最終日2月10日は月曜日で、博物館や美術館などの公共施設はお休みが多いので、寺廟めぐりと街歩きに当てることにした。MRT圓山駅から歩いて台北孔子廟に向かうと、やがて「万仞宮牆」と呼ばれる赤くて高い壁が見えてくる。
■台北孔子廟(台北市大同区大龍街)
壁を回り込むと「黌門(こうもん)」という額を掲げた門を発見。ここが入口らしいのだが開いていない。まだ早いのかしら…と思ってきょろきょろしたら「週一休館(Closed on Monday)」という掲示が出ていた。なんと!寺廟も休館するのか。
■大龍峒保安宮 (台北市大同区哈密街)
隣りの保安宮に移動。ここは無事に入ることができた。保生大帝を主尊として主に道教の神々を祀る。
門扉には門神画、壁には壁画、そして石刻、木彫、泥塑など、目に入る限り、装飾だらけで楽しい。大きな壁画には、三国志や岳飛の戦いなど、私にも分かる主題が用いられていた。しかし平日の朝、ここも真剣に祈りを捧げる人々が多くて、写真を撮るのは遠慮してしまった。
正殿・后殿の裏に、近代的な4階建てのビルがあり(エレベータあり)、3階は大雄宝殿(仏教の諸仏を祀る)、4階は霊霄宝殿(道教の最高神・玉皇上帝を祀る)になっている。2階は図書館で、展示室も兼ねているようだが、月曜なので閉まっていた。外から見えるショーウィンドウに、先日、霊雲寺の『天帝図』の関係で調べた四元帥の彫像の写真が飾られていて、おお!と思った。
■艋舺龍山寺(台北市万華区広州街)~剥皮寮
続いて、ここも台北に来たら外せない龍山寺へ。春節~元宵節シーズンということで、いつもに増して、にぎやかで華やかな飾りつけがされていた。
山門を入ったところには十二支を集めた巨大なモニュメント。もしかして、夜は光るランタンなのだろうか。参拝者は蛇神の下を通り抜けて祈願をする。
なぜか十二支にネズミがいなくてリスがいたんだけど…。
龍山寺では、毎回、擲筊(おみくじ)にトライしている。歴史上の人物にちなんだ籤が楽しいのだが、今回は「董卓郿塢蔵金」を引いてしまった。どう考えても凶の部類だと思うが、これだけの悪党を引いたのは初めてだったので、引き直さずに貰って帰ってきた。ちなみに、これまでは籤の番号の下に「上上」とか「中中」という記載があったが、この籤は何もない。これはよくない運勢の意味だという。「郿塢」は長安城の近くに董卓が築いた城塞で、ここに30年分の食糧を蓄えていたが、養子の呂布に殺害されてしまう。この籤の意味は、簡単に言えば「欲張りすぎると損をする」なのだろう。気をつけます。
それから、いつものように剥皮寮(ポーピーリャオ)老街に寄ってみたが、展示を楽しめる台北市郷土教育センターは、月曜のため休館だった。近くに新富町文化市場というリノベーション施設があるのだが、ここも月曜休館。東三水街市場(新富市場)を歩いてみたが閑散としていた。月曜の観光は難しい。
■迪化街~台北霞海城隍廟~大稲埕埠頭
台北駅のフードコートで昼食のあと、大好きな迪化街をぶらぶら歩く。昔ながらのお店も新しいお店も、活気があって楽しい。永楽市場も昔どおり営業していた。
台北霞海城隍廟では参拝客に無料で甘茶(平安茶)が提供されていた。この日は朝イチこそ夜の冷気が残っていたが、どんどん暖かくなってようやく冬物コートを脱ぐことができ、喉が乾いていたので美味しかった。また、参拝客は無料で線香をいただいて参拝することができた。以前は龍山寺もこの方式だったと思うが、止めてしまったのかな。
大稲埕埠頭で淡水河の風景を眺めてひと休み、そろそろ観光を切り上げて空港に向かう時間が近づいてきた。
ホテル最寄りのMRT民権西路駅のコインロッカーに大きな荷物を預けていたので、いったん戻る。ここでちょっとしたトラブルが起きた。紙に印字された番号を入力してもロッカーが開かないのである。駅のインフォメーションに行って、英語と中国語でトラブルを伝えたら、中に入れたものを確認の上、新しい開錠番号を教えてくれた。1時間10元という料金設定だったので、とりあえず小銭のあった10元だけ払って、不足分はあとで払おうと思ったのがいけなかったらしい。バッグの色を聞かれて、灰色(huise)の正しい発音ができなかったのが悔しい。MRTスタッフのおばさん、ありがとうございました。
そして松山空港へ。5年ぶりの海外旅行だったが、ひとまず無事に東京へ帰り着いた。次はどこに行こうかな!
(補記)結局、台湾現地で観光に使ったお金は、国立歴史博物館80元+故宮博物院350元=430元(2000円ちょっと)だった。あとは食事と交通費とお土産代、お賽銭が少々。日本で博物館巡りやお寺巡りをするより絶対安いのである。