あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

「夢は第二の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第106回

2022-07-04 10:08:51 | Weblog

西暦2021年葉月長月神無月蝶人酔生夢死幾百夜

 

2012年8月

 

常に狭斜に往来していたおらっちだったが、世紀末ウイーンを訪ねた折には、高級車に2人の美女を侍らせ、颯爽とモザール邸に乗り入れたのよ。8/1

 

昔々京急の株を超安値で買ったのが、今や数百倍の値がついてぼろもうけしているはずなんだが、いくら探しても肝心の株券がないのら。8/2

 

息子がようやっとコロナワクチン接種の申し込みができるようになったというので、朝イチで代理で申し込んでやろうと徹夜で待機していたら、朝が過ぎ去ったようだ。8/3

 

最新型コロナとの戦いの最前線に立っているのは、またしてもホッテントットの女王だった。8/4

 

いくら優れたデザイナーの服でも、それを着こなす人のセンスが悪ければたちまちゴミのような代物になるのは、そのデザインの中には良い、悪い、普通の3種の要素が含まれているからだと、良い子、悪い子、普通の子の3人が、声を揃えて教えて呉れた。8/5

 

いよいよ地球脱出の時が迫って来たというのに、この国は、頭の先から尻尾のヘリまで腐りきっていたので、もろもろの準備がてんで出来ていないのだった。8/6

 

軽自動車で撥ねられた時の撥ねられ具合は、ガツーンだったか、ゴツーンだったか、ガーンだったかと、色々追体験しているのよ。8/7

 

敵の偵察に出ていたら、とっつかまってしまった。敵軍の頭は「罰としてお前の片腕をちょん斬ることにするが、どっちかを選べ」というので、たまたま腱板損傷で痛くてたまらない右腕を切断してもらったら、さっぱりした。8/8

 

仏蘭西語が分からない伊太利人のために、最後の御奉公として棺桶に片足を突っ込んだアラン・ドロンがやってきたのだが、「セレレ、セレレ」としか発語できなかったので、みな落胆した。8/9

 

カス内閣のデジタル庁があまりにも不人気なので、誰か知恵者が入り知恵して看板をレンタル庁に付け替え、いずれも無職の若い男子には若い女子、若い女子には若い男子を夜な夜な税金負担でデリバリーすることに決めたら、たちまち支持率が急上昇しました、とさ。8/10

 

我々はみな鋭い剣がついた軍帽をかぶっていたが、これを敵に向けての熾烈な穴あけ競争が始まった。8/11

 

私はルーミスシシジミだが、口からあふれ出る蜜が若い娘たちの人気なので、周囲には遠方から駆けつけてきた多くの美女たちが、三密、四密、五密状態だった。8/12

 

シゲハラ印刷のタナカ君が、7時にいなくなると同時に、おらっちの課は無人になった。おらっち抜きで、どこかでパーテイーでもやっているのではないかと激しく疑ったが、あいにく誰もいない。8/13

 

誰かが露台で、洗濯物を物干し竿に吊るしたまま、そいつを上下左右に振り回して、サーカスの練習をやっている。8/14

 

みんなでモロッコに試合に出かけたのだが、あっさり負けてしまった。あんなやり方では負けるのは当たり前。みな大反省せよ!8/15

 

私はライフルを握り締めて、2,3回引き金を引いた。敵の姿は見えないけれど、誰かが斃れたたようだ。ともかく息子の一世一代の個展を邪魔立てしようとするやつは、こういう目に遭うのだ。8/16

 

久しぶりにNYにやって来て、前から持っていた小銭を払おうとしたら、「それはもう通用しません」と言われて、頭の中が真っ白になってしまったよ。8/17

 

いつの間にやらおらっちは、K団連の重要メンバーに成り上がって、毎日テレビで記者会見に出るようになったしまったので、「もしかして俺は海道一のエラモンさんになったのではないか」と、毎日鏡の中の顔とにらめっこしていたのよ。8/18

 

オグロ選手とその仲間たちが、年に一度の慰労パーティを開くと言うので、私は老いたる父母を連れて上京したのだが、ふと気がつくと2人とも姿を消してしまったので、焦りまくっている。8/19

