見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

台湾旅行2025【3日日/最終日】保安宮、龍山寺、迪化街

2025-02-15 21:55:55 | ■中国・台湾旅行

 最終日2月10日は月曜日で、博物館や美術館などの公共施設はお休みが多いので、寺廟めぐりと街歩きに当てることにした。MRT圓山駅から歩いて台北孔子廟に向かうと、やがて「万仞宮牆」と呼ばれる赤くて高い壁が見えてくる。

台北孔子廟(台北市大同区大龍街)

 壁を回り込むと「黌門(こうもん)」という額を掲げた門を発見。ここが入口らしいのだが開いていない。まだ早いのかしら…と思ってきょろきょろしたら「週一休館(Closed on Monday)」という掲示が出ていた。なんと!寺廟も休館するのか。

■大龍峒保安宮 (台北市大同区哈密街)

 隣りの保安宮に移動。ここは無事に入ることができた。保生大帝を主尊として主に道教の神々を祀る。

 門扉には門神画、壁には壁画、そして石刻、木彫、泥塑など、目に入る限り、装飾だらけで楽しい。大きな壁画には、三国志や岳飛の戦いなど、私にも分かる主題が用いられていた。しかし平日の朝、ここも真剣に祈りを捧げる人々が多くて、写真を撮るのは遠慮してしまった。

 正殿・后殿の裏に、近代的な4階建てのビルがあり(エレベータあり)、3階は大雄宝殿(仏教の諸仏を祀る)、4階は霊霄宝殿(道教の最高神・玉皇上帝を祀る)になっている。2階は図書館で、展示室も兼ねているようだが、月曜なので閉まっていた。外から見えるショーウィンドウに、先日、霊雲寺の『天帝図』の関係で調べた四元帥の彫像の写真が飾られていて、おお!と思った。

■艋舺龍山寺(台北市万華区広州街)~剥皮寮

 続いて、ここも台北に来たら外せない龍山寺へ。春節~元宵節シーズンということで、いつもに増して、にぎやかで華やかな飾りつけがされていた。

 山門を入ったところには十二支を集めた巨大なモニュメント。もしかして、夜は光るランタンなのだろうか。参拝者は蛇神の下を通り抜けて祈願をする。

なぜか十二支にネズミがいなくてリスがいたんだけど…。

 龍山寺では、毎回、擲筊(おみくじ)にトライしている。歴史上の人物にちなんだ籤が楽しいのだが、今回は「董卓郿塢蔵金」を引いてしまった。どう考えても凶の部類だと思うが、これだけの悪党を引いたのは初めてだったので、引き直さずに貰って帰ってきた。ちなみに、これまでは籤の番号の下に「上上」とか「中中」という記載があったが、この籤は何もない。これはよくない運勢の意味だという。「郿塢」は長安城の近くに董卓が築いた城塞で、ここに30年分の食糧を蓄えていたが、養子の呂布に殺害されてしまう。この籤の意味は、簡単に言えば「欲張りすぎると損をする」なのだろう。気をつけます。

 それから、いつものように剥皮寮(ポーピーリャオ)老街に寄ってみたが、展示を楽しめる台北市郷土教育センターは、月曜のため休館だった。近くに新富町文化市場というリノベーション施設があるのだが、ここも月曜休館。東三水街市場(新富市場)を歩いてみたが閑散としていた。月曜の観光は難しい。

■迪化街~台北霞海城隍廟~大稲埕埠頭

 台北駅のフードコートで昼食のあと、大好きな迪化街をぶらぶら歩く。昔ながらのお店も新しいお店も、活気があって楽しい。永楽市場も昔どおり営業していた。

 台北霞海城隍廟では参拝客に無料で甘茶(平安茶)が提供されていた。この日は朝イチこそ夜の冷気が残っていたが、どんどん暖かくなってようやく冬物コートを脱ぐことができ、喉が乾いていたので美味しかった。また、参拝客は無料で線香をいただいて参拝することができた。以前は龍山寺もこの方式だったと思うが、止めてしまったのかな。

 大稲埕埠頭で淡水河の風景を眺めてひと休み、そろそろ観光を切り上げて空港に向かう時間が近づいてきた。

 ホテル最寄りのMRT民権西路駅のコインロッカーに大きな荷物を預けていたので、いったん戻る。ここでちょっとしたトラブルが起きた。紙に印字された番号を入力してもロッカーが開かないのである。駅のインフォメーションに行って、英語と中国語でトラブルを伝えたら、中に入れたものを確認の上、新しい開錠番号を教えてくれた。1時間10元という料金設定だったので、とりあえず小銭のあった10元だけ払って、不足分はあとで払おうと思ったのがいけなかったらしい。バッグの色を聞かれて、灰色(huise)の正しい発音ができなかったのが悔しい。MRTスタッフのおばさん、ありがとうございました。

 そして松山空港へ。5年ぶりの海外旅行だったが、ひとまず無事に東京へ帰り着いた。次はどこに行こうかな!

