「続編 東京の微地形模型」 南洋堂書店 N+GALLERY

南洋堂書店 N+GALLERY
「続編 東京の微地形模型:TOPOGRAPHY MODEL TOKYO 2」
5/14-6/16



南洋堂書店 N+GALLERYで開催中の「続編 東京の微地形模型:TOPOGRAPHY MODEL TOKYO 2」へ行ってきました。

昨年夏、東京の建築構造物の全てを取っ払い、地形のみを象った木製模型の展示で好評を博した「東京の微地形模型」展。



模型自体の魅力はもとより、古書店ならではの測量図などをあわせた内容も印象に残りましたが、今、その第二弾となる展示が行われています。

ずばり今回のテーマは映像です。例の微地形模型に動画を投影し、さらに臨場感溢れる形にて東京の地誌を紹介していました。



始まりはTokyo Railway、ようは鉄道です。おもむろに流れ出す山手線のアナウンスをバックに、模型上へ山手線の軌跡が次々と映し出されます。



そして続くのは道、ようは首都高などの道路地図です。山手線の軌跡と同じく、模型の上に道路が表示されていきます。東京の地表を覆い尽くそうとして延びゆく網の目状の道路、それを直感的に知ることが出来ました。



さらに面白いのが今後は模型上に映された東京の川、しかも今失われてしまった川の軌跡です。例えば京橋川を挙げるまでもなく、かつての東京には多くの川が流れていましたが、いつしか高速道路などの整備により埋め立てられてしまいました。



また本と連動した企画も目を引きます。鹿島出版会の「外濠」を引用し、江戸城のお濠の様子、しかもこれまた現存しない濠までもが動画で登場しました。



時空を超えて基盤となる地形から辿った東京の地誌。他にもいくつか動画コンテンツがありましたが、軽快なリズムを刻むBGMの効果もあってか、前回の模型展よりも洗練された印象を受けました。

作品映像を取り込んだyoutube上のPVが良く出来ています。あわせてご覧ください。

『続編-東京の微地形模型 TOPOGRAPHY MODEL TOKYO WITH PROJECTION』展


6月16日までの開催です。

「凹凸を楽しむ 東京『スリバチ』地形散歩/皆川典久/洋泉社」

「続編 東京の微地形模型:TOPOGRAPHY MODEL TOKYO 2」 南洋堂書店 N+GALLERY 
会期:5月14日(月)~6月16日(土)
休廊:日曜日
時間:14:00~19:00
住所:千代田区神田神保町1-21 南洋堂書店4階
交通:東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄三田線・新宿線神保町駅徒歩5分。JR線御茶ノ水駅徒歩8分。

*関連エントリ
「東京の微地形模型展」 南洋堂書店 N+GALLERY(昨年の展示の感想です。)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「琳派・若冲と雅の世界」 そごう美術館

そごう美術館
「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」
5/26~7/16



そごう美術館で開催中の「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」へ行って来ました。

本展に先立つPart1では「京」をテーマに、細見美術館の様々な日本美術品を紹介した同展覧会ですが、後半のPart2では、主に同館で最も定評のある琳派、そして人気の若冲を一同に出品しています。

構成は以下の通りでした。

1.祈りの美
2.王朝の雅と源氏絵
3.華麗なる琳派
4.若冲の魅惑



「六観音像のうち『如意輪観音』」 鎌倉後期

冒頭は仏画です。中でも状態良好、美しい色を残す鎌倉後期の「六観音像」に惹かれた方も多いのではないでしょうか。

また続く物語文学に主題をとる「王朝の雅」では、いわゆる源氏絵の「白描源氏物語絵巻断簡」の繊細極まりない線描が見どころです。

それにここではなんと虫たちの婚礼の姿をコミカルに描いたという住吉如慶の「きりぎりす絵巻」が忘れられません。

玉虫姫と蝉の婚礼を擬人化した作品ですが、一見優美な大和絵の中に、袴を羽織りながらも大きな羽を従えた蝉たちが何匹ならぬ、何人も登場しています。

この想像力豊かな絵巻こそ、前半のハイライトに相応しい作品でした。

さて後半は琳派、そして若冲です。墨の濃淡のみで巧みに犬を描く宗達の「双犬図」にはじまり、簾越しに広がる秋の景色を叙情的に示した渡辺始興の「簾に秋月図」などと続きます。


