この春、書店に山積みになっていた本を読んでみました。
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「グリーン革命」トーマス・フリードマン 著/伏見威蕃 訳
『フラット化する世界』で人々の世界認識を一変させた名ジャーナリスト、トーマス・フリードマンが「フラット化」の先を描いた全米大ベストセラー。米国で発売されるやアマゾン・コムの年間ベストブック、ビジネスウィーク誌の年間ベストビジネス書に選ばれた話題作。地球温暖化、世界各国でのミドルクラスの急激な勃興、急速な人口増加が一気に重なったいま、この地球はきわめて不安定な時代に突入しようとしている。石油依存から脱却しつつ経済成長と豊かさを享受するという大きな試練に、国家と企業はどう立ち向かうべきなのか。産業革命の前後で世界が一変したように、「グリーン革命」の前後で世界の支配者は入れ替わる。人類が経験したことのない新時代を生き抜くための知恵がすべて本書にある。
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著者は、アメリカのジャーナリストでピューリッツアー賞を受賞したことがあるトーマス・フリードマンで、以前「フラット化する世界」という本を読んだことがあります。前著はとても明快な論旨だったので、今回も期待して読みました。「グリーン革命」と聞くと、一昔前であれば農業関連本と間違えそうなタイトルで、しかも上下巻の単行本2冊組みなので、本屋には並べてありましたが実際どれくらい売れているのかは判りません。内容は、簡単に言うと現在の環境問題=温暖化、人口増加、フラット化する社会に対して、「アメリカが」今後何をすべきかの指針を著者なりに示したものです。最近、環境関連本が多数出版されていますが、それらの最新情報を網羅した内容になっています。様々な観点で今の世界が抱える問題を検証していて、オバマ大統領も読んだというのは判ります。今まで、このような本を読んだことが無い人にとっては、世界環境を取り巻く様々な情報を入手できるし、普段テレビ等で見ている内容とは違う観点での情報が盛り込まれているので面白く読めると思います。一方、環境関連に関心があって、ある程度本を読まれている人には少し退屈な内容かもしれません。
著者はジャーナリストですから、取材した結果としての引用文やコメントなどがやたら多くて、時々何を言いたいのか判らない文章が出てくるのには閉口しました。おそらくこの本の1/3くらいは他人のコメントなどの引用です。正直、引用部分を省いて、本人が主張する部分だけをコンパクトにまとめて欲しいと思いました。そうすれば、本のページも少なくなり、2冊の本が1冊になり、紙が節約できて環境にも易しいし、読者の懐にも優しい「環境本」になるんですけど。(写真は最も感動した一文です。著者の文ではありません。引用ですが、読む価値はあります)
参考:目次から
第一部 現状
第1章 鳥も飛ばない場所
第2章 エネルギー気候紀元
第二部 現状への道のり
第3章 アメリカ人が多すぎる――エネルギーと資源の需要と供給
第4章 独裁者を満タンにしつづけるのか?――石油政治
第5章 地球惑乱――気候変動
第6章 ノアの時代――生物の多様性
第7章 エネルギー貧困
第8章 グリーンこそがアメリカの新しい旗印
第三部 前進の道すじ
第9章 地球を救う二〇五の簡単な方法
第10章 エネルギー・インターネット――ITがETと出会うとき
第11章 石器時代が終わったのは、石がなくなったからではない
第12章 グリーンは退屈なもの
第13章 一〇〇万人のノア、一〇〇万隻の方舟
第14章 アルカイダにグリーンで勝つ(一つ買えばおまけが四つ)
第四部 中国
第15章 赤い中国はグリーンな中国になれるか?
第五部 アメリカ
第16章 一日だけ中国になる(でも二日はだめ)
第17章 民主的な中国か、それともバナナ共和国か?