あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

東山彰良著「流」を読んで

2016-03-16 15:49:46 | Weblog


照る日曇る日第852回

台湾に生まれて台北で過ごし9歳で日本に移住した変わり種の血沸き肉踊る一大歴史変遷人間惑乱&世紀の悲恋物語ずら。題材とプロットが大きく、それなりに造型が魅力的に描かれているので直木賞を受賞したのだろう。

中国からやってきた外省人と台湾固有の人々、国民党と共産党の骨肉の争いを描いて、義理人情でたまたまそれらの党派に属しただけなのに無慈悲に殺戮しあったと総括しているくだりには驚かされるが、この感覚は大陸的というかちょっと日本にはないものだと思った。

祖父を殺した犯人捜しを軸に据えたお噺はミステリーとしても面白いしクライマックスは映画のように盛り上がるが、文章自体は微妙なところで日本人の日本語とは異なっているのが欠点。中国語か英語で書かれたものを優れた翻訳者の日本語で読みたかった。

  願わくばテレビの取扱説明書を返してたもれ神隠しの神よ 蝶人
コメント
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