kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

2018-11-06 | 陸上競技
思うことを。

熱。先日「熱量」というタイトルで記事を書いた。自分の物事に対する熱意について触れた。まーこれも自分の感覚なので何が正しいのかはわからない。「熱」という部分は全ての原動力でないか。その部分に関して感じたことを記しておきたいと思う。

「鉄は熱いうちに打て」という諺がある。実際に鉄の形を変える際にはかなり高い熱を加える必要がある。鉄が赤くなるくらい熱していき、その後に金槌などで叩いて衝撃を与えて少しずつ形を変えていく。普通の状態で鉄を叩いたとしても全く形は変わらない。熱を加えることで変化する可能性が出てくるといえる。

これは選手の成長にも繋がることだとかんがえている。「熱心」にやる。「熱くなる」という部分。本気になるということもできるだろう。その状態であればこちらが伝えていることが「衝撃」となり少しずつ形を変えていくことになる。熱くなっていても指導を受けられずに自分の力で変化しようとする。それで強くなる選手はかなり多くいる。遠回りをする部分はあると思うがやはり熱くなっている、本気になっている選手は自ら望む形になろうとしていく。何かを好きになってそこに対して情熱を注ぐようになれば人は自ら変われる。

熱くなれるかどうか。ここは大きいと思う。競技の指導をして初めてインターハイに出場したrina。中学時代は65秒9くらいの選手。一度も決勝に残ったことがない。それが一緒に競技をやり始めて2ヶ月でいきなり61秒台に入る2年生で県総体優勝、3年生では57秒53まで記録を伸ばしてインターハイ出場。普通では考えられない伸び率。高校3年生の県体が終わって話をした時に何でそんなに強くなったのか?と聞きました。本人の返答は「やる気になったから」というシンプルなものでした。高校で陸上をやろうと決めたのでやるなら本気でやった方が良いから、という答えでした。

この子の話を聞くと「想いの熱さ」が違うなという感じでした。高校時代、一度も遊びに行ったことがないとのこと。平日は練習をしている。休みの日は普段お弁当を作ってもらったりしているので家の手伝いをする。そのため遊びに誘われても断ることが多くなる。そのうち誰も誘ってくれなくなる。女子高生ですから食事の時にお菓子を食べたりというのもあったようですが、この子達には誰もくれない(笑)。食べないと断るのが分かっていたから。引退した次の日に他の子が「もう食べれるやろ?」と持ってきてくれたのが嬉しかったと言っていました。強くなるために妥協せずに取り組む姿勢はこの学年が群を抜いていました。

だからこちらが伝えようとした事はしっかりと入っていく。私が熱くなりすぎていた部分もあります。本当に毎日が楽しかったので。どこまでも一緒にできる感覚がありました。覚悟が違う。競技に対して本当に熱心に考えていました。熱があった。だから強くなる。

最近思うこと。熱について。実際の熱と人間の熱は同じなのではないか。熱伝導です。熱伝導とは高温の物質から低温の物質に熱が移動していくという部分。これは物質だけではなく人も同じなのではないか。私の指導の中で情熱を持ってやっていきます。その熱が上手く選手に伝われば選手自身も熱くなって物事に取り組むようになる。それによりわたしも更に熱をもらうことができる。逆のパターンもある。熱が奪われていく。それにより私自身の情熱が失われていく。

選手も。1人情熱を持って持って競技と向き合っている。しかし、周りにいる2人がそこまでやらない。そうなると1人の情熱は2人に奪われていって熱さを失う。結果、全体的に熱量が下がってしまう。それにより何も生み出さなくなり変化も生まれなくなる。熱伝導は心の熱も奪っていくのだと思います。そうであればどうするのか。

熱を持った選手が増えなければいけない。1人がその気になってやるだけでは熱は奪われる。rinaがいた時、同学年に3人いました。それぞれが熱かった。だから相乗効果で全員が競技に対して真剣に取り組む。同級生とはいえライバル。誰が走ってもマイルで県で負ける事はないという感じでした。当時キャプテンだったyukaが県新人の時、1人だけ個人で中国新人に進めなかったと涙を流していました。それくらい必死に取り組んでいた。だから強かったのだと思います。女子7人で県総体のトラックの部、総合優勝しました。それくらい熱があれば本当に強くなる。

熱伝導。熱の奪い合いをしていたらダメだと思います。互いに熱くならなければいけない。1人だけではダメ。刺激しあえる関係を作らなければいけない。それができれば競争が生まれる。負けたくないという思いも大きくなる。勝手に強くなるのでこちらは方向性を定めていけばいい。選手を「熱くする」ためにエネルギーを注ぎ続けている間は本当の競技にはならないと思います。

チーム作り。ここに対してどうするか。熱くなった鉄はいくらでも変わっていく。熱くならない鉄はいつまでたっても同じ形のままになる。発熱するくらいの熱さが欲しい。そこは大きいですね。

またもまとまりがないかもしれません。とりあえず記録しておきます。なかなか文才は磨かれません。それでも書きますが。
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短距離指導の方向性

