こんにちは、20期生の岡田です。今回は、稼プロOBが中心となって運営しているドラッカー勉強会で学んだことをお話しします。このドラッカー勉強会は、2か月に1回のペースで開催されています。1年間で1冊の本を読むペースで範囲を設定し、各回で指定された範囲の内容を担当者が40分程度で説明した後、グループディスカッションを行います。
現在の課題図書は『マネジメント 課題、責任、実践(上)』ダイヤモンド社で、この10月に開催された勉強会の範囲は第8章から第10章でした。これらの章では「企業の成果」のうち「目標」や「戦略計画」について書かれています。1973年の著作ではありますが、今日でも心に響くフレーズが多くありました。ここでは、それらの一部を紹介します。
第8章と第9章は「目標」がテーマであり、第8章では目標とは何で、どう使うのかが書かれています。「目標」という単語は様々な場面に出てくるものですが、「目標」について詳しく説明できる自信がある人はどれくらいいるでしょうか?本書では、目標とは「事業の定義やミッションを実現するための決意」「成果を評価するための基準」としており、「行動のためのもので、具体的な仕事と成果の基準となり、動機づけになるもの」「重要なものを区別し、資源の集中と行動の集中を可能にするもの」とも書かれています。そして、目標を設定すべき領域は事業の成否に関わる領域すべてであり、あらゆる事業に共通するとしています。ちなみに、本書に記載されている目標が必要な領域は8つです。「具体的な目標を持たない領域は必ずないがしろにされる」とあり、納得と同時に8つの領域を網羅していない自分自身を顧み反省の念に駆られました。
第9章では前述の8領域について目標設定とその実行について詳しく書かれています。目標設定の中心はマーケティングとイノベーションとしており、事業が成果を得るのはこの二つの領域からであると述べられています。1973年に提唱されたこの考え方、今でも納得感や気づきがあり、自分自身の実践という点では課題を感じます。
本書では、マーケティングの目標を設定する前に「集中の目標」と「市場地位の目標」の基本的な決定を行うよう書かれています。有名なコトラーさんのSTPにも繋がる考え方と思いました。「集中の目標」の一節に、「集中の決定とは戦場の決定。これなくして戦闘はあっても戦争にならない。」という記述があり、ドラッカーさんの生き抜いた時代背景が垣間見える気がしました(1909年生まれ)。集中する分野が重要なことは、稼プロの塾生時代にご指導いただいていますが、いまだに悩みの種です。
もう一つの中心であるイノベーションの目標とは「われわれの事業は何であるべきか」との問いに対する答えを、具体的な行動に移すためのものであるとしています。さらに、小企業にイノベーションが必要とされるのは、大企業と同じであるとも述べられており、昨今盛んに日本で言われていることを50年前にドラッカーさんが提言していたことが分かります。
第10章の戦略計画では、「戦略計画ならざるもの」を説明してから「戦略計画とは」を示す論法に感心しました。「戦略計画ならざるもの」に、「戦略計画とは意思決定に科学的な手法を適用することではなく、思考・分析・想像・判断を適用すること」とあり、フレームワークを適用して書き出すだけでは戦略計画ではないということでしょう。さらに、昨日を体系的に廃棄することも随所に述べられており、ここでも過去にとらわれやすい自分自身へ気づきと反省が促されます。
このように、ドラッカーさんの書籍は今読んでも気づきの多いものです。これを使ってグループディスカッションする勉強会に参加すると理解も深まり、有意義な時間を過ごすことができます。興味のある方は気軽にご参加ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。