都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』
2021/12/10~2022/3/12
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』を見てきました。
1914年にルーマニアで生まれたソール・スタインバーグは、イタリアのミラノで建築を学ぶと、同地で風刺新聞に関与するも、ファシスト政権の反ユダヤ政策を逃れてアメリカへと渡りました。
そして戦後はニューヨークに居を構えて『The New Yorker』誌の仕事に携わり、グラフィックや漫画の世界で幅広く活動しました。
そのソール・スタインバーグの日本初の個展が『シニカルな現実世界の変換の試み』で、会場にはニューヨークのソール・スタインバーグ財団より寄贈されたポスターやリトグラフをはじめ、ドローイングの複製など約280点もの作品が展示されていました。
まず目を引くのが、まるで線が遊ぶように連なるドローイングで、人や図形的なイメージ、それに文字などを交え、絵自体が動くように展開していました。
またコラージュとしても面白い作品が少なくなく、例えば『グラフ用紙の建築』では、建物の街並みの一部を文字通りグラフ用紙で表していました。
『The New Yorker』の表紙を飾った『鼻』では、机の前で椅子に座る男性が左手で鼻を顔から外すような仕草を描いていて、シュールともいえるような光景を生み出していました。まるで顔の一部をスパッと切り取っているようにも見えるかもしれません。
いずれも一見、シンプルなドローイングでありながらも、ものの形やあり様、さらには固定観念を覆すようなイメージが生み出されていて、意外性や不条理といった要素も作品の魅力として感じられました。
地下の展示室にて並んでいたポスター類も面白いかもしれません。そのうち音楽に関するポスターでは五線譜を用いてドローイングを展開していて、まさにモチーフそのものが音楽を奏でていくようなリズムも得られました。
子どもの絵からクラシック、表現主義、構成主義など、あらゆる領域を行き来したスタインバーグの作風はまさに変幻自在といえるかもしれませんが、一転して写実的とも受け止めるような作品がある点も見逃せませんでした。これほど「引き出し」の多いアーティストもなかなか存在しないかもしれません。
予測不能で変幻自在なイメージ。アメリカの”描く文筆家”、ソール・スタインバーグの日本初個展が開催中。|Pen Online
会場内の撮影もできました。3月12日まで開催されています。
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(@ggg_gallery)
会期:2021年12月10日(金)~2022年3月12日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12月28日〜1月5日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』
2021/12/10~2022/3/12
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』を見てきました。
1914年にルーマニアで生まれたソール・スタインバーグは、イタリアのミラノで建築を学ぶと、同地で風刺新聞に関与するも、ファシスト政権の反ユダヤ政策を逃れてアメリカへと渡りました。
そして戦後はニューヨークに居を構えて『The New Yorker』誌の仕事に携わり、グラフィックや漫画の世界で幅広く活動しました。
そのソール・スタインバーグの日本初の個展が『シニカルな現実世界の変換の試み』で、会場にはニューヨークのソール・スタインバーグ財団より寄贈されたポスターやリトグラフをはじめ、ドローイングの複製など約280点もの作品が展示されていました。
まず目を引くのが、まるで線が遊ぶように連なるドローイングで、人や図形的なイメージ、それに文字などを交え、絵自体が動くように展開していました。
またコラージュとしても面白い作品が少なくなく、例えば『グラフ用紙の建築』では、建物の街並みの一部を文字通りグラフ用紙で表していました。
『The New Yorker』の表紙を飾った『鼻』では、机の前で椅子に座る男性が左手で鼻を顔から外すような仕草を描いていて、シュールともいえるような光景を生み出していました。まるで顔の一部をスパッと切り取っているようにも見えるかもしれません。
いずれも一見、シンプルなドローイングでありながらも、ものの形やあり様、さらには固定観念を覆すようなイメージが生み出されていて、意外性や不条理といった要素も作品の魅力として感じられました。
地下の展示室にて並んでいたポスター類も面白いかもしれません。そのうち音楽に関するポスターでは五線譜を用いてドローイングを展開していて、まさにモチーフそのものが音楽を奏でていくようなリズムも得られました。
子どもの絵からクラシック、表現主義、構成主義など、あらゆる領域を行き来したスタインバーグの作風はまさに変幻自在といえるかもしれませんが、一転して写実的とも受け止めるような作品がある点も見逃せませんでした。これほど「引き出し」の多いアーティストもなかなか存在しないかもしれません。
【新着】予測不能で変幻自在なイメージ。アメリカの”描く文筆家”、ソール・スタインバーグの日本初個展が開催中。 https://t.co/f1FeDNNzGh
— Pen Magazine (@Pen_magazine) January 13, 2022
予測不能で変幻自在なイメージ。アメリカの”描く文筆家”、ソール・スタインバーグの日本初個展が開催中。|Pen Online
会場内の撮影もできました。3月12日まで開催されています。
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(@ggg_gallery)
会期:2021年12月10日(金)~2022年3月12日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12月28日〜1月5日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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