診断士理論研修の内容から、グルーミーという言葉について。我々の執筆した理論研修資料の中に、採用に関する法的問題という章がある。こちらは診断士兼弁護士の先生の分担である。採用に関する有名な判例をレクチャーするものだ。
判例は3つ。採用内定通知が取り消しされた裁判、学生時代に学生運動をやっていてそれを隠して入社したが、入社後採用取り消しされた裁判、留学して会社を辞めたが、留学費用を返せという裁判2例の3つだ。
結論は最初は解雇無効、二番目は示談で結果不明、三番目はケースバイケースというもの。この中で最初の裁判で、内定取り消し事由を印刷会社側は、「グルーミーだから」という理由で取り消したというもの。グルーミーという言葉、裁判でもあんまり聞いたことがない。私も一応「行政書士」資格を持っているので法律用語は多少かじっている。しかしグルーミーとは聞いたことがない。日本語だと、「暗い」「陰気」というそうだ。
この判例では、内定取り消し事由は、内定時点では、不明だったものが後で分かったものである必要がある。ただしその内容は、客観的合理的で、社会通念上相当として是認できるものだそうだ。グルーミーという曖昧な基準では取り消しはできない。重大な学歴の詐称とか、業務に耐えられないほどの健康悪化、学校留年、犯罪などが挙がられる。経営者は簡単には内定取り消しはできないのである。
この研修、講師をやっていて実に深い勉強ができる。