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「罪の声」 土井裕泰監督 △(おまけ)☆☆
塩田武士原作の昭和最大の未解決事件グリコ森永事件をモチーフにした小説を実写映画化しました。
新聞社に務める阿久津(小栗旬)は30年前の未解決事件追求の特別チームに加わることになり取材を始めます。新聞社には当時の取材記録が山のようにあり、記者の中にも時効にはなっているもののなんとか解決を望む声がありました。阿久津は脅迫に子どもの声が使われていてその子どもが自分と同年齢であることから真剣に取り組むようになります。
一方、テーラーを営む曽根(星野源)は戸棚の奥から妙なテープと手帳を発見し、そのテープには自分の声で脅迫文が録音されていたのを知るのでした。父親の古い友人に手帳を見せると「それは父親の兄達夫さんの物」と言われます。そこから曽根なりに古い写真などを手がかりに達夫の所在を追い始めます。そして阿久津と出会うのでした。
取材を通して「30年経ったから本当のことを知った人もいる。」の言葉通りさまざまな場面で事件関係者がポロッと口に出した一言が次の手がかりへと結びつき少しずつパズルが完成されていきます。
見どころはラストの母と子の対面がかなう場面で「あの時死ななくてよかったね。」という役を宇野祥平が魂演(魂のこもった演技のこと 筆者の造語)しています。
阿久津と曽根の関係が無理のない演出で徐々に深まっていくことに脚本のうまさが感じられました。
タバコは、反社会的グループの面々がタバコを持っている場面がありましたが、かなりマイナスイメージでした。また、橋本じゅん演ずる板前がタバコを吸おうとしますが上手く火がつかず結局吸わずにすませた演出もあり、おまけで△としました。喫煙者の板前の作る料理は食べる気はしませんね・・・。