2018-11-06 | 陸上競技
思うことを。

今回、Nが12秒15で走りました。このタイムがどうなのかというのは分かりません。中学時代に12秒46で走っています。そのタイムは私がこれまで見てきたどの選手よりも速い。知らない人が見れば11秒台に入るのは簡単なのではないかと思われるのかもしれません。しかし、中学時代に速かった選手が高校でも速いというのはなかなか成立しないと思います。特に女子であればそれは顕著に出ます。中学時代のベストが更新できずに高校時代を終えるという選手も星の数ほどいると思います。

今回Nが12秒15で走る。これで私が指導した選手で3人目です。makinoが12秒14、Nが12秒15、kanaが12秒17。これにMが12秒30、mihoが12秒36。ショートスプリントでそれなりに結果が出せたのかなと思います。特別選手が集まる場所でやっているわけではありません。選手の数は他の学校の半分以下。その中である程度女子スプリントが出てくるというのは今やろうとしている事の方向性が間違っていないのだろうなと勝手に思っています。選手が集まってきての結果ではないという部分はある。

上記の5人、それぞれ走り方が全く違います。走り方が似てくるというのはチームの指導としてあるのかもしれませんが、うちの選手達はそれがない。基本的な動きはやりますがガチガチに型にはめるような動きはしません。前も書きましたが10人いて1人が速いというチームは多いと思います。私としては10人いたら10人に速くなって欲しいと思っています。目立つのは「強い選手がいる」チームです。しかし、それだけでは面白くない。私が面白くないのではなく、選手が面白くないと思います。それぞれが主役になれるようにしていきたい。そうであればそれぞれの走りを生かしてやっていくのが良い。

理論的にやる。強い学校がやっている練習をやる。そこに意味があるのか。gt先生は「力学的に考えて」という話をします。ポールという種目の特性上、力をどのように受け取ってそれをどう利用して方向性を変更するのか。ここは大きいと思います。ポールをどのようにボックスに突っ込んでそこから力をもらうためにどのような動きをするのが適切なのか。ある程度の方向性は決まってくると思います。

スプリントも基本的な部分は必ず押さえる必要があると思います。走っていたら勝手に速くなるというものではない。やりたい動きがある。そこには理由があって力学的な部分が含まれる。しかし、目の前で見ていてその選手にあった動きや感覚があると思います。そこをどう練習に導入するか。ここは大きな部分だと思います。ガチガチに型にはめると本人達が走りにくくなることもある。ナチュラルに動ける走りでなければ面白くないからです。アレンジする必要性がある。変な方向にアレンジしてしまう危険性も少なからずありますが。

まー私レベルの指導者が偉そうなことを書くと何を言われるか分からない世の中。こうやってあれこれ書く事が好まれないというのもあると思います。まー人に好かれるためにやっているわけではないので良いかなと諦めています。それでも今やっていることを記しておくことは何かしら意味があるのではないかなと考えています。何かしら、の。

今やっている内容に足りないなと思うこと。それは「有酸素系」です。ここに関しては皆無に近いレベルでやっています。そうなるとショートスプリントに偏ってしまう。ここは今後の指導の課題だと思っています。グランドの広さの関係で300mなどの長い距離は一切走りません。女子の練習に長い距離が必要なのかどうかは分かりません。タイミングが違ってくるのでそれが走りに悪影響を及ぼしてしまうのではないかという感覚はあります。しかし、これから先もっとショートスプリントを伸ばしていこうと思えば「ロングスプリント」への対応も考えなければいけないと考えています。テンポ走とは違う形で練習に取り入れていきたいと考えています。

今はスプリントに必要な動きを徹底します。ドリル的な要素はかなり減りました。以前は足運びなどにかなり時間をかけてアップをしていました。今は動きながら足運びを作っていくというスタンス。やりたい動きは変わりませんがその方法論が変わってきた。時間の関係や効果の問題もあります。ドリルがきちんとできるようになったとしてもそれが走りに生きてこないという選手が複数名いました。型にはめてやるだけではなく、実際の動きの中でどのように作っていくのかが大切なのかなと。まードリルをやることさえない学校も多いとは思います。走る練習さえやっておけば結果が出るというかんじなのかもしれません。ここで大きな差がつくのは間違いないとは思います。ドリルをやる時間は著しく減りましたが「動きを作る」部分に関しては削ってはいません。

トレーニングに関してもかなりやります。トレーニングで追い込むというのは減ったかもしれません。様々な動きをやりながら鍛えていくというのが増えた気はします。寝転がってやる補強よりも動きながら鍛えていくというのが増えた。こうなると本人達の意識が大きくなりますが。これはどのレベルでも同じかもしれません。「天才」と言われる選手であればトレーニングをそれほどやらなくても強いかもしれません。しかし、普通の選手はここの部分は外せないと思っています。やるだけの補強ではなく意識した補強が必要。

増えたのが軸を意識した練習やバランス系。makinoに教えてもらった動きに色々とアレンジしながら。この冬はもう一度原点に戻ってバランスディスクを使ったトレーニングを入れていきたいなと思っています。前任校でかなりやりました。県内で多くの学校が購入しています。基本的な使い方とは違うかもしれませんが自分の重心を取ったりするためには良い練習になると思います。様々なバリエーションを増やしていければと考えています。

