◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「船長の無責任」って?

2016-09-18 08:53:59 | 言葉についてあれこれ
                                やっぱり浮き輪だね

 テレビ朝日の番組で見た「船内映像が暴く 船長の無責任」というテロップ、これはいけませんね、誰が書いたんだ( ̄д ̄)!? 日本人なら、何も考えなくても自然に「船長の無責任さ」と書けるはずです。それにしても、コスタ・コンコルディア号といい、セウォル号といい、大きな船舶で、救命ボートが装備されていればそれで安心かというとそうでもないような・・・。
 「船長の無責任」だけでも( ̄д ̄)ダラケ! なのに、NHKの番組で聞いたナレーションにも「無力を」「残酷を」などというのがありましたからね、一体どうなっているのでしょうか。詩や難解な言葉遣いの戯曲、そういった特別なものではなく、単なるナレーションですよ。皆さんは分かりますよね、「無力さを」「残酷さを」です。
 「事態は最悪へと向かっていた」は「見逃せない瞬間 ハイパーMAX」(フジテレビ)で聞いたナレーション。もぉ~やだぁ~、さ~いあっくぅ~、なんてね、言いますけれど、「最悪へ」なんて言いません。普通は「最悪の事態へ」ですが、「事態は」で始める言い方について考えてみましょう。
 ただし、「最悪」と言えるのは、最悪の結果になると予測できる場合であり、ゆえに、「事態は最悪の結果へと向かっていた」と言うわけです。もし、そこまで言えるわけではないというのなら、簡単に「最悪」なんて言わないで、「事態は悪化していった」ぐらいにしておいてほしいですね。
 「ニュース7」で「受け止めはさまざまです」と言った武田真一アナ。こういう言い方はたまに聞こえてきますよね、言っている人は、ひょっとして、今様とか、かっこいいとか思っているのではないでしょうか。私は違和感を覚えるだけなので、やはり「受け止め方はさまざまです」と言ってほしい、いや、NHKのアナウンサーなら「受け止め方は」と言うべきだと思います。
 「人前が苦手な」は「よみがえりマイスター」で聞いたナレーション、これもNHKです。さらっと聞き流してしまいそうですが、「人前に出ることが苦手な」と言うべき場面だったので引っ掛かりました。どうしても何か足りないという感じがしますからね、何でも省いていいというわけではないのです。
 「その活躍はとどまらず」は「白熱ライブ ビビット」で聞いたナレーション。活躍し続けるのですよね、次はどのようなことで活躍してくれるのでしょうか。その前に、今はどういう場面で活躍しているのか、そこを言ってくれないといけません。「その活躍は○○にとどまらず」の「○○に」が抜けています。それを省くなら、「その活躍はとどまるところを知らず」という言い方がありますよ。
 「独身の友達が僻みや妬みを言うようになり」は一般の人が書いたものです。「僻み」は「ひがみ」、「妬み」は「ねたみ」ですが、常用漢字表外の音訓は不親切なうえに、そもそも「ひがみやねたみを言う」は日本語として成立していません。実際にそういう言葉を発しているとしても、「独身の友達がひがんだりねたんだりするようになり」と書くのが日本人だと思うのですが、どうですか?
コメント
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