見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

秋の文化財探訪(1):京大歴史展示室、冷泉家住宅、楽美術館

2009-11-01 19:51:20 | 行ったもの(美術館・見仏)
 11月に入り、文化財の特別公開シーズン到来! 今週もまた、関西に来ている。もちろんお目当ては正倉院展だが、初日(11/1)の訪問先は以下のとおり。

■京都大学百周年時計台記念館1階 歴史展示室 大学文書館企画展『京大の1969年』(2009年9月8日~11月1日)

 出発直前に調べたら、ギリギリ今日まで開催中と分かって、見に行った。資料20点ほどの小規模な展示だが、いま、小熊英二の『1968』上巻を読んでいる(あの大部な本を、この旅行にも持って来ている)ので、いろいろ思い当たるフシがあって面白かった。ニューズレター「京大広報」って、1969年、つまり京大紛争の最中に第1号が刊行されていて、もともとは大学が、教職員や学生に正確な情報を伝達する目的で創刊されたのだそうだ。東大の「学内広報」もそうなのかな? NACSIS Webcatでは、No.38/66 (1969.7/1970.3)からしか現存していないようで、初号はどんな内容だったのか、気になる。

■冷泉家住宅(第45回記念京都非公開文化財特別公開)(2009年10月31日~11月3日)

 先週、東京都美術館で見た『冷泉家 王朝の和歌守(うたもり)展』に感激したので、来てしまった。ほかの文化財特別公開は11/8までだが、冷泉家住宅は11/3までの3日間である。場所は、地下鉄地下鉄烏丸線今出川駅のすぐ近く。相国寺に行くときなど、私は何度も前を通っていると思う。秋の特別公開は2001年から毎年行われており、最初の頃はすごい行列になったようだが、今日は急かされることもなく、ゆっくり参観できた。写真を自由に撮らせてくれるのも嬉しい!(後日、掲載します→こちら

楽美術館 特別展『長次郎 二彩獅子像+勢揃い京の焼物:侘と雅』(2009年9月8日~12月20日)

 冷泉家から徒歩10分くらい。長次郎作『二彩獅子像』の重要文化財指定を記念する特別展。「侘び」の楽茶碗に、清水六兵衛、仁清、乾山、永樂保全・和全などが華やぎを添える。衝撃だったのは、仁清作『色絵鱗波文茶碗』。解説によれば「仁清の代表的茶碗といえば、ほとんどがこの茶碗を思い出されるに違いありません」と言うが、知らなかった…。斬新、大胆。徳川美術館のサイトの写真にリンクしておくが、実物は、もっと青みがかっていて、地色は桜色に見えた。

京都国立博物館 特別展覧会『日蓮と法華の名宝-華ひらく京都町衆文化-』(2009年10月10日~11月23日)

 うーん。真言宗や天台宗と違って、日蓮宗にはあまり興味ないしな、今回は京博パスしようかな、と思っていたのだが、雨が強くなってきたので、迷った末に、寺めぐりを切り上げ、博物館に退避。そうしたら、意外と(いや、やっぱり)面白かった。美麗な古写経、仏像、仏画などの宗教美術品もよかったが、それ以上に興味深かったのは「京都町衆文化」とのかかわり。狩野元信、長谷川等伯、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、尾形乾山らは、みな「法華の信者」だったのである。いや~知らなかった。それゆえ、会場には、光悦の、ゆったりと華麗な筆跡の「立正安国論」があったり(日蓮自筆の同書もある)、宗達の牛図(2幅並べて見たのは初めて)があったりする。さすが京博の特別展にハズレなし、を実感した。

 詳細はピックアップして、また後日レポートの予定。
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