まー私の取組を示したところで「興味ないし」と思われるとは思いますが。今のところ考えていることを書いておきたいなと思っています。他にもあるのですがまた書けたら書きます。特別な練習は存在しません。12秒1が3人。県外なら「そんなもの当然」と言われるでしょう。勘違いしないようにしたいと思います。12秒14、15、17と来たので「次は12秒16狙いですかね」と話をしたら「11秒台やろ(笑)」と冷静な突っ込みを入れられました。確かに。目標値はあげないといけません。11秒台が毎年30人近く全国では出ています。そこを目指さなければいけない。志半ばです。

また勉強したいなと思います。mtm先生、sri先生よろしくお願いします(笑)
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葛藤

2018-11-06 | 陸上競技
なかなか更新できません。お許しを。

日曜日と月曜日で県体が開催されました。今シーズン最後のレースになる。3年生にとっては高校最後のレース。こちらとしても本人達が納得するレースをさせてあげたいという想いが強くありました。Nは国体がありました。なかなか思うような走りが出来ず少しづつ修正をしていかなければいけない。本人と話をしながらずっと取り組んできました。選手によってはそこまで考えなくても走れる選手はいます。が、Nは違う。中学時代はそれで走れていましたが高校ではそうはいかない。数ヶ月間、ずっと苦しんでいたと思います。

そこから抜け出すために。県外の記録会などを経験しながら取り組む。Nは佐賀の記録会で追い風参考ですが12秒25で走っていました。少しずつ走りが修正できつつあった。そのタイミングでMの走りが崩れ始める。記録会に行く前にMの走りはかなり良くなっていました。実際レースに送り出す時までは記録会ではMが勝つのではないかと。それが結果を見てみると全く走れていない。こちらとしても何とかしてやりたいと思っていました。Soは追い風参考で11秒1台で走っていたのである程度力が安定してきたかなという感じはありした。もうワンランク上を目指せるかなと。

北九州カーニバル。Nは予選からまずまずの走り。組み立てようとしている走りが出来つつある。予選通過しました。Mはレース前のスタート練習でものすごく良い動きをする。これは行けるなと思っていましたが実際のレースは走れず。12秒9かかりました。向かい風とはいえ本人的にも全く納得できない。Soもスタートはまずまずでしたがそこから地味に遅れ始め11秒24。課題となる部分の修正に時間をかけなければいけないという感じでした。Nは決勝でもそれなりに走りました。タイムは12秒49でしたがタイム以上に手応えを感じる走りができるようになっていました。

この辺りは周りからは全く分からないと思います。走りを作るという感覚の中で取り組んでいます。単純に速い選手が速くなっていると思われがち。どれだけ本人達が葛藤を抱えながら取り組んでいるのか分からない。当然だと思います。当事者以外はその感覚は絶対に分からないと思います。

そこから1週間、本人達と話をしながらやっていきました。県体をどのように迎えるか。ここは重要。

3人とも100mで決勝に残る。Nは12秒35。ここは完全に動きが出来てきたという手応えを感じました。本人と話すと「12秒20は出る」と珍しく口にしていました。が、MとSは本来の走りができない。ギリギリで決勝に残れたという感じでした。それでももう一本走れる。何とか修正していきたいと思っていましたが審判の関係でほとんど関われず。本人達に任せなければいけない状態でした。

決勝、Nは12秒15の自己ベスト&大会新記録で優勝。2位が12秒23、3位が12秒31というハイレベルなレースを制しました。が、Mは12秒76。本来の走りとは遠い姿でした。Soも中盤から伸びずに11秒24。

表立ってはやはりNの記録が目立ちます。多くの方から「すごいね」という評価を受けました。長い間苦しんでいた分、本人も嬉しいと思います。中学時代の記録から3年間かけて「0.31秒」の伸びです。時間がかかりましたがやっとここまできた。この安堵感と同時にMとSoが納得できる走りができなかったことへの罪悪感というのがありました。正確には罪悪感というのとは少し異なるのですが。やはり手放しで喜ぶことができない結果だったというのは間違いない。

選手が何人かいれば上手くいくこともあれば行かないこともある。他の指導者がどのように感じるのかは分かりません。私としては全員がきちんと納得できる走りをさせてあげたいという気持ちがあります。勿論そんな事が出来るわけはないのですが、やはり全員が結果を出せるような指導をしていきたい。Nが過去最高の走りを高校最後のレースでした事はやはり我が事のように嬉しい。しかし、他の2人のことを考えると手放しでは喜べない。そういう性格です。

自分の中でこの葛藤は永遠に続くと思います。消化できない感情がある。それでも自分の中で処理できるようにならなければいけない。一朝一夕に結果は出せません。Nがここまで走りが作れたのは8月以降国体に選ばれていたのでそのためにきちんと動きを作っていく時間があった。他の2人は試合がなく実践で修正する機会が少なかったのもあると思います。そのため県外の試合を入れていきましたが間に合いませんでした。

本当に難しい。そこを自分の中でどうするか。葛藤。
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