自由に広がっていました。
「自分で植わったカボチャ」 1998年
庭に育てた植物や飼っていたねこ、あるいは金魚を描いた作品などは生命感に満ちていて、シスコが生き物に対して愛情と慈しみをもって接していることが伝わるかのようでした。
「さようなら長野オリンピック」 1998年
タイトルに「絵日記」とあるように、人生の出来事だけでなく、世の中のニュースなども描き加えたりして、例えば「さようなら長野オリンピック」ではオリンピックの選手の様子を画中画のように描いていました。
「NHKがやって来た」 1995年
また「NHKがやって来た」は、近所の人々に囲まれながらテレビの取材を受ける様子を描いていて、よほど嬉しく楽しかったのか「シスコのおまつり」と裏書きするほどでした。なんとも言い難い多幸感や高揚感が感じられるのもシスコの絵画の魅力かもしれません。
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示風景
80歳を超えても創作意欲が衰えなかったシスコは、平面の世界を表現するにとどまらず、木箱や竹筒、それにお酒の空き瓶などにも絵を描き、色彩豊かでかつ多様なオブジェを生み出しました。
「シスコの月」 2004年
2004年、91歳にて亡くなる年に描かれた絶筆の「シスコの月」にも心惹かれるのではないでしょうか。シスコは初期から月、しかも満月を描き続けましたが、絶筆においてもなお月は輝きを失うことなく、黄色の光を放っていました。
「秋の庭」 1993年
オンラインでの日時指定制が導入されました。但しオンラインでのチケット購入が難しい場合、当日券の入場枠も用意されています。(予定数の販売が終了している場合もあり。)
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス」展示室入口
【塔本シスコ展 シスコ・パラダイス】巡回スケジュール
熊本市現代美術館:2022年2月5日(土)〜4月10日(日)
岐阜県美術館:2022年4月23日(土)〜6月26日(日) *予定
滋賀県立美術館:2022年7月9日(土)〜9月4日(日) *予定
シーちゃんです🙋♀️はろるどさん @harold_1234の記事がYahooニュースで配信されました😊ぜひ読んでくださいね🎵生きることの喜びと夢を描き続ける。世田谷美術館で目の当たりにする塔本シスコのめくるめく絵画世界(Pen Online)#Yahooニュースhttps://t.co/6wgcyp7Znj
— シスコ人形のシーちゃん@塔本シスコ展 (@shisukotomoto) October 14, 2021
作品の撮影も可能でした。11月7日まで開催されています。*一番上の写真の作品は「絵を描く私」(1993年)
「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない! 人生絵日記」(@shisukotomoto) 世田谷美術館(@setabi_official)
会期:2021年9月4日(土)~11月7日(日)
休館:毎週月曜日
*9月20日(月・祝)は開館、翌9月21日(火)は休館。
時間:10:00~18:00
*最終入場は閉館の30分前まで
料金:一般1000円、大学・高校生、65歳以上800円、中学・小学生500円。
住所:世田谷区砧公園1-2
交通:東急田園都市線用賀駅より徒歩17分。美術館行バス「美術館」下車徒歩3分。
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