『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』 ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックス
『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』
2021/12/10〜2022/1/30



ポーラ ミュージアム アネックスで開催中の『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』を見てきました。

現代美術家の横溝美由紀は、かねてから国内の美術館にて場所を活かしたインスタレーションを手がけ、近年はキャンバスのシリーズにも取り組んで作品を発表してきました。

その横溝の新作を含む作品で構成されたのが『Landscape やわらかな地平のその先に』で、キャンバス11点と彫刻のインスタレーションが展示されていました。



まず会場中央にて目を引くのが『aero sculpture』で、約4000個にも及ぶ半透明の箱が煉瓦のように積み上がっていました。



いずれもセロハンテープとプラスチックシートを用いて作られていて、触ることこそ叶わないものの、薄い皮膜のような弾力を帯びているようでした。また周囲の光を取り込んでは白く瞬いているように見えるのも美しいかもしれません。



この『aero sculpture』を囲むようにして壁に展示されたのが、キャンバスを用いた平面の作品でした。



そのうち『landscape S040.001.2021-study for Clumps of Glass by Vincent van Gogh』には、細かい傷のような色の線が全体を覆うように広がっていてオール・オーヴァーの抽象画を連想させるものがありました。

とはいえ、これは例えばポロックのようなドロッピングの技法ではなく、油彩を施した糸を無数に指で弾くことによって描いていて、それぞれの線は織物のように重なりながらイメージを築いていました。また重なり合う線は刻み込まれた彫刻の痕跡のようで、絵具の飛沫や色の重なりは半ば偶然性に委ねられていました。

それにタイトルに『Gogh』とあるように、ゴッホの描いた絵画の色彩を思わせる面もあって、抽象の向こうに草むらなどの自然の景色が見え隠れしているようでした。



1本1本、無数の線を弾いていく作業には途方もない集中力や労力が込められているようで、長い時間の蓄積も感じられました。


予約は不要です。1月30日まで開催されています。

『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』 ポーラ ミュージアム アネックス@POLA_ANNEX
会期:2021年12月10日(金)〜2022年1月30日(日)
休館:年末年始(12月29日〜1月4日)。
料金:無料
時間:11:00~19:00 *入場は18:30まで 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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