大船駅の駅弁といえば『鰺の押し寿司』が定番である。私が子供の頃、よく東海道線で大磯の祖父のところに行った時にも横浜駅のシウマイと並んでよく買ったもの。
実は歴史は古く、製造販売している大船軒が大正2年、当時は10貫入りで15銭で大船駅で販売を開始したというのだから、もう100年以上前のことである。
大船軒の本社は西口から5分ほどのところにあるのだが、そこに『茶のみ処 大船軒』を6年ほど前に開いたとの話を知り、早速行ってみた。バスターミナルの裏あたりに本社はあるが、これも昭和6年に建てられた渋い建物。その1階にある。
入口を入り、廊下を歩くとクラシックな部屋、靴を脱いでスリッパに履き替え、入店。中年女性が丁寧にお出迎え。喫茶店としても営業しているが、とにかく落ち着く。
もちろん、私は鰺の押し寿司を楽しみにきたのだが、メニューは3種類。いつもの鰺の押し寿司、鰺と小鯛の押し寿司、小ぶりの鰺を贅沢に使った『伝承 鰺の押し寿司』があるが、欲張りな私は小鯛2切れ+鰺3切れのセット(650円)を選択、すると奥の工場にオーダーを伝える。
5分ほどで寿司が登場。お澄ましとほうじ茶も合わせて登場。まずは醤油なしで鰺から、作りたてだからか、酢が優しく、アッサリしているが美味い。次に小鯛に移る。
身が少し大きいがこれも一口でいく。こちらは上品。生姜を一口、さらに鰺に醤油を少し、はっきりした味にはなるが、醤油なしで十分。あっという間に食べ終わり、もう一人前くらいは楽に行けそうな感じ。
他にお客さんもおらず、ゆったりできるが、食べ終わったのですることもなく、周りに飾ってあった昭和初期のお茶の土瓶などを眺める。古い洋館はいい、お茶はゆっくり飲んでお会計。
先ほどの女性に『醤油なしでも美味いですね。』というと女性は『私はいつも醤油なしで食べてます』とニッコリ。ご馳走さまでした。
茶のみ処 大船軒
鎌倉市岡本2ー3ー3
0467442005