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読まれなかった小説

2020-02-05 | 2020映画評


「読まれなかった小説」 ヌリ ピルゲ ジェイラン監督  ☓☓
  トルコ、仏、独、ブルガリア、マケドニア、ボスニア、スウェーデン、カタール合作

 小説家をめざす息子と教師でありながらギャンブルから抜けられない父親との関係を美しい自然を舞台に描きました。
 大学を卒業したシナン(アイドゥン ドゥ デミルコス)は故郷の田舎に戻ります。バスから降りると近くの商店主から父親に貸した金が返ってこない、と言われます。父親は地元で教師をしていますが、競馬にハマりいつも金に困っていました。もうひとつハマっているのが「井戸掘り」で祖父が住む実家の敷地に黙々と井戸を掘っていました。シナンは小説を仕上げたものの出版するための資金がなくスポンサーになってくれそうな人に話をしますが、誰を相手にしても若者特有の生意気で挑発的な発言や片頬だけで笑う皮肉な表情のせいか、最後は交渉決裂してしまうのでした。どうしたら出版にこぎつけることができるのでしょうか。
 主人公シナンと様々な人々が交わす奥の深い会話はどれもが人生訓のようでした。上映時間が3時間を超える189分ですが、会話が面白いせいか長さを感じさせません。また、トロイ遺跡がある地方都市チャナッカレの風景が織り込まれ気分転換効果もありました。
 すでに売れるものは売りつくしても電気を止められるほど貧しく、父親はタバコ銭すら息子にたかる始末です。しかし、ラストで父親と息子は「小説」と「井戸掘り」に違いはあるものの、とりつかれたかのように一つのことに邁進する姿は「まったくそっくり」でした。
 タバコは、再会した高校時代の女友達が「タバコある?」といって隠れて喫煙。父親はお金もないのにタバコだけは手放さず、度々喫煙していました。
 タバコではありませんが、自分の故郷の田舎町を「原爆で吹き飛ばしたいほど退屈」と表現していましたが、これは絶対に言ってはいけないセリフです。たくさんの国が制作に参加しているのにこういった物騒な発言が許されるのでは核軍縮はイバラの道ですね。残念ながら。
 
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