hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

出津教会、大野教会

2017-08-17 05:00:49 | 旅行

『五島・長崎教会巡りの旅』その6。奈良尾発17時20分のジェットホイルで長崎港に入り、長崎に泊まる。翌朝は出島を見に行くが、出島は以前来た際に比べ多くの建物が再建され、江戸時代の街並みを彷彿させる。


その後、再びレンタカーを借りて西彼地区にある教会巡りをする。駅に近いレンタカー事務所から飽の浦にある三菱造船所の前を通り、国道をひた走り。この道はサンセットロードと名付けられるほど夕日が美しい道路らしい。

市内を出てから約50分ほど走ると外海地区に入る。まずは『出津(しつ)教会堂』を目指すがここは頭ケ島教会同様に世界遺産候補のため、県の案内センターに電話をいれる。その際に駐車スペースが限られているため博物館の駐車場に車を置くよう指示され、そこからテクテク坂道を登る。しかし、炎天下のため、わずか15分ほどだが結構つらい。周囲には畑に混じり、キリスト教系の老健施設などもあるが、その先に白い教会が見えた時には正直ホッとする。

この辺りの教会はド・ロ神父の指導のもと建設されたもの。出津教会も1882年に造られ、その後増築され、1909年に現在の姿となった。外観は白亜の建物であるが、これは漆喰で固められ、屋根は瓦葺き、長方形平面の三廊式でド・ロ神父の設計による。内部の天井は低く、質素な造りである。

地元の人により管理されており、訪れた際も車を止めて歩いて来たこと話すと、『車で来たなら停めることもできたのに』と優しく言ってもらった。『天井が低いのはこの辺りは風が強く、壊されないようにこうした造りとなった』と教えてもらう。沢山の外海の人たちが今も集う教会で、周りには田や畑、さらに授産施設などもあり、本当にキリスト教に根ざした地区であることを実感。

ついで『大野教会堂』を目指すが、これが分かりにくい。車で出津から5分ほどだが、なんとか標識を探し、登るのをためらうほど細い山道を登ると駐車スペースを発見。ここから10分ほど山道を歩いて登ると小さな教会に出会える。

この教会にもセンターから連絡があり、地元のお爺さんが待っていてくれた。遅れを詫びると優しく赦して頂く。この教会もド・ロ神父が1893年に建築した独特の工法。近くで採れる石を砕き、赤土と石灰をこねたものをセメントがわりに積み重ねて造られている。当時、この地区には26世帯がいたが、この信徒たちの手作りの教会で天井もまるで日本家屋のようである。ただ、今は信徒が9世帯に減り、維持をするのにも苦労が絶えないとか。

鬼瓦に十字架がなければ教会と気づかない建物だが、長い間の信徒の思いは十分知ることができた。ただ、世界遺産登録にあたり、この秋にICOMOSの担当者からの聞き取り調査があるのだが、地元の人もかなり心配しているようである。もし、指定されても沢山の人が来たらどうなるのか、それも心配。

これで教会巡りは終了。五島で12、長崎で2の教会を見て来たが、何れの教会も信徒が大切にしてきた、また、今後も大切にして行く施設であり、その手入れが行き届いていたのには正直驚いた。青い海・緑の山という豊かな自然の中で祈りの島と言われている五島、古くから厚い信仰のある外海、キリスト教を信じるのに大変なめに会いながらもキリスト教に救済を求め続けた人々の生き方を垣間見られた気がした。残された島、教会にも是非行きたくなる。