『井の頭線気まぐれ散歩』その18。富士見ヶ丘駅から始めるが、まずは富士見ヶ丘駅について。駅周辺の住所は杉並区高井戸西と久我山、つまり富士見ヶ丘という地名はない。駅名の由来を調べても富士が見えるような高台があったからと書いてあるのがせいぜいだが、駅を降りても富士山が見えそうな高台は見当たらない。
以前に本で読んだのは『昭和初期に井の頭線開通にあたり、現在の井の頭公園駅近くは窪地になっていて、これに盛り土をして開通させたが、その土は富士見ヶ丘駅近くの丘を崩して建設した』。真実はこのあたりかもしれない。
富士見ヶ丘駅前にあるのは葬祭場。さくら銀行富士見ヶ丘支店の跡地であり、駅前商店街がこぞって反対したにも関わらず開業した。
駅に沿って少し歩くと富士見ヶ丘医院、古くからある診療所で駅のホームからは立派な松を見ることができる。
富士見ヶ丘駅前通りを北に向かい、西友の手前を右に曲がると立派な屋敷、表札には真正館とある。これは倒産した武富士創業者、故武井保雄氏の自宅で会社の研修施設としても使われていた。今はどうなっているかはわからないが、広さは1500坪もあるそうである。
武富士御殿の先を左に曲がると急に田園風景が見えてくる。畑や温室、竹林などとても23区とは思えない風景がまだ残されている。
その先の富士見ヶ丘テニスクラブの裏をまっすぐ行くと大きな栗林が広がる。今の季節は栗の開花時期にあたり、白くて長い花が垂れ下がるように咲いている。このあたりから高井戸駅直前まで広がっており、栗林の向こうに清掃工場の白い巨大な煙突が見える高井戸独特の風景である。
その先、環八通りを右に曲がればすぐに井の頭線高井戸駅、実は急行の停まる永福町駅や久我山駅より乗降客数が多い。