「くじけないで」 深川栄洋監督 ××
“90歳からの詩人”柴田トヨさんの生涯を映画化しました。
90歳のトヨ(八千草薫)は体が自由に動かなくなり、ぼけてくるのを心配した息子(武田鉄矢)のすすめで詩を書くようになりました。小説家志望だった息子の励ましもあり、昔のことを思い出しながら書き留めた詩はお世話になった人に贈られ、贈られた人を励ますのでした。
明治から平成までの生涯を演じた俳優さんたちがそれぞれ面影がよく似ていて不自然さがありませんでした。また、美空ひばりやプロレス中継などで各時代を描いていて工夫が見られました。ダメ息子を可愛がる母親の愛情の深さが印象的な作品です。職を転々とし、競輪に興じるそんな息子を武田が大変うまく演じていました。
タバコは、信じられないことにトヨさんの主治医(上地雄輔 かみじゆうすけ)が何回か喫煙しました(××)。大学病院に戻りたいけど地方の診療所でしかたがなく医師をしている、という設定なので、ふけくされて喫煙しているのか、喫煙なんかしているから大学病院に戻れないのかどちらかでしょうね。また、昭和の場面で脇で喫煙する煙が映りました。
印象に残る場面は、八千草薫と武田鉄矢が「くじけないで」という詩を読むところです。親子の愛の形が表現されていました。