こんにちは、20期生の岡田英二です。
今回は、先日開催された中小企業診断シンポジウムで講演された石坂産業株式会社代表取締役の石坂典子氏の話から、感じたことや考えたことです。
シンポジウムに参加された方はご存じかと思いますが、この基調講演は石坂産業株式会社(https://ishizaka-group.co.jp/)の成り立ち、2代目社長として事業承継した講演者の想い、取り組み、会社の変革を1時間で網羅したものでした。
この講演で印象に残ったポイントを5つ取り上げます。
1.産業廃棄物処理事業を営む石坂産業株式会社の的確な自社分析と目標設定
講演者が事業承継をする前後、産業廃棄物処理業者は厳しい価格競争環境にありました。同社は売上向上や利益向上のために未処理在庫の管理を推進しました。すごいのは、講演者がこの経営改善だけでなく「100年続く会社にするにはどうすべきか」を考えながら内外環境を分析したことです。このような考え方をするには、会社に対する想いや事業に対する誇りが必要です。社会への貢献を意識して会社や事業の定義をする重要性を感じました。
2.地域貢献による地域社会との融合を優先したボランティア活動の継続
廃棄物処理業者への厳しい視線が向けられた状況を乗り越えられたのは、ボランティアで行った近隣の清掃作業や森林にある不法投棄物を処分することを継続したことが重要な要因であると話しをされました。厳しい環境下、事業を継続するに地域社会への融合を優先した点は素晴らしい判断だったと考えます。地域住民からの信頼を獲得できたのは、同社の発展につながるターニングポイントの1つと思います。このような非営利活動を率先して行った会社の姿勢と、それを継続できた経営者の指導力に感服しました。
3.従業員の行動規律改善を促進する仕組みづくり
近隣の清掃作業は、近隣住民の目に触れる活動であり、続けていると感謝の言葉を受けます。見られている意識が従業員自身の規律に良い影響を与えたようです。新設した処理工場の作業場を来訪者に見学してもらうことも、従業員の士気向上につながったと思います。工場見学を積極的に取り入れる企業も増えており、同社は良い効果が出た事例でしょう。
4.ボランティア活動から派生した事業の立ち上げ
森林の不法投棄を回収処分しても、次々と不法投棄がなされていたため、関係者と協議して森林の管理を受託してきれいな環境づくりに繋げました。その後にこの森林を散策できる自然公園として一般開放し、食育やお土産物の開発をするなど新たな展開をしました。これは近隣との関係強化を継続したこと、そこから生まれた変化をうまく活用したことで展開できた事例です。長期的な視点と近隣や社会への貢献を強く意識したことも成功要因と思われます。
5.世界からも注目される廃棄物関連事業の環境共生型企業の樹立
廃棄物関連事業と環境保全は相反するようにも思えますが、それをしっかりと両立させている中規模の民間企業が存在していることに驚きました。日本でも注目はされているようですが、外国からの訪問者が多くて注目度が高いことも驚きです。
このように、感銘を受けた講演でしたが、このような企業を1社でも多く生み出すために、中小企業診断士の自分に何ができるかがとても重要な課題であり、シンポジウムが終わった今でも考えていることです。
自分一人でできることは限られていますが、このような事例に多く触れて、その転換点や判断に関する理解を深めることから始めたいと考えています。その蓄積を企業に接する際に活用できる診断士になるべく、さまざまなスキルを磨いていきたいと思いました。さらに、目標設定、自社の内外環境分析、社会への貢献意識、従業員との関係強化は成長のための必須事項であることも再確認できました。
この講演だけでなく、シンポジウム全般で刺激を受けることが沢山ありました。診断士関連のイベントは学ぶことや気づきを得られることが多くて面白いです。
以上、11月5日に開催されたシンポジウムの感想でした。最後まで読んでいただきありがとうございました。