◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「お出迎えしてくれたのは」って?

2013-12-08 10:35:47 | めちゃくちゃな敬語
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 放送業界の敬語ぐだぐだ計画は非常にうまくいっています。「お話」「お迎え」「ご案内」「ご紹介」「ご説明」に「してくれる」「してくださる」「していただく」と続けるのが尊敬語だと思い込んでいるアナウンサーが大勢いて、一般の人にも広がり、もう取り返しがつかないほどです。え? 「していただく」もなのかって? そう、これもどうやら尊敬語らしいですよ( ̄д ̄)!
 例えば、「お出迎えしてくれたのは」「出迎えてくれますね」と言ったのは石川テレビの情報番組に出ていた柴アナ。出迎えたのが店主なら「お出迎えしてくれた」で、出迎えたのが店の入り口にある水槽の中の魚なら「出迎えてくれる」です。ということは、「お出迎えしてくれた」は尊敬語、柴アナはそういうつもりで言っています。ローカルのアナウンサーなんてこの程度です。
 「ご案内してくださる」と言ったのは「ウェークアップ!ぷらす」の五十嵐アナ。「ご説明してくださったんで」と言ったのは「報道STATION SUNDAY」の長野智子。これも尊敬語のつもりですね、二人とも迷いはないようです。全国ネットでも、ベテランでも、アナウンサーでもキャスターでも、この程度です。
 「○○さんがおっしゃっていただいたとおり」と言ったのは政治家、「お客様が喜んでいただけるように」と言ったのは旅館の年配の女将。「建築家のかたがプレゼントしていただいたんですけど」「建築家のかたがご提案していただいて」と言ったのは一般の人ですが、こういう言い方がスタンダードなのだと思い込んでいますね。
 芸能人が口癖のように言う「~ていただく」がまん延し、謙譲語なら「~せていただく」と言いさえすればいいと思っているようです。本来の謙譲語Ⅰ「ご(お)~する」「~いたす」なんかどこかへぶっ飛んでしまいました。さらに、「ご(お)~いただく」に至っては、助詞の使い方がいいかげんになったことも加わり、謙譲語というより、むしろ尊敬語として使われています。「~さんが」「~様が」「~かたが」ですよ、皆さん間違いなく尊敬語として言っています。
 はっきり言いますよ、羽鳥慎一のせいです。原因の全てだとまでは言いませんが、影響がいちばん大きいのは確かです。なんたって人気がありますからね。「○さん、△さん、お二人がお越しいただきました」は、「お二人が」ですから、○さんと△さんの「来る」という主体的行為について言っています。よって、これは尊敬語であると見ざるを得ません。敬語の分類もなにもあったもんじゃない( ̄_ ̄)。
 「ご覧ください」「ご覧いただいて」だけは、見られてなんぼの人たちがよく使う決まり文句ですからね、「ご覧してください」「ご覧していただいて」はまだ聞いたことがありませんが、話し手が「皆さんにご覧いただくことが」と言ったとき、「めざましテレビ」のテロップは「皆さんがご覧いただくことが」でしたから、テロップ入力作業者まで敬語ぐだぐだ計画に・・・┐( ̄д ̄)г。

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