『兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~』 上野の森美術館

上野の森美術館
『日中国交正常化50周年記念 兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~』
2022/11/22~2023/2/5



上野の森美術館にて開催中の『兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~』 を見て来ました。

群雄割拠の世が約550年続いた春秋戦国時代、紀元前221年に秦始皇帝が戦乱を終結させると、史上初めて中国大陸に統一王朝を築きました。


『2号銅車馬』(複製品) 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

その始皇帝が作らせた兵馬俑などを紹介するのが『兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~』で、中国より兵馬俑36点を含む約200点の文物がやって来ました。

今回の兵馬俑展の特徴は統一以前の秦をはじめ、始皇帝の時代、さらにのちの漢王朝の主に3つの時代の変遷をたどっていることで、いずれも秦・漢両王朝の中心地域である関中、つまり現在の陝西省の出土品を中心とした文物にて構成されていました。

戦国秦の『騎馬俑』は秦王朝における最古の兵馬俑の作例とされていて、始皇帝の時代のものとは異なり、サイズは小さく写実的ではありませんでした。

また秦の統一以前の文物では、極めて精緻な装飾の施された青銅の香炉や、酒を貯蔵するための祭器なども見どころで、中国の国宝級を指す一級文物といった貴重な文物も目を引きました。

漢王朝の時代では『彩色歩兵俑』や「騎馬俑』といった俑が展示されていて、前者こそ写実的と言えるものの等身大ではなく、後者に至ってはデフォルメしたようなすがたに見えるなど、やはり始皇帝の時代の俑とは異なっていました。


『鎧甲軍吏俑』 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

こうした春秋戦国時代から漢の時代の文物の次に公開されていたのは、今回のハイライトともいうべき始皇帝の兵馬俑でした。いずれもケースの中に入れられていたものの、ガラスの透明度も高く、どの兵馬俑もより近い場所より具に鑑賞することができました。また撮影も可能でした。


『戦服将軍俑』 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

そのうちの『戦服将軍俑』とは、戦車に乗り、歩兵や騎兵の小部隊を統率した高位の武官の俑を象ったもので、鎧を着用せず、ベルトと帯留めをつけ、右手で剣を持つようなすがたが実にリアルにかたどられていました。


『戦車馬』 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

「将軍俑」とは、約8000体の埋蔵が推定されている始皇帝陵の兵馬俑の中でも11体しか確認されていない貴重な俑で、『戦服将軍俑』も日本で初めて公開されました。


『鎧甲軍吏俑』 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

いずれの始皇帝の兵馬俑はモデルの存在を想起させるほど写実的でかつ精緻に作られていて、明らかに他の時代の俑とは異なったすがたを見せていました。


『立射武士俑』 統一秦 前221〜前206年 秦始皇帝陵博物院

そしてなぜに始皇帝の時代だけ兵馬俑が等身大であったのかについて、展示では3つの観点より紐解いていましたが、その内容についてはWEBメディアのイロハニアートにてまとめました。(また許可をいただき、1階展示室以外の展示も撮影し、写真を掲載しています。)


兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~の見どころは?上野の森美術館にて開催中 | イロハニアート


兵馬俑の色彩(プロジェクションマッピング)

兵馬俑に関する展示は2015年にも『始皇帝と大兵馬俑』が東京国立博物館にて開かれ、多くの人々の注目を浴びましたが、今回は最新の知見を交え、各時代における兵馬俑の比較や変遷に焦点を絞った内容と言えるかもしれません。


兵馬俑の複製品(撮影コーナー)

年末年始(12月31日、1月1日)以外のお休みはありません。 2023年2月5日まで開催されています。

『日中国交正常化50周年記念 兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~』@heibayou2022_23) 上野の森美術館@UenoMoriMuseum
会期:2022年11月22日(火)~ 2023年2月5日(日)
時間:9:30~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:2022年12月31日(土)、2023年1月1日(日)
料金:一般2100円、高校・大学生・専門学校生1300円、小・中学生900円。
住所:台東区上野公園1-2
交通:JR線上野駅公園口より徒歩3分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅・京成線上野駅より徒歩5分
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