キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「がんと闘った科学者の記録」

2009年06月10日 | Book
科学には小さい頃から興味があって、本屋に行くと科学書のコーナーにどんな本が並んでいるのか見るのが楽しみです。先日も本屋をブラブラしていたら、科学そのものとは関係無さそうなこの本が目に止まり、衝動買い(普段はあまり無いのですが)してしまいました。
著者は、ノーベル賞受賞者小柴教授の弟子にあたる戸塚洋二さんです。彼は次のノーベル賞候補と言われていましたが、昨夏に大腸ガンのため死去されました。
この本は、彼が病気と闘いながら、ブログに日々の記録を綴ったものです。内容は、ブログの中にあるいくつかのテーマの中から、「人生」「闘病記録」「教育論」などの部分を取り出したものです。科学者としての立場から自分の病気を冷静に観察し、自分の死期を感じながらも、自身の経験が将来のガン治療に対して何ができるかを考察しています。また記事の中には、庭の花や木々の観察日記が多く挿入されており、最初はどのような意図で花の記事を書いていたのかわからなかったのですが、病気の進行との対比により「生」に対する想いが何となく感じられました。
彼は「自分の人生は限りがある」としてこう記しています。
▼自分の命が消滅したあとでも、世界は何事もなく進んでいく。
▼自分が存在したことは、この時間とともに進む世界で何も痕跡も残さずに消えていく。
▼自分が消滅した後の世界を垣間見ることは絶対に出来ない。
昨年入院生活を送った私も、彼と全く同じことを考えていました。病気をしてみると、苦しさから逃れたいという気持ちと同時に、できるだけ長生きして、この世の中がどう変わっていくのかを見てみたいという気持ちになるものです。記事は「そのまま入院になりました」という一文で突然終わります。自分は意識しなくても、「死」というのは突然やってくるものかもしれません。
この本を読んで「今を精一杯生きる」というのは、とても大事なことだと改めて感じました。

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