 

ようやく父母を見つけたのでイカスミで口を黒くしたりしていると、誰かが「こちらササキマコトはんの特製スパゲッテイ・ブースどっせえ」と叫んでいるのでそこへ近づいていく。もうひとりササキマコトがいるのだろうか?8/20

 

かつて人気を博した国際政治テレビ番組が惜しまれつつ終了したが、脇役スタッフの私にも80万円のラスト・ボーナスが出たので、私は仲良しの女忍者スタッフと一緒にプロデューサーがいる最上階に行くエレベーターに乗ったのだが、まだ懐の80万円が信じられないでいる。8/21

 

テイコウ映画祭の会場では、バルタン星人が、「今日は、朝から晩まで、全部の映画を見るぞ!」と張り切っていたずら。8/22

 

神宮前の事務所に、東急エージェンシーのナカムラさんを訪ねたら、別の先客がいた。ナカムラさんが「3人で中華を食おう、僕は後から行く」というので、2人で先に行って待っていたがなかなか来ない。そのうち先客は、料理を勝手に注文し始めたので、焦っている私。8/23

 

その時だった。私は見た。黒い目出し帽をかぶった息子が、普段は見たこともない狡猾な類人猿のような表情で、そっと誰かに近づいていく恐ろしい姿を。8/24

 

山村工作隊時代の共産党員がまだ生き残っていて、「あの時代に火炎瓶を投げた連中が、その後歌声喫茶で「若者よ体を鍛えておけ!」などと歌っている姿を見ると、とても同じ人間とは思えないよ」と語るのを聞いて、おらっちは深く頷いた。8/25

 

両辺を両の手で持って、そのランプを、そろそろ運んだのだが、地面に下ろしたときの、ふとした衝撃で、大爆発が起こって、ランプも我らもみな吹き飛んでしまった。8/26

 

海岸通りを走るバスに乗って、私たちはその貴族の別荘に向かった。海も空も青い夏の日の午後だった。8/27

 

さなきだに苦労山積の駐韓大使の私を、官邸に忖度し捲りの猿面患者のような部下どもは、てんで仕事などせず、私の足を引っ張るようなことばかりするのだった。8/28

 

ぞの公凶放送のアナウンサーが、毎日マスクをしろとか外出や会食するなとか、まるで子供に箸の上げ下ろしを注意するような教訓を垂れるので、どたまに来たおらっちは、そ奴を画面から引きずり出して、血祭りにあげてやったのよ。8/29

 

今から30年前、この見知らぬ町に初めてやって来た私は、最初に口をきいた少年のお陰で幸運に恵まれ、とんとん拍子に出世して、町一番の分限者になり上がったのだったなあ、と、感慨深く振り返ったのだった。8/30

 

おらっちが指揮するハイドンのオラトリオ「天地創造」の演奏中に、おらっちの恋人のソプラノが急死してしまったので、曲目を急遽モザールの「レクイエム」に切り替えた。8/31

 

2021年9月

 

状況は瞬時に変化してしまうので、「わたしらは、いつでもいい意味でのダブルスタンダードを心がけていなければ、世の中から取り残されてしまう」と力説したのだが、タナカ氏は、ついに首を縦に振ろうとはしなかった。9/1

 

ぼくはひさしぶりにアマカワくんにあって、そのやさしさにかんどうしたんだが、「ぼく、あしたきみに、なにか、かみさまのことばを、いわなければならないんだ」というと、アマカワくんは、「ああそうなの、まあよろしくね」というたのよ。9/2

 

銀座の旧電通ビルの試写室でルック社のテレビCMを見ていたら、普段は温和なヨシムラ氏が、突如血相を変えて立ちあがって、「このCMに、なんで盲人が出て来るんだ。障害者を冒涜するな!」と叫んで、そのカットをカットさせたので、おらっち「こいつは偉い奴だ!」と、秘かに舌を巻いた。9/3

 

更地というより、荒地になってしまった会社の跡地を、元写真たちが、なにか思い出の品でも落ちていないかと、目を凝らしながら探している。9/4

 

