行き先不明人の時刻表2

何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

NHKが「トマソン伝説」に迫る(その2)

2010年06月02日 | テレビ・テレビ番組

(つづき)ワールドカップイヤーの今年、NHKはデンマーク代表のトマソンを取材した。トマソンはインタビューで、「そんな少年は知らない。手話はできない。自分は一人っ子で姉はいない」と、きっぱりと「トマソン伝説」を否定したのである。

5月30日の早朝の放映にもかかわらず(午前2時38分から僅か10数分の番組。そんな時間、私もよく見ていたものだ!)トマソン信者でもある和歌山県民やヨーロッパサッカーファンを完全に裏切った「ねつ造」伝説は、すでにネット上でも反響を呼んでいる。

しかし、ここまでだと、天下のNHKの企画にしてはいかがなものか?と和歌山県民ならずとも首をかしげてしまうことになる。日テレの真相究明、突撃暴露番組と何ら変わりはない。ところがところが、まだまだ取材は続くのである。

2002年5月、韓国で試合のあるデンマーク代表は直前合宿で和歌山を訪れる。関空に近いというだけの選定理由だったらしいが、NHKは、選手団が到着した空港内で、横断幕を抱えて熱烈に歓迎する若者集団がいたことを伝えている。和歌山県美浜町の関係者だった。

昭和32年、今から50年前の話になる。紀伊水道を航行中の地元の船が火災を起こし、たまたま通りかかったデンマークの船が救助にあたった。デンマークの船員が、一人の日本人を助けようと、荒れ狂う波の中に飛び込んだが、翌日、美浜町の浜辺に水死体で打ち上げられた。

美浜町の人々は、デンマーク人の勇気を讃え、石碑を建立するとともに、今も地元で語り継いでいるという。番組内では、保育園で紙芝居で子どもたちに伝えたり、石碑に花を手向けたりするシーンがあった。こちらは、本物の「いい話」なのだ。

そんな話を知ってか知らずか、地元の歓迎にデンマークの選手団は感動し、交流を深めていくのである。NHKの取材はまだ続く…。(つづく)

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