(補記)結局、台湾現地で観光に使ったお金は、国立歴史博物館80元+故宮博物院350元=430元(2000円ちょっと)だった。あとは食事と交通費とお土産代、お賽銭が少々。日本で博物館巡りやお寺巡りをするより絶対安いのである。

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台湾旅行2025【2日日】中研院歴史文物陳列館、行天宮

2025-02-15 13:03:12 | ■中国・台湾旅行

中央研究院歴史言語研究所 歴史文物陳列館(台北市南港区中研路)

 故宮博物院からの移動は所要1時間くらいで、13:30には歴史文物陳列館に到着することができた。冷たい小雨がパラパラ降り始めていたので、急いで館内に駆け込む。エントランスに大勢の参観客が溜まっていたが、ここは無料と分かっていたので、脇をすり抜けて展示室へ直行。

 階段を上がって2階の展示室は、前回じっくり見ていたので、前回見残した1階(考古資料)の展示室に向かう。考古資料の冒頭にいたのは『大理石梟形立雕』。1930年代に殷墟西北岡王陵区で発掘されたものだ。中研院歴史言語研究所は、1928~37年に河南省安陽殷墟遺跡において全15回の発掘調査を実施しており、その貴重な成果が、ここで無料公開されているのである。

 この大理石のフクロウは、前回見た記憶がないな、と思ったら、あとで壁に「親近国宝」というパネルが掲示されているのに気づいた。いくつかの「国宝」文物をローテーションで展示しているという告知で、前回は左側の写真『大理石虎首人身立雕』を見た記憶がある。

 なお、興味を持って中研院歴史言語研究所の歴史(日本語ページあり)を調べたら、1928年に広州で設立され、北平(北京)→上海→南京→長沙→昆明等々を経て台湾に移ってきたらしい。いやあ流転の国宝は故宮の文物だけではないのだな…戦火で失われなくて本当によかった。傅斯年先生、ありがとうございます。

 ここは研究所の付属施設らしく、所蔵品を「研究資料」として扱う態度が徹底している。美術品的な名宝が見たい向きには合わないが、歴史好きには本当に楽しい。まず展示品の数が圧倒的である。類似の資料も全部見せてしまう。

いちいち修復せずに、出土したそのままの状態を見ることができるのも興味深い。

中にはこんな可愛い子もいる。首の細い壺の蓋に使われていた。

これは展示室の隅の暗がりにそっと片付けられていた等身大のボード。殷といえば女将軍の婦好かなと思ったら、これは紂王に寵愛された妲己のイメージらしい。2020年に『為己而来-被史家耽誤的女人』(歴史家に邪魔/誤解をされた女性?)という展示があったようで、見たかった!

 前回訪問の2018年(時間切れで考古資料を全部参観できなかった)以来の念願をようやく果たすことができ、2階に戻って、木簡(居延漢簡)、科挙資料、拓本、中国西南地方の少数民族資料、台湾考古資料などをひととおり見た。科挙資料の中に道光27年(1847)の会試合格者の名簿と石碑の拓本があって、李鴻章の名前があるというので探してしまった。少数民族資料では、1930~40年代の古写真と現在の同じ地域の写真を比較したスライドショーが流れていて興味深かった。

 たぶん私にとっては1日いても飽きないワンダーランドだが、朝から歩き続けで、さすがに疲れてきたので、2時間くらいで退出し、帰途についた。帰りのバスは、MRTの駅に行く路線を確かめて乗ったつもりだったが、下りたら、行きの南港展覧館駅でなく、1つ前(台北駅寄り)の南港駅だった。台鉄に接続していることもあり、大きなターミナルビルがあって、こちらのほうが賑わっていた。台北駅のフードコートで昼だか夜だかよく分からない食事を食べてホテルに帰着。

 ホテルでしばらく休んだあと、暗くなり始めた街へ出て、近くの雙城美食街をぶらぶら冷やかし、行天宮を訪ねてみた。

■行天宮(台北市中山区民権東路)

 行天宮は関聖帝君を主神としてお祀りする廟。道教の廟だと思っていたが、ホームページを見ると、儒教、仏教、道教の三教を習合した民間信仰に属すると書いてある。

 気軽な観光のつもりで訪ねたら、境内では道士(?)の方が演台でマイクを使って説教をしており、静かにそれに聞き入る者、長い時間をかけて真剣に祈る者など、思っていた以上に生きた信仰の場であることを感じた。ホテルに戻って2日目を終了。

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