「現代音楽のレコードは、一回こなごなに割ってから、アロンアルファでくっつけて聴くと、とても味わい深いんだ」と、大学時代の友人が教えてくれたのだが、なかなか実行できないでいる。9/5

 

出しものによって大好評の月もあれば、その反対に大不評の月もあり、それがみな売り上げに直結するので、映画館主のおらっちは。、大好きな「ローマの休日」だけを上映することにした。9/6

 

この史上未曽有の大飢饉時代を、我らヒニタタ一族は、身をひとつに寄せ合うようにして、爪を噛み噛み、たった一人の餓死者を出すこともなく、なんとか乗り切った。9/7

 

新型コロナを巡る世界的なパンデミックは、いっこうに収まらず、ますます熾烈を極めていたので、超強力な最新型ワクチンを搭載している我われの戦車は、敵軍の熾烈な集中砲火に晒されていた。9/8

 

政府主催の壮行会では、最初にビールなしのおつまみ、最後にスイトンしか出なかったので、頭に来た若い兵士たちは、次々に退場してタリバンの宴会場に向かった。9/9

 

東京の超僻地に引っ越した我ら夫婦は、近隣の住民のライフスタイルに違和感を覚えながら、自分たちの暮らしを細々と続けていたのよ。9/10

 

この国では、権力者にはむかった者たちは、金魚鉢を象った巨大な水槽に投げ込まれるので、泳げないものは、すぐに死んでしまうし、泳ぎの達者なものが、いくらあがいても、絶対に外には出られないのだ。9/11

 

コロナ最終戦争の段階で、ある希少ワクチンを接種した人だけが生き残れる、ことが分かったので、血を血で洗う物凄い争奪戦が起こっているようだが、おらっちのような下層階級には、てんで関係のない噺だ。9/11

 

その国際映画祭にはじめて出席した大富豪は、最新の映画が見放題なのに感激して、1億円を寄付したことで、その名を知られている。9/12

 

「この会社は腐ってるわ」と彼女がいうので、「その会社にいるボクもかな?」と訊ねたら、「さあそれは分からないわ」と答えたまま、彼女は地下鉄丸の内線の新宿駅の改札口から永遠に姿を消した。9/13

 

もうそろそろ、ここらへんで手を打たないとヤバイ、と思いながら、おらっっちは、何もせず、何も出来ないままで、いたずらに月日が流れていった。9/14

 

3時29分に玄関のチャイムがひとつ鳴ったので、おそるおそる階段を下りてドアを開けてみたが、誰もいなかった。9/15

 

ようやっとクリスチャン・バッハが到着したので、いよいよこれからリヒター選手が演奏を開始するのか、と固唾をのんで見守っていたが、コンサートは、なかなか始まらなかった。9/16

 

朝から晩まで敵将と激闘を続けた挙句、ついに最大の強敵を仕留めたのだが、おらっちには、何の勝利の喜びも湧き起こってはこなかった。9/17

 

芸術のための美的生活を目指して、楽しい共同生活を営んでいた私たちに対して、家主が強制退去を命じたが、おらっちを含めておよそ30名ほどが居残って、しぶとく美的生活を続けているのだった。9/18

 

全国マージャン大会が開催された。東京駅のホームに着くと、いきなりプラットホームのコンクリートが扇のように開かれて、その下には、何百台ものジャン卓が現れた。9/19

 

ふぁちょん大博士の下で、3年間修業を積んだおらっちは、朝寝して宵寝するまで昼寝して、時々起きて居眠りをしている大博士の代わりに、いま流行のエチカ調ルックスを製作したら大好評でした。9/20

 

その中国人女性のふぁっちょんトークでは、自分が得意とするラインは押さえて、あえて不要不急の不得手なラインを大きく打ち出すと、そのブランドの付加価値が増加するというたので、思い切ってやってみることにしたのよ。9/21

 

だいぶ前に急死した副社長の専用車に乗って、高速経由で彼の自宅に到着すると、美人の奥さんと女中らしき人がお辞儀をして、「おかえりなさいませ」という。副社長が運転手に「このまま彼の自宅まで届けてくれ」と命じたので、余は再び車上の人となった。9/22

 

その武将は、みずからも飢餓状態に陥りながら、小野城の包囲を解こうとはしなかった。9/23

 

