都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「タナカマコト展 風、抜ける」 調布市文化会館たづくり
調布市文化会館たづくり
「タナカマコト展 風、抜ける」
2021/9/18〜11/14

調布市文化会館たづくり1階展示室にて開催中の「タナカマコト展 風、抜ける」を見てきました。
1982年生まれの切り絵作家、タナカマコトは、フリーハンドでハサミを扱い、レシートや書籍の言葉を残しながら、さまざまなかたちを切り抜く作品を制作してきました。
そのタナカマコトの個展が「風、抜ける」で、「風鈴」をモチーフとしてインスタレーションをはじめ、「タダのカミ様」や「切りひらひらく」など約50点の作品が展示されていました。

「切りひらひらく」 2020年
まず目を引くのが、文庫本や広辞苑を素材に切り絵を展開した「切りひらひらく」で、細かに切り抜かれた本のページなどが帯状に吊られていました。

「切りひらひらく」 2020年
これらはタナカマコトの小さな娘への読み聞かせから生まれた創作童話をテーマとしたもので、中には葉っぱや魚と思しきモチーフも象られていました。まさに幻想的なメルヘンの世界を連想させるかもしれません。

「ほつれても」 2021年
「ほつれても」は、タナカマコトがはじめて布を素材にした作品で、リネンのシャツを紐解くようにして細かく切り抜き、海に浮かぶクラゲのような光景を築いていました。

「ほつれても」 2021年
またリネンは白や薄いピンク、さらには黄色などに染まっていて、装身具といった宝飾品のように美しく見えました。

「タダのカミ様」 2021年 (展示風景)
「タダのカミ様」とはタナカマコトが買い物して手に入れたレシートを素材に、印字された商品名や店名といった言葉を残しながら、そこから連想させる神様を象ったもので、「千歳飴のカミ様」や「ディスニーストアのカミ様」などと題した切り絵が並んでいました。

ここではレシートに印字された言葉とカミ様の姿が関連付けられていて、写真では分からないものの、肉眼では確かに文字を見ることができました。この言葉とかたちとの関連づけこそ、タナカマコトの切り絵の大きな魅力かもしれません。

「風、抜ける」 2021年
個展のタイトルにつけられた「風、抜ける」とは、辞書や楽譜、文庫本などと風鈴を組み合わせたインスタレーションでした。これはコロナ禍の中、自粛生活において娘と紙コップで風鈴作りをきっかけにした作品で、風鈴は回転しつつ、短冊部分に当てられた光により影絵も生み出されていました。

「流るるる」 2020年
トイレットペーパーを素材した「流るるる」も美しいのではないでしょうか。12本のトイレットペーパーのロールには鳥や蝶、魚をはじめ、植物などが切り抜かれていて、花鳥風月の風雅な景色が広がっていました。

「流るるる」 2020年
なおこの作品もコロナ禍においてトイレットペーパーが品薄になり、保育園も休みになった中、近所の川沿いを散歩して、川の流れをはじめて意識的に見たことが制作のきっかけになっているそうです。

今回は文化会館内のスペースでの展示でしたが、例えば古民家といった趣きのある場所ならばより作品が映えたかもしれません。言葉に向き合いつつ、身近な素材を用い、日常から幻想的な風景を切り絵で描くタナカマコトの世界に心を惹かれました。
入場は無料です。11月14日まで開催されています。
「タナカマコト展 風、抜ける」 調布市文化会館たづくり(@chofu_zaidan)
会期:2021年9月18日(土) 〜11月14日(日)
休館:9月27日(月)~30日(木)、10月25日(月)・26日(火)。
時間:10:00~18:00
料金:無料。
場所:東京都調布市小島町2-33-1 調布市文化会館たづくり1階
交通:京王線調布駅中央改札から広場口を経由して徒歩5分。
「タナカマコト展 風、抜ける」
2021/9/18〜11/14

調布市文化会館たづくり1階展示室にて開催中の「タナカマコト展 風、抜ける」を見てきました。
1982年生まれの切り絵作家、タナカマコトは、フリーハンドでハサミを扱い、レシートや書籍の言葉を残しながら、さまざまなかたちを切り抜く作品を制作してきました。
そのタナカマコトの個展が「風、抜ける」で、「風鈴」をモチーフとしてインスタレーションをはじめ、「タダのカミ様」や「切りひらひらく」など約50点の作品が展示されていました。

「切りひらひらく」 2020年
まず目を引くのが、文庫本や広辞苑を素材に切り絵を展開した「切りひらひらく」で、細かに切り抜かれた本のページなどが帯状に吊られていました。

「切りひらひらく」 2020年
これらはタナカマコトの小さな娘への読み聞かせから生まれた創作童話をテーマとしたもので、中には葉っぱや魚と思しきモチーフも象られていました。まさに幻想的なメルヘンの世界を連想させるかもしれません。

「ほつれても」 2021年
「ほつれても」は、タナカマコトがはじめて布を素材にした作品で、リネンのシャツを紐解くようにして細かく切り抜き、海に浮かぶクラゲのような光景を築いていました。

「ほつれても」 2021年
またリネンは白や薄いピンク、さらには黄色などに染まっていて、装身具といった宝飾品のように美しく見えました。

「タダのカミ様」 2021年 (展示風景)
「タダのカミ様」とはタナカマコトが買い物して手に入れたレシートを素材に、印字された商品名や店名といった言葉を残しながら、そこから連想させる神様を象ったもので、「千歳飴のカミ様」や「ディスニーストアのカミ様」などと題した切り絵が並んでいました。

ここではレシートに印字された言葉とカミ様の姿が関連付けられていて、写真では分からないものの、肉眼では確かに文字を見ることができました。この言葉とかたちとの関連づけこそ、タナカマコトの切り絵の大きな魅力かもしれません。

「風、抜ける」 2021年
個展のタイトルにつけられた「風、抜ける」とは、辞書や楽譜、文庫本などと風鈴を組み合わせたインスタレーションでした。これはコロナ禍の中、自粛生活において娘と紙コップで風鈴作りをきっかけにした作品で、風鈴は回転しつつ、短冊部分に当てられた光により影絵も生み出されていました。

「流るるる」 2020年
トイレットペーパーを素材した「流るるる」も美しいのではないでしょうか。12本のトイレットペーパーのロールには鳥や蝶、魚をはじめ、植物などが切り抜かれていて、花鳥風月の風雅な景色が広がっていました。

「流るるる」 2020年
なおこの作品もコロナ禍においてトイレットペーパーが品薄になり、保育園も休みになった中、近所の川沿いを散歩して、川の流れをはじめて意識的に見たことが制作のきっかけになっているそうです。

今回は文化会館内のスペースでの展示でしたが、例えば古民家といった趣きのある場所ならばより作品が映えたかもしれません。言葉に向き合いつつ、身近な素材を用い、日常から幻想的な風景を切り絵で描くタナカマコトの世界に心を惹かれました。
入場は無料です。11月14日まで開催されています。
「タナカマコト展 風、抜ける」 調布市文化会館たづくり(@chofu_zaidan)
会期:2021年9月18日(土) 〜11月14日(日)
休館:9月27日(月)~30日(木)、10月25日(月)・26日(火)。
時間:10:00~18:00
料金:無料。
場所:東京都調布市小島町2-33-1 調布市文化会館たづくり1階
交通:京王線調布駅中央改札から広場口を経由して徒歩5分。
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