無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

中学生円山

2013-05-20 | 2015以前の映画評


「中学生円山」 宮藤官九郎監督 ××

 両親、妹の4人家族で団地に暮らす円山克也(平岡拓真)は、ある目的を達成するため「自主トレ」に励んでいました。そして、自主トレを始めると妄想をするようになるのでした。その頃、上の階に引っ越してきたのがシングルファーザーの下井(草薙剛)でした。下井はベビーカーを押し仕事に行くでもなく団地の主婦仲間の一員になっていました。下井が越してきてから団地周辺で殺人事件が起きてしまいます。克也は下井が犯人なのではないかという妄想をするのでした。
 思春期の男の子の妄想シーンは大笑いできます。団地の中で起きるいくつかの周辺の物語もそれぞれ宮藤監督(脚本も)らしい展開で面白いです。主人公の平岡はいい演技をしていました。今後が楽しみな俳優です。
 前半はコメディタッチでよかったのですが、刑事が登場するあたりからタバコくさい普通の作品になってしまいました。まず、刑事(若松了)が中学生から事情徴収するときにタバコを吸います。それも休みなく(×)。中学生役の平岡は98年生まれで、どう勘定しても未成年です。これは児童虐待という犯罪です。また、5人のやくざが全員喫煙者(×)というのも最近ではありえないのではないでしょうか。そのうちのひとりが投げ捨てた吸殻がベビーカーの乳児に当たって下井が行動を起こすきっかけになるのですが、きっかけがタバコとは陳腐な表現になってしまいましたね。
 一方、たびたび映る団地のエレベーターには「共有部禁煙」と、建物には「団地内禁煙」という張り紙が貼ってありました。

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2013-05-20 | 2015以前の映画評


「家」 秋原北胤監督 ○ ☆ 無煙映画大賞候補

 島崎藤村原作で、昨年「蜘蛛の糸」で無煙映画賞監督賞を受賞した秋原監督の作品です。
 「小泉家」から「橋本家」へ嫁いだ種子(西村知美)は息子と娘を育てる傍ら、造り酒屋の家業の切り盛りも一人でしていました。その上、種子の兄弟の結婚や家族のトラブルなども起こります。大人になった息子は結婚したものの家の仕事には興味も示さず、のちには「呪われているのではないか」と思われるほど不幸が続きます。種子の心をいやすのは生まれつき発達障害がある娘の仙だけでした。
 純文学を次々映画化し、それも全国で撮影をすることで地域の活性化に貢献している秋原監督初の島崎藤村の作品です。「家制度」が破壊されて、新しい人生を歩もうとする主人公を、物語にふさわしい選びぬかれたロケ地と衣装で悲しみの中にも凛とした美しさを描いています。独特のセピア色の映像が時代を感じさせています。読書と同じように、ミステリーや今風の恋愛物もいいけれど、たまには純文学が新鮮なように、映画もホラーやアクションもいいけれどこのような静かな作品もいいですね。また、秋原監督の作品は「ガイドブック」が一般のパンフレットよりも内容が充実していてお勧めです。
 タバコはなし。無煙です。

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さなぎ ~学校に行きたくない~

2013-05-20 | 2015以前の映画評


「さなぎ ~学校に行きたくない~」 三浦淳子監督 ○

 長野県の自然豊かな伊那谷に住む監督の友人の娘(愛ちゃん)が小学校に入学して間もなく不登校になったと聞きます。そして、会いに行ったことがきっかけでドキュメンタリーを撮り始めました。愛ちゃんは小学校3年生になるとなんとか学校に通い始め、6年生になると生徒会長までするようになります。そんな愛ちゃんを見守ってきた母親や祖父母などの家族の姿も描かれています。絵を描くことが好きで、近所の一つ年上の友達とはよく遊ぶ普通の子どもです。学校に行きたくないという気持ちに寄り添ってきた家族のおかげで、大学生になって絵を描くことを生かした道に進むことができました。「子どもは学校に行かなくても成長するものだ。」と思えます。
 学校の対応について触れていませんでしたが、学校に行けるようになったということは学校の対応も子どもの気持ちを優先したものだったと理解していいのでしょう。家族が心配しながらも表に出さず見守ってきたようすが伝わってくるドキュメンタリーでした。
 タバコはなし、無煙です。