私は最近大量生産されるようになったロボットについて研究している者だが、どんなロボットの表情も、また心の中にも、憂鬱と不幸が忍び込んでおり、譬え未来からやって来た猫型ロボットのドラどらえもんが、にっこり笑ったとしても、そこには決して消せない悲しみが漂っていることを見抜いたのであった。9/24

 

妻の実家で開催されている次男の個展を巡って、妻と息子の考え方が微妙に異なるので、はてさてどうしたもんじゃろう、と心穏やかならざる私。9/25

 

彼女は1億円の宝籤に当選したが、そのお金は生徒から集めた給食費の一部だったので、彼女は懲戒免職になり、1億円は学校がぶんどった。9/26

 

米国に遠征試合にやって来た我われは、毎朝食卓に並べられる宝石系のパンやコスモス系のパンを貪り喰うては、試合に臨んだ。9/27

 

ミクシィの少数の友人たちが書いた日記のありかを尋ねているのだが、杳として知れなかった。9/28

 

250人くらい入る大教室で、スタイリストを目指す若い女生徒に向かって、おらっちは1時間半にわたって谷崎の「陰翳礼讃」を論じたが、誰も聞いていない。と思いきや、講義が終わった時、一人だけ「とても面白かった」というて呉れたので、とても嬉しかった。9/29

 

リーマンを卒業して、フリーになってからのおらっちは、雑誌の取材記事から広告制作、専門学校、大学の非常勤講師等々、頼まれればなんでも引き受け、不眠不休で働き続けたので、自分のことを「抜き身の剣」と思うようになったのよ。9/30

 

2021年10月

 

海中なのに、巨大な水中ブルトーザーが、タラバガニのような大きな両腕で、海水を胸に抱え込んでは、次々に陸上に抛り投げていた。10/1

 

戸塚駅で横須賀線に乗り換えたら、ヴィクター宣伝部のトマツ氏が疲れた顔をして、うす汚れたガラス窓から外を眺めていたので、きっと重電部に異動できなかったに違いないと思ったずら。10/2

 

うちらあ野球の審判員なんやけど、2塁塁審で毎日60万円貰って、そのチームに有利な判定をしていた上司が、こないだ、とうとう首になってしまいました。10/3

 

Aという写真家が、商業写真を撮った後の現場を、Bという写真家が撮ると、芸術的写真に変わってしまうのだが、そのAとBを観察しているCは、写真家でも芸術家でもない。10/4

 

声は鋭い槍になって身を刺し、その身がどうなろうと、強烈な毒素を、全身に垂れ流すのだった。ひとたび身に受けた声は、体の中に沁み込んで、どうしても取り除くことは出来ない。10/5

 

モザールのト短調交響曲を聴きながら、おらっちはフルヴェンの悲しみが爆走していくのを見守っていた。10/6

 

「あんたの服には、権力への噛みつき跡が、ありありと残っているから、あれを着る人は、なかなかいないんじゃない」と、アンジェラが言うた。10/7

 

太平洋上空から見下ろすと、赤と青の2台の水中潜行艇に乗った2人が、楽しそうに海中ブランコしている姿が見えた。10/8

 

おらっちが校長を務めている小学校に、今年もベルリン・フィルの連中がやって来てミニ・コンサートを開いてくれるのだが、生憎改築中なので、校舎のあちこちを移動しながらの演奏になるので、ちと気の毒だ。10/9

 

夜、寝ているのに、起きているのに、寝ているようだ。10/10

 

いつもバスで会社へ行こうとしたら、道路の真ん中に大きな樹が倒れていて進まないので、仕方なくバスに戻ると、隣の黒人の大男が居眠りしながらもたれかかるので、身を躱していると、ソマリアのどすこいオバサンが乗り込んできて、余にウインクするのだが、もしかして、同級生のマリちゃんではなかろうか?10/11

 

南新宿の南の地下壕には、秘密の地下鉄が走っていて、オームとホームの血を血で洗う地上の武闘から逃れた民草たちが、犇き合っているのだが、おらっちはその群衆の中に、奥村晃作さんが、掃き溜の老鶴のように佇んでいる姿を見つけた。10/12

