思うことを。練習に関することも含めてになる気はするのですが。
力のある選手が卒業していきました。それは当然の話です。うちのような「普通の学校」に選手が来てくれるということはものすごいレアです。通常考えるとありえません。それでもある程度選手が集まってくれてIHに進むことができた。私以外の指導を受けていたらもっと上の結果になっているのかもしれません。そこは比較対象がないので何とも言えないところです。
本人たちが「うちでよかった」と思っていてくれるのか。他で練習していたらもっと伸びていたのにという感覚を持っているか。そこは分かりません。知っているのは本人たちだけでしょう。いや、本人たちも分かっていないかもしれません。どこかと比較するという感じはないかもしれませんし。
大幅に戦力が落ちました。これは紛れのない事実です。当然受け入れていくべきこと。選手が集まる学校ではない。波があるのは当然です。その中で自分が何をするのか。インターハイを常に目指せる選手が来てくれればそこまで意識できますが、「普通の選手」ばかり。もっといえば「身体を動かしていきたい」という理由で入部してくる生徒もいます。「足が速かったから陸上部に入ります」というのではなく「とりあえず入る」というのがある。「競技志向」ではない感覚の中で捉えていかなければいけないとは思います。
新入生が入ってきました。まだまだ幼いなと感じる部分はあります。大半の選手は「hoshoに入ってみたらkanekoがいた」という感覚だと思います。「うちで陸上競技がやりたい」と熱望して入ってくれる子は稀です。ほとんど0に近い中でやっています。それも受け入れていかなければいけない部分。
少し前に1年生の女子が練習中に近寄ってきました。「今の走りはどうでしたか?」と自ら聞いてきたのです。ある意味衝撃でした。最近はToが少し自分から聞きに来ることがありました。競技に関しての意欲関心はかなり高いので。これまで指導してきた選手でも「与えられる」ことに慣れていて自分から欲して行動するというのはほとんどなかった。それが1年生がいきなり質問をしてくる。大きなことだと思います。
中学時代のように走れない。それも受け入れていかなければいけないと思います。練習パターンも内容も大きく違います。うちの練習の流れを理解するだけで大変だと思います。器用ではないのですがひたむきに努力できる感じがあります。スピードレベルも中学時代と比べるとずいぶん落ちているのでしょう。うちの選手についていくことができません。これはこれで精神的にもしんどいだろうと思います。
そんな時に「全部の練習の資料をもらえませんか?」と言ってきました。なんだ??という感じがありました。どうするのかなと。
確認をすると「高校で練習を始めてできないことが多いと感じている」という話がありました。それは仕方ないと思うのですが。「もともとできないことが多いのに、意識するポイントが正確にわかっていない。」とも。最初からできるわけではない。それでも「やるだけになってしまっている気がする」ということでした。だから資料を見て練習のポイントを理解して正確にやりたい、と。
練習中に「どうでしたか?」と聞いてくるだけではなく「良い練習をするために自分に足りないことをやりたい」という気持ち。これまで指導をしてきて初めての経験かもしれません。これまでは「強くなりたい」という気持ちはあっても「練習していたら結果が出るだろう」という感覚でスタートした選手が多かったと思います。やっているうちに少しずつ「欲」がでてきて意識が変わる。大半はそんな感じでした。
もちろん、かなり指導をする中で変わっていくというパターンでした。前任校ではかなり厳しくやっていました。「先生は怖かった」と今でもあった時には言います。今はそうでもないと思います。年齢的なこともあるのかもしれません。kanaは「保護者が競技やるならtokushoがいいと言ったから選んだ」くらいの感覚でした(笑)。良く衝突していましたし。まーkanaのおかげで今の指導スタイルになってきたというのはあると思います。今の選手は心から感謝すべきだと思いますね(笑)。
話がそれましたが。すごく競技に対して真剣に向き合ってくれているのかなと思います。やりたいことがきちんとできない部分があるのでそれがもどかしいのかもしれません。「今何を重視したらいいか?」「家で何をしたらいいか?」「練習で何を重視したらいいか?」を聞いてきました。今はそこまで詰めてやる必要はないと思っています。もちろん、こちらも「想い」にはこたえたいと思います。
翌日に資料を渡しました。本人が「欲しい」というのであれば必要なものはできるだけ早く渡す。今のメニューを全て網羅しているわけではありません。それでも技術的なこと、練習の内容的なもの、補強の内容などを渡しました。アップのやり方も含めて。加速段階の動きに大きな課題があるのでそこの改善のための内容も渡しました。
後で他の先生に聞いたのですがその資料を女子2人で分け合っているときに「宝物」をもらったように笑顔で盛り上がっていたとのこと。「アイドルのサインをもらったのか?」というくらいの様子だったと。かなり盛っているとは思いますが、こちらがアクションを起こした時にそれに少しでも呼応してもらえるというのはやはり嬉しいですね。
まだまだ思うように走れない時期が続くと思います。それでも「意欲」はすべての原点になる。きっと強くなるのではないかと思います。「やらされる」のではなく「自分で必要だと感じてやる」のですから吸収力が違います。それによって周りに与える影響も違ってくる。
指導していて初めての経験です。大きな責任があると思っています。しっかりと状況を把握してできることをやりたい。強くそう思います。短期的な結果ではなくしっかりと長い目で見て取り組んでいければと思います。必要とされるのはやはり嬉しい。感覚的なものですが。
前向きにやりたいと思います。少しずつ少しずつ。