「もらとりあむタマ子」 山下敦弘(のぶひろ)監督 ○ ☆ 無煙映画大賞候補作
23歳のタマ子(前田敦子)は大学卒業後甲府の実家に寄生しています。髪はボサボサ、ジャージで一日中漫画を読んでごろごろしています。一緒に暮らす父親(康すおん)はスポーツ店を営みながら三食を用意するだけでなく、家事のすべてをこなしています。タマ子は店も家事も手伝わず、父親から一言言われただけで逆ギレします。しかし、父親に女性の姿がちらつき始めるとタマ子は落ち着かず行動を開始するのですが・・・。
前田が「もらとりあむタマ子」のイメージ通りの絶妙な演技をしています。モデルのオーディションを受けようと企んでいたときは温野菜しか食べなくて、それをあきらめるとまたガツガツ何でも食べるようになったり、はじめはストーブの給油を父親にやらせていたのを言われなくても自分でするようになったり、行動が微妙に変化して行く様子をさりげない行動で表現していて、脚本もよくできていますが、それ以上に前田が自然に動いていました。特にタマ子の洗濯物の干し方は最高です。タマ子に関わる中学生(伊東清矢)も「天然コケッコー」の岡田将生を彷彿させる名演技でした。前田とともにこれからが楽しみです(☆)。
タバコはなし。無煙です。昨年「苦役列車」、一昨年「マイ・バック・ページ」と2年連続の「汚れた灰皿賞」の山下監督ですが、「山下君、きみもやればできるタイプ、じゃないか。」とほめてあげたいです。前田敦子は主演女優賞(?)
印象に残った場面は、テレビを見ていたタマ子が「ダメだな!この国は」とつぶやくと、父親はダメなのはおまえもだといった顔をします。その表情がすごくいい。2度目には言葉に出していいますが。