 

ピエール・カルダンは、さる伯爵夫人のために、毎年デザインと機能性に配慮した特製の水着を進呈していたそうだが、この話は、おらっちしか知らないと思うずら。10/13

 

大阪支店の連中と昼飯を食おうと歩いていたら、仲間の一人が黒鬼野郎にとっつかまってレスリングを挑まれ、さんざんやっつけられているので、誰か助っ人しないのか、とお互いに顔を見やるのだが、誰も助けないので、またさんざんにやっつけられて、素っ裸にされている。10/14

 

イソミ整形外科のイソミ先生に、そのことをどのように伝えるのかを、何度も何度も練習するのだが、そのたびに別の話をしてしまうので、焦りまくっているおらっち。10/15

 

わいらあ義経なんやけど、さる無名子が、公文書におらっちの名を書きしるしてくれたことだけを今生の名残として、いずこへともなく落ちのびていったのよ。単身で。10/16

 

せめて独裁的な為政者に蟷螂の斧を打ちおろさんと、余は身にワルサー一挺を携えて、王宮に忍び込んだのであったあ。10/17

 

偉大なるノーベル賞作家が、20年ぶりに発表した最新作は、たったの1行だけの世界最短小説で、しかもその1行の2/3が伏字になっていて、「その伏字が何であるかを当てた人には1億円を進呈する!」というスポンサーまで現れたので、超話題になっている。10/18

 

近所のおばさんから、「駅まで行くなら、ちょっと乗っていきなよ」と誘われたので、軽い気持ちで乗っていたら、そのおばさんが、俄かに、俄かめくらになったので、激しく動揺している私。10/19

 

ナカノ君が、「通産がオーバーランドの交通点」というたので、「キンサ、キレイな海の泡」と答えたら、また「光が輝き、土が唄ってる」というたのであるが、何も答えず黙っていた。10/20

 

ネモ艦長になった私は、ノーチラス号のスロットルを全開して、この世の悪人どもに体当たりさせ、次から次に海底の藻屑と化していった。10/21

 

私は星の王子様にテッパン協奏曲を聞かせたら、ことのほか喜んで、「もっと! もっと

!」とリクエストするのだった。10/22

 

「ここでリハビリを始めてから、まだ半年も経っていないんですよ!」と、おらっちは痛い右腕をブンブン振り回しながら、イソミ院長に激しく抗議したのよ。10/23

 

人世に消耗した時には、ベートーヴェンの交響曲第4番の出だしを聞くと、パンパンパンビノパンビタンを飲んだくらいには元気になるのだが、近頃は、さっぱり効かなくなってしまって哀しいずら。10/24

 

ともすれば分裂、崩壊してしまいそうになる「私」を掻き集め、また掻き集めしているうちに、いつのまにか「私」は「私たち」になっていった。10/25

 

おらっちの小学の同期の秀才は、村の一等地に巨大な銀行をおっ立て、「見てろ、いまに日銀に追いつき、追いこすんだから!」と、豪語するのだった。10/26

 

その村人たちは、風味絶佳、天下無敵と称されるサルマ茸を、おらっちにどっさり喰わせてくれたのだが、それほど美味くもなく、喰えば喰うほどマズくなるので、近寄って来た豚に呉れてやった。10/27

 

ゼンダ城の虜なおらっちは、鉄火面で全身を覆われてしまったので、飯を喰うたり、ウンチをしたりするのに、えらく往生したことであった。10/28

 

「この商売の鉄則は、本物のストラディバリウスのヴァイオリンを、ショオウィンドォに掲げることさ」と、その楽器商は語った。10/29

 

ボクはそろそろ身を固めようと思って、彼女と付き合い始めたのだが、彼女ときたら「海よ山よ町よ」と、あちこちふらふら遊び回るだけで、ボクと一緒にいる時間なんて、まるでありゃしないのよ。10/30

 

わいらあ潜水艦の乗組員は、夜狭いベッドに横たわって、「おらっちは今深い深い海の底の底で寝っているんだ」と思う時にしか、楽しみはないずら。10/31

 

   いちんちじゅう同じ噺を延々と繰り返すのがテレビの仕事 蝶人

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