○ロブ・ミンコフ監督 映画『ドラゴン・キングダム』(2008年、アメリカ)
北京オリンピックの開会式を見ていたら、中国映画が見たくなって(それも、目のまわるような武侠アクションもの!)公開中のこの映画を思い出した。
二大アクションスター、ジャッキー・チェンとジェット・リーの初共演が話題を呼んでいるが、実は、私はどちらの映画も見たことがない。世代的には、1980年代のジャッキー・ブームをリアルに体験しているはずなのだが、世間のブームに背を向けたがる性質で、当時は、娯楽カンフー映画なぞ、ハナもひっかけなかった。私がカンフーアクションに目を向けたのは、2000年以降、中国製の武侠テレビドラマがきっかけなので、一般の日本人とは、かなり違った入り方である。
さて、物語は、現代のボストンに住むカンフーおたくの青年ジェイソンが、骨董店で見つけた”如意棒”に導かれ、異世界に飛び込むところから始まる。そこは、古代?の中国(雰囲気は宋代)。この”如意棒”は、もと孫悟空の得物だった。しかし、悟空の武功をねたんだジェイド(翡翠)将軍が、奸計によってこれを取り上げ、悟空を石に変えてしまった。ジェイソンは、如意棒を孫悟空に返還するため、飲んだくれの拳法家ルー・ヤン、如意棒の奪還を使命とする黙僧、ジェイド将軍を仇とねらう女侠ゴールデン・スパロウと連れ立って、五行山へと旅出つ。
面白かった。最大の見どころは、ルー・ヤン(ジャッキー・チェン)と黙僧(ジェット・リー)の立ち回り。変幻する肉体の美しさに口あんぐりである。アクション以外でも、このおじさん2人、かわいくて非常に魅力的だった。ジャッキーは骨董屋の老店主を、ジェット・リーは孫悟空を、それぞれ二役で演じているのだが、私は終盤まで気づかなかった。とりわけ、ジェット・リーの孫悟空はキュートで最強、最高。女侠ゴールデン・スパロウ役のリュウ・イーフェイ(劉亦菲)と、白髪魔女(『射雕』の梅超風みたいな怖い美女)役のリー・ビンビン(李氷氷)も頑張っていた。イーフェイちゃんは『天龍八部』の癒し系美少女・王姑娘を忘れるような、厳しい表情と激しいアクションがカッコよかった。
孫悟空の救出にむかう「旅の仲間」が4人なのは、『西遊記』へのオマージュなのだと思う。如意棒を携えたジェイソンが孫悟空(一行の中でいちばん弱いが。旅の間に心技体とも成長する)、一見だらしなくて、飲んだくれのルー・ヤンが猪八戒、黙僧が沙悟浄。紅一点のゴールデン・スパロウが三蔵法師かな。見事な換骨奪胎だと思って、感心した。やるなあ、アメリカ人。
サイトをめぐってみて、気づいたことをいくつか。まずタイトルは、英語では「The Forbidden Kingdom」(禁じられた王国)。もちろんForbidden City(紫禁城)の連想が響いている。中国語では端的に「功夫(カンフー)之王」。日本語の「ドラゴン・キングダム」は、まあ中国ネタだし「ドラゴン」にしとくか?って感じでつけたのかな。実はどこにもドラゴンなんぞ、出てこないのである。ダサいし。
登場人物の名前も不思議だ。ゴールデン・スパロウ(金雀)は、中国語版では金燕子なのである。確かに「イエンズ(燕子)」という音が聞こえて、あれ?と思った。敵役のジェイド将軍は(英語)Jade Warlord(中国語)玉体戦神。日本語訳が、いちばん中途半端だと思う。あと「如意棒」というのも日本語訳で、中国語では「金箍棒」というのねえ。
■日本語「ドラゴン・キングダム」公式サイト(※音が出ます)
http://dragon-kingdom.jp/main.html
■中国語「功夫之王」(新浪網):資料豊富、公式サイトは別。
http://ent.sina.com.cn/f/m/gongfuzhiwang/index.shtml
■中国語「功夫之王」公式サイト(※音が出ます)
http://theforbiddenkingdom.hbpictures.com/
■英語「The Forbidden Kingdom」(※音が出ます。予告編がおすすめ)