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2012年度日本禁煙学会 無煙映画大賞授賞式

2013-05-19 | 2012年度無煙映画大賞受賞作品


☆ 入場無料 どなたでも参加できます。
☆ なお、定員に達した場合は入場することはできません。

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2012年度無煙映画大賞授賞式のお知らせ 

2013-05-17 | 2012年度無煙映画大賞受賞作品
2012年度無煙映画大賞授賞式のお知らせ 
   
☆この賞は次のようなことを目的に設けられました
➀ 映画に携わる俳優及びスタッフなどすべての働く人々をタバコの能動喫煙、受動喫煙の害および残留タバコ煙の害から守ること。
➁ 映画俳優の喫煙シーンがきっかけでタバコ依存症などになった人が多いので、喫煙シーンをなくすことで当事者だけでなく観客もタバコの害から守ること。
➂ 2004年に日本も批准し、世界175以上の国や地域が批准している国際条約「タバコ規制枠組条約(FCTC)」第13条(注)を遵守することを促します。
④ ①、②、③により、映画に関わる人々がいつまでも元気に活躍され、また映画を楽しむことができること。また、タバコのない健康な社会となることを願うものです。
(注)<FCTC第13条>
タバコの広告・販売促進・スポンサーシップの制限または禁止をすることを謳っています。
従来からある情報提供手段(印刷・テレビ・ラジオ)およびインターネット、携帯電話、映画を含むあらゆる形のニューテクノロジーを用いた情報提供手段による広告・宣伝を禁止しています。

無煙映画大賞作品賞   「しあわせのパン」 監督=三島有紀子  
無煙映画大賞主演女優賞  綾瀬はるか  主演作品「ひみつのアッコちゃん」「ホタルノヒカリ」                         
無煙映画大賞主演男優賞  松坂桃李  主演作品「ツナグ」「今日、恋をはじめます」
無煙映画大賞監督賞    斉藤玲子  「よだかのほし」
無煙映画大賞特別賞   「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」(長谷川三郎監督)
            「よみがえりのレシピ」(渡辺智史監督)
            「スケッチ オブ ミャーク」(大西功一監督)
無煙映画大賞特別アニメ賞 「アニメ・ジュノー」(木村真一郎監督)

日時:2013年6月1日(土) 13:30~16:00 (開場 13:00)
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
*入場無料 どなたでも入ることができます。

<内容>
・特別講演「PM2.5と健康」(大和浩 産業医科大学教授)
・パネルディスカッション「タバコと健康」(小宮山洋子元厚生労働大臣ほか)
・無煙映画大賞授賞式
・制服向上委員会ミニライブ

なお、この授賞式は、タバコ問題首都圏協議会が主催する「世界禁煙デー記念イベント2013」の一環として行われます。現在、受賞者の出席を確認中ですが、3人の監督のご出席が決定しています。

問合せ先 タバコ問題首都圏協議会 電話:03-3222-6781
     メール:mash_event@yahoo.co.jp


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図書館戦争

2013-05-17 | 2015以前の映画評


「図書館戦争」 佐藤信介監督 ○ PP ライター

 国家によるメディアへの検閲が正当化され、銃器を手にしたメディア良化隊の攻撃から「本を読む自由」を守るために組織された「図書隊」との戦いが繰り広げられるという時代設定です。郁(榮倉奈々)は高校生の時に出会った図書隊員に憧れ、図書隊の一員となりました。そして、鬼教官(実は高校生の時に出会った人)の堂上(岡田准一)の厳しい指導を受けるのでした。ほどなくして、図書隊にとって重要な人物の死をきっかけに大戦争が始まるのでした。
 自称「自衛隊オタク」の有川浩原作の人気小説を自衛隊の協力を得て映画化しました。榮倉と岡田のデコボココンビは笑わせてもくれますが、「言論の自由を守るための軍隊」という図書隊の位置づけに違和感があります。「自由を守る戦い」というのは歴史的にも「非暴力の闘い」でしょう。「人を傷つける自由」は世界のどこにもないのではないでしょうか。また、ビンタや腕立て100回などの体罰はまずいでしょう。文化を守る組織に体罰は似合いません。あれこれちぐはぐさがあり妙にひっかかる作品です。ちなみに46の「県庁おもてなし課」の原作も有川浩ですが、同じ作家が書いたにしては内容が違い過ぎでこれもちょっとひっかかります。
 タバコはなし。無煙です。本を焼く場面でライターを使いました(PP)。