酒井抱一「槙に秋草図屏風」 江戸後期

抱一は2点です。菊や女郎花などが槇の下に群れる「槇に秋草図屏風」、そして扇面という曲線の空間を構図にも活かした「扇面貼交屏風」という、ともに洒脱な画風をとる作品が展示されていました。


鈴木其一「水辺家鴨図屏風」(部分) 江戸後期

琳派で主役を張るのは其一かもしれません。こちらは弟子の守一とあわせて5~6点ほど出ています。

また作者不詳ながらも江戸琳派のテイストを残す「四季草花草虫図屏風」にも要注目です。

右隻に金、左隻に銀地を配し、右から春夏秋冬、季節の草花や虫などを描いた屏風絵ですが、時に流麗な草花などはそれこそ抱一などの画風を伝えるものの、一番左の雪に覆われた木の表現には異様なまでの迫力があります。

今回のイチオシとしても良いかもしれません。

若冲は得意の鶏ワールドです。墨画がメインですが、「鶏図押絵貼屏風」しかり、右を向いても左を向いてもアクロバットな動きを見せる鶏たちしか目に入りません。

また生没年不詳、一時は若冲の子とも伝えられたという若演なる人物の「遊鶏図押絵貼屏風」も楽しさ満点です。

こちらの鶏はさらに強烈、蔓にのってぶらぶら揺れる鶏など、殆どあり得ない様態が描かれています。思わず笑ってしまいました。


土佐光吉「源氏物語図色紙『初音』」 江戸初期

全国津々浦々、ご出張も多い細見コレクションということで、既視感を覚えたことも事実ですが、Part1と合わせ、一定数楽しめたのは良い機会となりました。

なお余談ですが、そこう美術館のミュージアムショップがリニューアルしていました。

展覧会グッズだけでなく、インテリア関係など、デパートならではの楽しいショップになった気がします。

「すぐわかる琳派の美術/仲町啓子/東京美術」

6月に予定されている山下、仲町両先生の講演会は、既にソールドアウトだそうです。さすがの人気です。

「一夜漬け日本美術史/監修:山下裕二/美術出版社」

7月16日まで開催されています。

「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」 そごう美術館
会期:5月26日(土)~7月16日(月・祝)
休館:そごう横浜店の休日に準じる。
時間:10:00~20:00 *最終日は17時閉館。
住所:横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階
交通:JR線横浜駅東口よりポルタ地下街通路にて徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「安村崇 1/1」 MISAKO & ROSEN

MISAKO & ROSEN
「安村崇 1/1」
5/13-6/10



MISAKO & ROSENで開催中の安村崇個展、「1/1」へ行ってきました。

作家、安村崇のプロフィールについては同ギャラリーのWEBサイトをご参照下さい。

安村崇 @ MISAKO & ROSEN

1999年に「第8回キャノン写真新世紀」をグランプリ受賞後、主に2004年の六本木クロッシング、また2008年に同ギャラリーでの二人展などに出品を重ねてきました。

さて会場には安村が近年、撮りためてきたという新作、約10点ほどが展示されていましたが、ともかくも印象的なのは、日常をミクロの視点でトリミング的に取り出したゆえの何とも言い難い違和感です。

モチーフは全て身近な都市の景色、例えばビルの壁やソファなどでしたが、それらは元の景色から切り取られ、抽象的な色面、言い換えれば幾何学的な図像としてのみ浮かび上がってきます。

そのイメージは全て匿名的です。場所性を失った景色には当然ながらリアリティーがありません。また遠近感も喪失しています。今見ているものがやはり壁なのか、それとも単なる何らかの色面の連続に過ぎないのか、一瞬迷ってしまうような不思議な感覚を覚えました。