http://www.forbiddenkingdommovie.com/
北京オリンピックの開会式を見ていたら、中国映画が見たくなって(それも、目のまわるような武侠アクションもの!)公開中のこの映画を思い出した。
二大アクションスター、ジャッキー・チェンとジェット・リーの初共演が話題を呼んでいるが、実は、私はどちらの映画も見たことがない。世代的には、1980年代のジャッキー・ブームをリアルに体験しているはずなのだが、世間のブームに背を向けたがる性質で、当時は、娯楽カンフー映画なぞ、ハナもひっかけなかった。私がカンフーアクションに目を向けたのは、2000年以降、中国製の武侠テレビドラマがきっかけなので、一般の日本人とは、かなり違った入り方である。
さて、物語は、現代のボストンに住むカンフーおたくの青年ジェイソンが、骨董店で見つけた”如意棒”に導かれ、異世界に飛び込むところから始まる。そこは、古代?の中国(雰囲気は宋代)。この”如意棒”は、もと孫悟空の得物だった。しかし、悟空の武功をねたんだジェイド(翡翠)将軍が、奸計によってこれを取り上げ、悟空を石に変えてしまった。ジェイソンは、如意棒を孫悟空に返還するため、飲んだくれの拳法家ルー・ヤン、如意棒の奪還を使命とする黙僧、ジェイド将軍を仇とねらう女侠ゴールデン・スパロウと連れ立って、五行山へと旅出つ。
面白かった。最大の見どころは、ルー・ヤン(ジャッキー・チェン)と黙僧(ジェット・リー)の立ち回り。変幻する肉体の美しさに口あんぐりである。アクション以外でも、このおじさん2人、かわいくて非常に魅力的だった。ジャッキーは骨董屋の老店主を、ジェット・リーは孫悟空を、それぞれ二役で演じているのだが、私は終盤まで気づかなかった。とりわけ、ジェット・リーの孫悟空はキュートで最強、最高。女侠ゴールデン・スパロウ役のリュウ・イーフェイ(劉亦菲)と、白髪魔女(『射雕』の梅超風みたいな怖い美女)役のリー・ビンビン(李氷氷)も頑張っていた。イーフェイちゃんは『天龍八部』の癒し系美少女・王姑娘を忘れるような、厳しい表情と激しいアクションがカッコよかった。
孫悟空の救出にむかう「旅の仲間」が4人なのは、『西遊記』へのオマージュなのだと思う。如意棒を携えたジェイソンが孫悟空(一行の中でいちばん弱いが。旅の間に心技体とも成長する)、一見だらしなくて、飲んだくれのルー・ヤンが猪八戒、黙僧が沙悟浄。紅一点のゴールデン・スパロウが三蔵法師かな。見事な換骨奪胎だと思って、感心した。やるなあ、アメリカ人。
サイトをめぐってみて、気づいたことをいくつか。まずタイトルは、英語では「The Forbidden Kingdom」(禁じられた王国)。もちろんForbidden City(紫禁城)の連想が響いている。中国語では端的に「功夫(カンフー)之王」。日本語の「ドラゴン・キングダム」は、まあ中国ネタだし「ドラゴン」にしとくか?って感じでつけたのかな。実はどこにもドラゴンなんぞ、出てこないのである。ダサいし。
登場人物の名前も不思議だ。ゴールデン・スパロウ(金雀)は、中国語版では金燕子なのである。確かに「イエンズ(燕子)」という音が聞こえて、あれ?と思った。敵役のジェイド将軍は(英語)Jade Warlord(中国語)玉体戦神。日本語訳が、いちばん中途半端だと思う。あと「如意棒」というのも日本語訳で、中国語では「金箍棒」というのねえ。
■日本語「ドラゴン・キングダム」公式サイト(※音が出ます)
http://dragon-kingdom.jp/main.html
■中国語「功夫之王」(新浪網):資料豊富、公式サイトは別。
http://ent.sina.com.cn/f/m/gongfuzhiwang/index.shtml
■中国語「功夫之王」公式サイト(※音が出ます)
http://theforbiddenkingdom.hbpictures.com/
■英語「The Forbidden Kingdom」(※音が出ます。予告編がおすすめ)
http://www.forbiddenkingdommovie.com/