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西荻窪は吉祥寺ほどクローズアップされることはないが、中々良い店がある。老舗では西洋料理のこけし屋、ほかにもシンガポールチキンライスの草分けMu−Hung、カツ丼の名店坂本屋、リーズナブルなステーキ店キャロットなど中々特色のある店が多い。
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今日は中々予約が取れない『仙ノ孫』にお邪魔した。以前、ランチで一度だけ入ったことがあるが、麻婆豆腐とその前に出た前菜が美味かった印象が強いが、今まで縁がなかった。
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店は西荻窪駅から中央線に沿って吉祥寺方面にまっすぐ7分ほど歩いた左側にある。お店はおしゃれで清潔感溢れる、6時入店したため、最初の客となる。メニューをじっくり見るが、食べたいものが多く、決めかねたため、コース(4500円)を注文。
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まずはビールで乾杯、すぐに前菜が3皿が登場。『牛のスネ肉に青菜と生しらす添え、ネギソースかけ』『牛のテール・鰤の醤油煮』『青搾菜、切り干し大根のピリ辛炒め』。
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いずれも初めて目にする料理だが、スネ肉とネギソース、さらに生しらすの相性がよいのに驚く。八角などスパイスがよく効いて、切り干し大根に至っては食べても食材にたどり着かない不思議なあじがする。
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ここでカメ入り紹興酒(12年)をデキャンタで頂くが、その柔らかい口当りにビックリ。ついで汁物が登場。
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『聖護院大根、春キャベツとアサリ、春雨のスープ風』、これは見た目どおりあっさりとした味だが、なぜか腹がホッとする。食べていくとコラーゲンがたっぷりのスープはとろける聖護院大根に海鮮の旨味が加わり、これを吸った春雨が実に美味。寒い日にはもってこいのメニュー。
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ついで『エビチリ』、添えてあるのが茎の長いブロッコリー(スティックブロッコリー)、角切りのサツマイモである。卵で辛味をマイルドにした餡が絶妙。意外なことに芋が美味い。
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さらに名物『麻婆豆腐』、豆腐の処理がよく、味もしっかり。私にはそれほど辛くはない。これも海老チリ同様スープによるものか、かけてあるソース、特にラー油がとにかく美味い。
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料理最後は『豚ヒレの黒酢餡掛け』、揚げていない酢豚のような味。舐めたくなるほど美味い餡である。産地に拘った黒大根、黄色い人参、ケールなど沢山添えてあるが、生野菜に餡を絡めて食べるもよし。
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締めには『豚ひき肉と青菜の炒飯』、あっさりしていて美味い。パラパラに仕上がっている。さらにツバメの巣が載せられた杏仁豆腐、クコの実も乗り、まさに医食同源。化学調味料は無縁の料理で複雑な味は漢方と出汁が決め手のようだ。
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周りのテーブルは全て前菜5品盛り、やはりよだれ鶏を味わうべきらしい。後味もよく、健康になるような中国料理である。ご馳走さま。
中国料理 仙ノ孫
杉並区西荻北4ー4ー2
0333904808