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「峠 最後のサムライ」 小泉堯史監督 ○ 松竹
司馬遼太郎原作の「峠」を映画化しました。
15代将軍慶喜(東出昌大)によって大政奉還され江戸時代は終わります。国内は幕府側と官軍側に二分され戦いが始まります。長岡藩牧野家家臣の河井継之助(役所広司)はどちらにも属さず「スイスのような独立中立国」を目指し最新式の軍備を整えます。しかし、官軍側の岩村(吉岡秀隆)と交渉しますが(いわゆる小千谷会談)全く取り合ってもらえず戦いは始まってしまうのでした。
時代劇を守るためには年に数本はこのような作品を作って欲しいと思っていますが、その思いを裏切らない正統派の時代劇です。主役の役所はもちろんのこと、冒頭で慶喜を演じた東出、いつものイメージとは逆の敵役を演じた吉岡などの競演が見事です。最も作品の意図を表した老人役の山本學がいぶし銀に光っていました。
考えてみるとその後薩長土肥が富国強兵で次々戦争を起こし、その時は植民地化は免れたかもしれませんが今はすっかりアメリカの属国になってしまった現実を思うと、どこでまちがえたのだろうかとしみじみ考えさせられます。沖縄慰霊の日に見たせいか余計感じました。
「リバティ(自由)」と「ライツ(権利)」はいま現実になっているのでしょうか?
ところで、河井の髪を切る場面で後ろの掛け軸の文字が読めませんでした。誰か教えて!
タバコは、なし。無煙です。