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県庁おもてなし課

2013-05-16 | 2015以前の映画評


「県庁おもてなし課」 三宅喜重監督 ○ PP「たばこ」看板 ☆

 高知県庁に観光促進を目的に設立された「おもてなし課」に配属された若手の職員掛水(錦戸亮)は観光特使の小説家吉門(高良健吾)の助言を受け、民間感覚を取り入れるためアルバイト職員明神(堀北真希)を採用し、元県庁職員だった清遠(船越英一郎)のもとを訪ねますが・・・。
 いわゆるご当地映画ですが、単なる観光案内に留まらず二組の男女の恋のゆくへも組み込まれ充実した内容の作品となりました。高知なのに竜馬を封印したところも大変新鮮で、好感が持てます。
 出演者がみなさん好演していますが、特に高良健吾はどんな役を演じても自分のものにしてしまううまい俳優です。主役の錦戸も公務員らしい優柔不断な頼りなさを全身で演じていてよかったです。高知関係者ではなくてもおもしろい作品に仕上がりました(☆)。
 タバコはなし。無煙です。県庁敷地内の喫煙所が映るのですが、全くタバコも煙も見せず、タバコを消す動作だけでした。大変気を使った演出でした。「庁舎内禁煙」とか事務所の禁煙マークもありました。ただ、清遠の民宿近くの塀に「たばこ」の看板があり何回か映りました(PP)。残念!

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探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2013-05-14 | 2015以前の映画評


「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」 橋本一監督 ×××× PP缶ピース他

 探偵(大泉洋)の友人でゲイのマサコが殺されました。犯人は検挙されず事件も忘れ去られようとした頃、バイオリニストの女(尾野真千子)が自分のファンだったマサコを殺した犯人を捜してほしいと探偵に依頼します。しかし、ススキノの仲間たちは事件について触れたがりません。実は政界が絡んでいて探偵は依頼を受けたばかりに3つの組織から追われる身となったのでした。
 事件に絡む政治家は原発反対派で、彼を支持する市民が暴力で探偵に向かってくるという場面が何回かありましたが、そのスタイルがマスクとヘルメットにバットという昔の過激派もどきで非常に不愉快でした。今反対している市民は普通の市民で暴力的なグループとはまったく逆の立場の人々です。原発反対運動を誹謗中傷している内容は娯楽映画として許されるものではないでしょう。
 タバコについても大問題作で、主役の大泉洋が多くの場面で喫煙し(××)、助手の松田龍平も後半数回喫煙(×)、そのほかススキノの繁華街の場面では客引きの女性が喫煙していて、そのすぐそばに赤ちゃんがいるという乳児虐待場面もありました。(×)PPも大変露骨で缶ピースは何度も登場し、マルボロの看板、ラストで松田が大泉に「吸う?」と言って黄色いパッケージのたぶんスピリッツを出す場面もありました。
 FCTCに違反しているだけでなく、特に今年のWHO世界禁煙デーのスローガンは「タバコ広告の禁止」となっていますので大いに問題です。撮影に協力している札幌市などは恥ずかしくないのでしょうか。

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戦争と一人の女

2013-05-14 | 2015以前の映画評


「戦争と一人の女」 井上淳一監督 ×××

 坂口安吾の「明るいニヒリズム」が原作です。東京にB29が爆弾を落とすようになったころ、「空襲が大好き」という元飲み屋の女(江口のりこ)は常連客だった作家先生(永瀬正敏)と暮し始めます。一方、片腕を亡くした傷痍軍人(村上淳)は中国で日本軍が犯した罪と同じことを繰り返し、彼自身罪を重ねていきます。ポルノビデオとも思えるR18の性描写がこれでもかと続き、あまりにくどくエロティックコメディかとも思えるほどです。レイプシーンは腹立たしいし、やはり男性監督の限界を感じます。主役の江口は脇役の時には光っているのにこの作品ではいいところがありませんでした。脱げばいいというものではないでしょう。戦争批判をしているんだかどうだかその辺もぼやけていました。作品の意図が理解できかねます。
 タバコは物のない時代にもかかわらず、主役のふたり(永瀬正敏、江口のりこ)がたびたび喫煙していました(××)。村上淳も喫煙しました(×)。なお、坂口がモデルの作家は後半ヒロポン中毒となり、やはりニコチンが薬物依存のゲートドラッグであることはよくわかります。

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ペタル ダンス

2013-05-14 | 2015以前の映画評


「ペタル ダンス」 石川寛監督 ○

 大学時代の友人ミキ(吹石一恵)が「海に飛び込んだらしい」と聞き、ジンコ(宮崎あおい)と素子(安藤サクラ)はやはり自殺がらみのきっかけで知り合った原木(忽那汐里)の運転でミキがいる北へ向かいます。それぞれが心の中にあるものをストレートに表現することへのためらいや相手に対する気遣いなどで、女が4人いても会話はあまりありません。それだからこそ遠慮がちなひとことが深く心に沁みこむのです。一言に込められた万巻の思いが伝わるのです。うるさいほど饒舌な作品があふれる昨今、優しい切り口で女性を表現した心が洗われるような作品です。
 タバコはなし。無煙です。

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