何の変哲もない写真。この空間にはフルートの音色が流れている。旧知の女性が、毎日展入選の、漢詩の刻字と水墨画、象形文字とその解釈を、描いたのを展示していた。門外漢の小生「すばらしい」の一言だ。ひとわたりしたあと外へ出た。会場の周囲は桜がひらひらと、小鳥が「キイィィッ、キイィィッ」と甲高くさえずり、岩石を砕く激流の音、大木に手を軽く握った大きさの白い花、花曇りだったが、時々「木もれび」。静閑さの散策に野趣を味わった。丸太を切ったテーブルで、茶を供された。左手では、午後のコンサートの音合わせ中。写真のなかの人が、奏者にひと声かけた。音合わせがメロディになり、迫力の音色が、木々を震わせ、この空間に澄んで響いた。小生ら二人の聴衆に、この「心使い」に、感謝している。この場を離れるのに、一礼もしなかったことを、自戒している。