◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

ますます乱れる「おはなし」。

2014-04-06 10:29:52 | 気になる言葉、具体例
                               何の話?

 「集まっていた報道陣を前に『皆さんにお話したいことがあります。聞いてください』と切り出した」は「デイリースポーツオンライン」の記事、ということは、書いたのは記者? これで・・・記者? 明らかに「お話ししたい」と書かなければいけないのに「お話したい」なんて書く人が記者?
 有名人の特別講座(金沢中日文化センター主催)の案内をテレビで流しているのを見たのですが、「今、人気のテレビ番組に出演、楽しくお話しします。特別講座 ○○氏を迎えて文化フォーラム」で、念のため「中日新聞CHUNICHI Web」も見てみたのですが、「講師に○○氏をお迎えし、楽しくお話していただきます」と書いてありました。もはや新聞も放送と同程度のようです。
 それから、テレビ朝日「グッド!モーニング」で「お話しし合って」というテロップを見ました。ますます混乱してきましたね( ̄・ ̄)ウ~ム。「○様に事情をお話しして」というような、謙譲語の「お話しする」などすっかり忘れ去られたような・・・、忘れたのはいわゆる業界の人たちだけで、一般の人、特に上下関係のはっきりした組織で働く人々は忘れていないのかもしれませんが、ちゃんとした「お話しする」を見たり聞いたりすることがとても少なくなっています。
 このときの「お話しし合って」は、話し手は華原朋美、話し合った相手は交際中(?)の人で、今は仕事が一番だという話をしたのだとか。自分の仕事を「お仕事」と何度も言うのですから、確かに「おはなししあって」と言ったのでしょう。ただし、「お話、し合って」のつもりでしょうね。でも、さすがに変だと思ったのか、もう一度同じような説明をしたときは「話し合って」と言いました。
 私なら、たとえ「おはなししあって」と聞こえても「はなしあって」と入力しますが、テロップ入力作業者は、何も考えずに「おはなししあって」と入力し、たまたま「お話しし合って」と変換された、それだけのことでしょう。昨今の「おはなしする」は「お話しする」ではなく、「お話をする」の「を」を省いた「お話、する」であることが多いようですが、だからって「お話、し合って」もやめてよ( ̄_ ̄)。
 そして、改めて説明した島本真衣アナは「お仕事頑張っていくとおはなししてましたけども」と言いましたよ、アナウンサーなのに( ̄д ̄)! この場合の「お仕事」はいいのですが、「お仕事を頑張っていくとお話しなさってましたけども」とか、「お仕事を頑張っていくと話してらっしゃいましたけども」とか・・・、若い女子アナには無理かな、先輩アナだって指導もろくにしていない、できないでしょうからね。
 「おはなしする」の変換候補(IME2012)には、「お話しする」だけではなく、「お話する」もあります。さらに、「お話しする」は、〔行為〕お話しする、話し合い、話し相手、「お話する」は、〔内容〕話をする、話がまとまる、話にならない、このように説明されています。でも、「お話する」なんて大人の日本語ではありませんからね、「お~する」というパターンに機械的に「話し」と「話」をはめ込んであるだけです。
 こういう、いかにもコンピューター任せという感じのテキトーな説明が、この例に限らず、たくさんあります。それが、コンピューターがやってくれる変換に依存し、正誤を自分で考えず、安直に文章を書いている人たちに数々の誤解を生じさせているのではないでしょうか。例えば、「おうかがいする」を変換して辞書の説明を読んでみてください。いかにいいかげんか分かりますよ。
 もっとも、「みんなで話合いをします」「~について話合う際に」「~さんに話に行くと息巻いて」「そのことは話済みで」「~があることは話ているのでしょうか」「変な話しです」「お話しがございまして」など、変換キーを押すのは1回だけ、候補の中から選ぶという発想がない、そもそも合っているかどうか気にもしていない、そういう人が大勢いますから、辞書の説明なんか読んだことはないかもね┐( ̄д ̄)г。
 「はなしあいを」の変換候補には「話し合いを」はもちろん、「話合いを」だってあります、なぜか( ̄~ ̄)。「話し」は〔行為〕話し合い、IMEの標準辞書にこう書いてあるのに、候補としてありえない「話合いを」があるのは非常に不可解です。こういういいかげんなものに依存するなんて実に恐ろしいことです。
 そして、もっと不可解なのが、「~させてくださいと話たところ」「~と話あってのこと」「~と直接話ことにしました」「話し会いにならないようなら(中略)話し合いましょう(中略)家族の間で話し会い」「お話会いで分かってくれれば」という記述が実際に多く見られることです。
 「はなした」なら、「話した」はありますが「話た」はありません。「はなしあっての」なら、「話し合っての、話しあっての、話合っての」はありますが「話あっての」はありません。「はなすこと」なら「話すこと」だけで「話こと」はありません。「話し会い」はもちろん、「お話会い」なんかありません。候補にないのですから、わざわざそういうふうにしたのですか? なぜ( ゜Д゜)?
コメント
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