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急に携帯電話に吉祥寺で12年やっているスペイン料理屋から電話がかかってきた。というのもいつも予約の際にこの電話を使っていたからである。大人しそうなマスターが控えめに『こんな状態なんで2月にお店を閉めようと思って。いつも予約を入れて頂いているお客様には連絡だけでも』とのこと。2月中旬まではやっていると聞いて名残を惜しみつつ、店にお邪魔した。
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吉祥寺といっても駅から少し裏の方に行ったビルの中2階に『ふくろう』はある。あまり、立地は良くないけれど開店当時は年一回発刊されるHanakoの吉祥寺特集にも載っていたくらいだったが、確かにだんだんお客さんが減ったようで気にはしていた。特に始めの頃はパティシエの女性と2人でやっていたはずだったが、彼女が辞めてから寂しくなった気もする。
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店は先客が2組、それぞれ4人くらいずつ、子供もいて話し声で盛り上がっている。私はほぼいつも同じ料理をたのむのだが、さらに生牡蠣をオーダー。もちろん名物はパエリアだが、腹にたまるので一度も食べたことがない。
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まずはビール(ハートランド)で乾杯、生牡蠣にはソースがかかっているが、野菜などのスープとビネガーを使ったもので爽やかで美味い。
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赤ワインをボトルで頼み、ハモンセラーノをつまみに飲みはじめる。すると名物料理『マッシュルームのセゴビア風』が登場。半分に切ったマッシュルームを味付けしたオリーブ油で煮たもの。熱々を頬張るがパンに良くあう。
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次に『エビのアメリケーヌソース』、スペイン料理かどうかは分からないが、エビの頭でとったソースで煮込んだもの。ソースにエビを付けて食べるが、これが美味い。手が汚れるなど御構い無しに頭の中までしゃぶってしまう。
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最後に『豚のソテー』、本場スペイン産のイベリコ豚をソテーしてバルサミコソースが掛けてあるが、ソース甘みと豚の脂が良くマッチしてしつこさを全く感じさせない。ただ、これでもハーフサイズ、年寄り夫婦にはこの程度で十分満腹になる。
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食後はいつものドルチェ4種盛り合わせとコーヒー。この中ではアップルパイが特に好きである。スペイン産の赤ワインに相性が良く、そのくせあっさりとしていて、いつも満足させてくれたこの店だったが、あと来るとしてもせいぜい1回かと思うと正直悲しくなった。本当にご馳走さま。
ふくろう
武蔵野市吉祥寺南町2ー4ー6
0422423135