「中学生円山」 宮藤官九郎監督 ××
両親、妹の4人家族で団地に暮らす円山克也(平岡拓真)は、ある目的を達成するため「自主トレ」に励んでいました。そして、自主トレを始めると妄想をするようになるのでした。その頃、上の階に引っ越してきたのがシングルファーザーの下井(草薙剛)でした。下井はベビーカーを押し仕事に行くでもなく団地の主婦仲間の一員になっていました。下井が越してきてから団地周辺で殺人事件が起きてしまいます。克也は下井が犯人なのではないかという妄想をするのでした。
思春期の男の子の妄想シーンは大笑いできます。団地の中で起きるいくつかの周辺の物語もそれぞれ宮藤監督(脚本も)らしい展開で面白いです。主人公の平岡はいい演技をしていました。今後が楽しみな俳優です。
前半はコメディタッチでよかったのですが、刑事が登場するあたりからタバコくさい普通の作品になってしまいました。まず、刑事(若松了)が中学生から事情徴収するときにタバコを吸います。それも休みなく(×)。中学生役の平岡は98年生まれで、どう勘定しても未成年です。これは児童虐待という犯罪です。また、5人のやくざが全員喫煙者(×)というのも最近ではありえないのではないでしょうか。そのうちのひとりが投げ捨てた吸殻がベビーカーの乳児に当たって下井が行動を起こすきっかけになるのですが、きっかけがタバコとは陳腐な表現になってしまいましたね。
一方、たびたび映る団地のエレベーターには「共有部禁煙」と、建物には「団地内禁煙」という張り紙が貼ってありました。