作風こそやや変化して来ているとはいえ、作家は一貫して「日常らしさ」を疑うというスタンスを取り続けてきたそうです。さり気ない景色、日常に、こうも美しき抽象的次元が隠されていたとは思いもよりませんでした。物を見る目が変わります。

6月10日まで開催されています。ずばりおすすめします。

「安村崇 1/1」 MISAKO & ROSEN
会期:5月13日(日)~6月10日(日)
休廊:月曜、祭日
時間:12:00~19:00(火~土)、12:00~17:00(日)
住所:豊島区北大塚3-27-6
交通:JR線大塚駅北口より徒歩約10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

6月の展覧会・ギャラリーetc

俄に蒸し暑くなってきました。6月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「東洋絵画の精華 珠玉の中国絵画コレクション」 静嘉堂文庫美術館(~6/24)
・「近代洋画の開拓者 高橋由一」 東京藝術大学大学美術館(~6/24)
・「杉本博司 ハダカから被服へ」 原美術館(~7/1)
・「ひっくりかえる展」 ワタリウム美術館(~7/8)
・「浮世絵師 溪斎英泉」 千葉市美術館(~7/8)
 #イブニング・スライド&レクチャー 日時:6/1(金)、6/15(金)、6/29(金)17:00~18:00 9階講座室 講師:田辺昌子(学芸課長)
・「紅型 BINGATA:琉球王朝のいろとかたち」 サントリー美術館(6/13~7/22)
・「中世人の花会と茶会」 根津美術館(~7/16)
 #「漁村夕照図」(牧谿筆)の展示は6/24まで。
・「松本竣介展」 神奈川県立近代美術館葉山(6/9~7/22) 
・「祭 MATSURI 遊楽・祭礼・名所」 出光美術館(6/16~7/22)
・「吉川霊華展」 東京国立近代美術館(6/12~7/29)
・「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」 Bunkamuraザ・ミュージアム(6/19~7/29)
・「バーン=ジョーンズ:装飾と象徴」 三菱一号館美術館(6/23~8/19)
・「ベルリン国立美術館展」 国立西洋美術館(6/13~9/17)
・「マウリッツハイス美術館展」 東京都美術館(6/30~9/17)
・「アラブ・エクスプレス:アラブ美術の今を知る」 森美術館(6/16~10/28)

ギャラリー

・「三瀬夏之介:空虚五度-open fifth-」 新宿高島屋美術画廊(~6/11)
・「阪本トクロウ:遠景」 アートフロントギャラリー(~6/17)
・「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.2 俵萌子」 ギャラリーαM(~6/23)
・「いくしゅん:ですよねー展」 リクシルギャラリー(~6/27)
・「紫舟+チームラボ:世界はこんなにもやさしく、うつくしい」 ミヅマアートギャラリー(6/5~6/30)
・「富谷昌子 写真展:キョウハ ヒモ ヨシ」 ツァイト・フォト・サロン(~6/30)
・「荻野僚介:腕が当たったから窓を開けた」 スプラウト・キュレーション(~6/30)
・「イグノア・ユア・パースペクティブ 14:四角と不条理」 児玉画廊東京(~6/30)
・「TWS-Emerging:森部英司、間瀬朋成、酒井龍一、関山草」 TWS本郷(6/9~7/1)
・「伊庭靖子:Paintings」 MISA SHIN GALLERY(~7/14)
・「朝海陽子:Chords」 無人島プロダクション(6/9~7/14)
・「佐藤亮太・原田郁」 アルマスギャラリー(6/16~7/14) 
・「仲條正義:忘れちゃってEASY思い出してCRAZY」 資生堂ギャラリー(6/23~8/12)

さて今月始まりの展覧会でまず期待したいのが、今年生誕100周年を迎えた画家、松本竣介の回顧展です。



「松本竣介展」@神奈川県立近代美術館葉山(6/9~7/22)

