あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

シャーウッド・アンダーソン著・上岡伸雄訳「ワインズバーグ、オハイオ」を読んで

2022-07-20 09:22:13 | Weblog

照る日曇る日第1766回

 

作者の故郷と思われるアメリカの小さな田舎町を舞台に、深く静かに繰り広げられる孤独な魂たちのにがい無言劇。

 

それは先行するO・ヘンリーの予定調和とも、後続するフォークナーのモノガタリとも違って、人間の裸の生の原罪を凝視する厳粛さと、鋳型を内部からぶち破る異様なエネルギーに満ち溢れているようだ。

 

けれども、永遠に叶わぬ生と性への渇望は、いつしか哀しい祈りとなってしまう。

 

   唐突に息子を怒鳴り散らすのは私に巣喰う悪魔の私 蝶人

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