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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

奥羽線・峠駅で「峠の力餅」の立売りの声が響く

2024年10月22日 | 食(グルメ・地酒・名物)


奥羽線・峠駅と言えば「峠の力餅」。ご存じだろうか?峠駅開業は奥羽線の福島・米沢間の開通とともに1899年(明治34年)、それ以前の1894年に創業したのが「峠の茶屋(屋号は、最上屋?小杉商店?とも言うらしいが)」である。店は峠駅前にポツンとたたずむ(写真上)。
創業130年なのだが、駅開業とともに「峠の力餅」というあんこ入りの餅を販売。なんと今現在もホームで立売りをしているお店で、取扱商品は「峠の力餅」のみ。店自身のホームページなどでも「絶滅危惧種」と紹介している。確かに肥薩線・人吉駅や鹿児島本線・折尾駅で駅弁の立売りを見たことはあったが、どうなっているだろう?
地元の新津駅や直江津駅でも、ホームの傍らに立売箱を置いた形での販売を見かけたことはあるが、パッピを覆い、立売箱を持ってホームを行き来し、車窓越し(ドア越し?)に売る光景は珍しいというより懐かしく、「未だにあったのか?」との驚きしかない。東日本では唯一ということのようだ。



峠駅は、乗降客が一日平均4.7人(山形県「駅別乗車人員の推移」、2004年)の秘境中の秘境、正に峠駅でなぜ?という思いがこみ上げてくる。以前は鉱山があって駅周辺にも人家があったらしいが、現在は秘湯として知られる滑川温泉、姥湯温泉の最寄り駅ではあるのの(確かに、宿の迎えのクルマらしいものが)、駅構内も駅前も極めて静寂に包まれている。
立売り対象列車は、早朝・夜間を除く3往復6列車。それ以外にも予約をすればホームまで届けるそうで、私が訪れた午前8時30分を挟んだ上り下りの2列車にも、入線の際に深々と頭を下げ、停車時間30秒間で4両編成の後方から立売箱を持ってくまなく売り歩いていた。
ホームに立つのは5代目の店主・小杉さん。頑固なまでに立売りを残したいという気持ちがある。日に6往復の、しかも生活路線である各駅停車のみ、「奥羽本線」とは名ばかりのローカル区間の秘境駅で、鉄道とともに歩んできたという心持ちで「最後の砦(峠の茶屋ホームページから)」を守っているのである。



私の場合は、峠駅のスイッチバックの旧駅を見学するため下車したため、購入するのに慌てる必要はなかったが、どの列車も30秒との戦いがあるようだ。そのため売値は1000円!お釣りのやり取りがないようにとのことだが、それでも売れたとしても一列車で5~6個の販売が停車時間内では限界とのこと。
さほど苦労をせずに力餅を手にすることはできたものの、最後の砦を守る力を分けてもらったような気がするのだが、家に持ち帰って写真を撮ろうと箱を見ると、すでに妻がひとつ食べてしまっていた。そりゃ力を込めて「私に買ってきたんでしょ?何が悪い!」みたいな態度でした。
なお、米沢駅前にも「峠の力餅米沢支店」というのがあって同様の力餅を販売しているが、こちらは先代の時に暖簾分けした店で全く別会社(写真下)。山形新幹線「つばさ」車内で販売しているのはこちらのお店のもの。お味は変わらないということだが、さて力が付きそうなのは?私は、ぜひまた峠駅を訪問して購入したいと思っている。



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