出品数油画120点と、まさにメモリアルに相応しい展覧会となることが予想されます。展示は冬に世田谷美術館へも巡回(11/23~)されるので、どちらで見るか悩ましいところかもしれませんが、私にとってのかけがえのない画家の一人でもあるので、何とか先行する葉山へ行くつもりです。

蕭白ショックの興奮も醒めやらぬ千葉市美術館がまた得意の浮世絵展で攻めています。



「浮世絵師 溪斎英泉」@千葉市美術館(~7/8)

強烈なカラーリングのチラシからしてインパクト大です。一部作品に展示替えもあります。まずは早めの観覧が良さそうです。

さて西洋絵画では三菱一号のバーン=ジョーンズなどにも大いに注目したいところですが、やはり今月はともかくは上野で始まるフェルメールバトル、「ベルリン国立美術館展」と「マウリッツハイス美術館展」に俄然注目が集まるのではないでしょうか。



「ベルリン国立美術館展」@国立西洋美術館(6/13~9/17)



「マウリッツハイス美術館展」@東京都美術館(6/30~9/17)

ともにフェルメール作品だけではなく、たとえばベルリン展ではデューラーにクラーナハ、またマウリッツ展では6点も来日するレンブラントと、他にも大きな見どころがあるのも重要ですが、ともかくフェルメールの圧倒的人気を鑑みると、展覧会序盤から青いターバンに首飾り一色となることに違いありません。

なおマウリッツハイス展については以前、参加した記者発表会の様子をブログにまとめてあります。宜しければご参照下さい。

マウリッツハイス美術館展記者発表会

それでは今月も宜しくお願いします。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「特殊切手 東京国立近代美術館開館60周年・京都国立近代美術館開館50周年」を発売!

本年、それぞれ開館60年、50年を迎えた東京国立近代美術館と京都国立近代美術館。



「東京国立近代美術館 60周年記念サイト」

東近美では特設サイトにフェイスブックにツイッターと、今までにない情報発信の試みもなされていますが、それはともかくもメモリアルを祝っての記念切手が発行されました。

「特殊切手 東京国立近代美術館開館60周年・京都国立近代美術館開館50周年」の発行(日本郵便)

タイトルが少々長めですが、ようは両美術館のコレクションから、東近美が6点、京近美4点、あわせて10点の作品が切手化されたものです。



1シート10枚、80円が10点ということで計800円です。

切手意匠一覧

「湯女」(左隻) 土田麦僊
「湯女」(右隻) 土田麦僊
「少女」 南薫造
「三遊亭円朝像」 鏑木清方
「道路と土手と塀(切通之写生) 」 岸田劉生
「母子」 上村松園
「窓辺読書」 太田喜二郎
「後苑雨後」 徳岡神泉
「婦人像」 安井曽太郎
「花の習作」 福田平八郎

*上から6点目までは東京国立近代美術館蔵、下4点は京都国立近代美術館蔵。



この秋に東近美で開催予定の一大コレクション展、「美術にぶるっ!」のチラシ表紙を飾った土田麦僊の「湯女」を筆頭に、劉生の「切通之写生」や松園の「母子」など、お馴染みの人気作品が勢揃いしていました。

ちなみにその「美術にぶるっ!」については、5月中旬段階でのリリースの情報をブログにまとめてあります。宜しければご参照下さい。



「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」速報リリース(拙ブログ)

また8月に期間限定、特別夜間開館で様々なイベントが行われる「14の夕べ」の情報第一弾が、公式ツイッターで発表されました。

@MOMAT60th(ツイッター) 「夏の家(仮)ブログ」

実のところ美術館前庭に出来る「夏の家」とあわせて、私としてはかなり気になっているイベントです。こちらも追っかけたいと思います。

特殊切手「東京国立近代美術館開館60周年・京都国立近代美術館開館50周年」は本日6月1日より、全国の郵便局にて発売中です。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »