「第15回shiseido art egg 菅実花展  仮想の嘘か|かそうのうそか」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第15回shiseido art egg 菅実花展  仮想の嘘か|かそうのうそか」 
2021/10/19~11/14



新進アーティストを公募展の形で紹介する「shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)」も、本年度で15回目を数えるに至りました。

3名の入選者によって順に行われる個展のうち、現在開かれているのが、1988年に生まれた菅実花(かん みか)の「仮想の嘘か|かそうのうそか」で、会場には写真や映像、またレンズを用いたインスタレーションが展示されていました。



まず目を引くのが、壁一面に並ぶ「ステイバラダイス」と題した写真で、鏡のあるリビングのような室内空間において2人のそっくりな女性が写っていました。いずれも作家の菅をモデルとした作品でした。



あまりにも姿かたちが似ているゆえに、はじめは一体、どのように写したのかわかりませんでしたが、実のところ1人は菅本人で、もう1人は精巧に作られた人形でした。

かねてより菅は「生殖」をテーマに人形を写真に写し続けていて、いわばクローンならぬ、作家自身の頭部を型取りして作った人形とともに撮影するセルフ・ポートレイトを制作してきました。



またコロナ禍の元、菅はスタジオに1人こもって「ステイパラダイス」を写していて、人間と直接会うことを極力避け、代わりに人形とずっと一緒にいたことから、たまに話しかける存在になったとも述べています。

さらに現在、千葉県松戸市にあるアーティスト・イン・レジデンスの「パラダイスエア」の一室をスタジオとして借りて制作していて、室内空間にはかつてのホテルの内装がそのまま活かされています。



ちょうど展示室の中央に吊られたレンズ越しに見やると、写真が歪んだり、時に無数に分裂していって、あたかも万華鏡の中を覗き込むような気持ちにさせられました。また人間と人形、つまりの本物と偽物のどちらかを見分けようとすればするほど、その境界が曖昧に見えてくるのも興味深く思えました。



もう一方の小展示室では菅のスタジオを再構成したインスタレーションが展開されていて、19世紀の視覚トリックとして人工的に幽霊を映した「ペッパーズゴースト」をモニターで再現した作品が公開されていました。



モニターには菅の姿がぼんやりと消えるように映されていて、まさにスタジオへ突如現れた幽霊のようでした。


「第15回 shiseido art egg」展示スケジュール
石原海展:9月14日(火) ~10月10日(日)
菅実花展:10月19日(火) ~11月14日(日)
中島伽耶子展:11月23日(火・祝) ~12月19日(日)



11月14日まで開催されています。

「第15回shiseido art egg 菅実花展  仮想の嘘か|かそうのうそか」 資生堂ギャラリー@ShiseidoGallery
会期:2021年10月19日(火)~11月14日(日)
休廊:月曜日。*祝日が月曜にあたる場合も休館
料金:無料。
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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